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【東海大福岡高いじめ】「おれ頑張るけん」と語っていた我が子に何があったのか 母は答えを求め続ける

2024年2月20日 18:29
【東海大福岡高いじめ】「おれ頑張るけん」と語っていた我が子に何があったのか 母は答えを求め続ける
「苦しかったね」母は答えの出ない問いを背負う

3年前、福岡県宗像市の私立高校に通う男子生徒が、部活動の上級生からのいじめを訴える遺書を残して自殺した問題です。部活動の顧問も男子生徒を無視するなど不適切な指導を行っていました。しかし、学校が設置した第三者委員会はいじめがあったと認定する一方、直接的な原因は特定できないと結論づけました。なぜ息子は突然命を絶ったのか。今もその答えを求める母親は悲しみと苦しみの中にいます。

■侑大さんの母親
「侑大が何で突然いなくなって命を絶ったか最初、分からなかったんですよね。」

まだ17歳、侑大さんは高校2年生でした。3年前の3月に自宅を出た後、変わり果てた姿で発見されました。

「外で課題してくる」といういつもと変わらないひと言が、母親が直接耳にした最後の言葉となりました。

なぜ、自ら命を絶つほどまでに追いつめられなければならなかったのか。今も納得できる答えは得られないままです。

侑大さんは幼いころから剣道に打ち込み、中学校の部活動では副部長を任されていました。親身になって相談に応じるその人柄から、多くの友人や後輩に慕われていたといいます。

そして2019年4月、剣道部の特待生として東海大学付属福岡高校に入学しました。ほかの部員と同じように親元を離れて寮生活を送りながら、稽古に励む日々が始まりました。

しかし、入部からわずか2か月後、侑大さんは突然、自宅に戻ってきました。

「死にたいけど、死ねんかった」と話した侑大さんを苦しめていたのは「いじめ」でした。剣道部の上級生たちからあざができるほど殴られたり、携帯電話をとられたりしたと明かし、母親の前で涙ながらに、学校をやめたいと訴えました。

■侑大さんの母親
「帰ってきたってことは(学校に)話せる友達も仲間もいないんだなって。そんなに相談できない仲間ならやめてもいいかなって私はもう正直思った。」

あまり感情を表に出さない息子が泣きながら訴える様子に、母親は事態の深刻さを感じ取りました。翌日には息子と2人で学校を訪れ、剣道部の当時の男性顧問に対応を求めました。

顧問と話し合った末、侑大さんと母親は、いじめた側も生活する寮から自宅に戻ることにした一方で、剣道部にはとどまることを決めました。

大好きな剣道を続けたいという気持ちが強かったからです。顧問も、いじめた側の上級生たちを指導すると約束しました。

剣道部に残ることを決めた後、「おれ頑張るけん、黙って見とって」と侑大さんは母親に声をかけました。母親は息子の意思を尊重しつつ、できるだけ試合の応援に駆けつけるなど、そっと見守り続けました。

侑大さんが自ら命を絶ったのは、いじめの被害を告白してからおよそ1年半後のことでした。

■侑大さんの母親
「警察から電話がかかってきて、 侑大くんらしき人が見つかっているので確認お願いしますと。最初はもう何も言葉も出なくて。」

侑大さんのスマートフォンには遺書が残されていました。そこには「泣いたのはお芝居でもないけど本気でもない。いやだー!って思いまくって涙でただけかな~。けどイジメとは思ってなかった笑」と記されていました。

いじめられたことをあえて気にしていないかのような文面でした。読めば読むほど、母親には息子の苦しみが伝わってくるようでした。

■侑大さんの母親
「うちの子は人のことをそんなに悪く言わないんですよ。言わないけれど、残したいというメッセージのように思えて。」

何があったのか知りたくて、母親は学校に調査を求めました。

高校は、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として第三者委員会を設置しました。去年9月に提出された調査報告書では、母親の想像を絶するいじめの内容が明らかになりました。

粘着テープで顔をぐるぐる巻きにされた。

部室の畳に体を貼り付けられ、性的な被害を受けた。

いずれの行為も動画に撮られ、SNSで拡散されるなど悪質ないじめに遭っていたのです。

報告書では、侑大さんが上級生の命令に従わず一発芸を断ったことなどを、いじめが始まった理由として挙げています。

さらに、上級生への指導を約束したはずの当時の男性顧問(現:監督)が、事実関係すら学校に報告せず、その後、侑大さんに暴言を浴びせたり無視したり、つらく当たるようになったことも明らかになりました。

ただ第三者委員会は、侑大さんが自殺に至った理由は他にも考えられるとして、直接的な原因は特定できないと結論づけています。

■侑大さんの母親
「(自殺は)本当はいけないことだけど。苦しかったねって。剣道やめていいよって、学校行かなくていいよって言ってあげられたら。よかったのにって。剣道なんて、学校なんてどうでもいいのにって。」

いじめを告白した日から1年半もの間、息子はどんな思いを抱え続けていたのか。永遠に答えの出ない問いを背負いながら、母親は悲しみと苦しみの中でもがいています。

厚生労働省や自殺防止活動に取り組む専門家などは、悩みや不安を抱えている人は一人で解決しようしないで、専門の相談員に相談してほしいと呼びかけています。

24時間受け付けている電話や、またLINEの相談窓口もあります。相談してみてください。

■ふくおか自殺予防ホットライン:092-592-0783(年中無休24時間)

■24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310(年中無休24時間)

■きもちよりそうライン@ふくおかけんLINEID:@469xxbam(月曜と木曜 午後4~7時)

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