特集「キャッチ」世界初の手術が成功 福大病院に最先端の支援ロボット
特集・キャッチは、こちらは日本で開発された最先端の手術支援ロボットです。7月、福岡の病院で行われた、この機械を使った“世界初”の手術に密着しました。
19日、福岡市の福岡大学病院が会見を開きました。
■福岡大学病院最先端ロボット手術センター・佐藤寿彦センター長
「海外にも展開していくような、これからの将来が期待できる。」
世界初の手術が無事成功したことが報告されました。緻密な動きで、人間の手を正確に再現します。3本のアームを巧みに使って、患者の体内で治療をする手術支援ロボットです。
■佐藤医師
「本当にわずかな力で持っている。」
実はこのロボット、『世界で初めて』の機能を備えた、最先端の手術支援ロボットです。
福岡大学病院に6月、1台の機械が搬入されました。医師や関係者が見守る中、病棟に移動させます。
■福岡大学病院・上田雄一郎医師
「長い間研究してきたので、いよいよきたなという感じはしています。」
手術室に設置されたのは、国内で開発された最先端の手術支援ロボット「サロア」です。
■佐藤医師
「こちらがLと書いているが、僕たちが手術をするときの左手になります。真ん中、Sと書いてあるのがスコープで、僕たちの目になります。こちらが右手、Rですね。こんなふうに体の中に入って、手術しているような感じになります。」
ロボット手術は、手術台から少し離れた場所の医師が、体内に入れたカメラを見ながらアームを操作して行います。ロボットの助けを得ることで、より正確で細かい動きが可能で、がんを切除したり患部を縫合したりすることができます。
福大病院は年間約400例という、九州で有数のロボット手術の実績を誇ります。20年近くロボット手術を行ってきた、佐藤医師が開発に携わった「サロア」には、世界初の機能が搭載されています。
■佐藤医師
「これが体の中に入って、臓器をつかんだりするわけですが、このロボットはつかんだ触覚がこちらのコントローラーで分かるようになっています。」
『触覚が分かる』とは一体どういうことなのでしょうか。その画期的な性能を体験しました。
■川崎直人記者
「不思議ですね。本当に柔らかさというか、弾力を感じられます。ええ、すごい。さっきロボットで触っていた感覚と全く同じです。この弾力、この弾力です。」
「サロア」は触った感覚、“力覚”を再現できるといいます。ロボットがつかんだ力を空気圧で計測し、医師の指先にその感触を伝えます。
■佐藤医師
「これ、イクラですね、ちょっとつまんで、右手に移し替えて運んでみます。」
“力覚なし”のモードで試してみました。
■佐藤医師
「おっと、潰れちゃいますね。なんとかやれなくはないのですが、かなり難しいです。おっと、皮つまんでるよね。」
一方、“力覚あり”では、1回目で成功しました。
■佐藤医師
「やってみます。 よいしょ。これ、ほぼ力かけずにやっています。」
このように、繊細な力でモノをつかめるのがサロアの最大の特徴です。
サロアはことし5月、国から医療機器として承認をうけ、今月から保険が適用されるようになりました。そして、初めての手術当日を迎えました。
■上田医師
「サロアの1例目になります。右の上葉肺がんの疑いで、最初から右の上葉を取りにいきます。」
手術を受けるのは、福岡市に住む87歳の女性です。右肺に3センチ程度のがんの疑いがあるため、肺の上の部分を切除します。
■患者家族
「頑張っておいでよ。」
■佐藤医師
「肺はすごく柔らかくて壊れやすい臓器なので、このロボットは柔らかく組織を持てるので、患者さんにいい手術ができるのではないかと思っています。」
■上田医師
「じゃあ、メスください。」
■佐藤医師
「お願いします。」
まず、胸のあたりに機械の先端を入れるための小さな穴を開け、電気メスやカメラなどを取りつけたアームを体内へ入れていきます。佐藤医師は、患者から離れた場所で手先を巧みに動かし、手術を進めていきます。
従来の肺がん手術の場合、最低でも15センチ程度、胸を切開しなければなりませんでした。しかし、サロアなど手術支援ロボットを使った手術は、およそ3センチと1センチの穴を、数か所開けるだけです。患者への負担が少ないのが特徴です。
■佐藤医師
「本当にわずかな力で持っているよね。よいしょ。これなんかもね、リンパ節を崩さずに持ててるよね。」
これまでの手術支援ロボットは、カメラからの『視覚』で得られる情報だけで手術を行っていたため、つかむ力の感覚が分かりづらく、臓器などを傷つけるリスクがありました。しかし、触った感覚が分かることで、自分の手で直接手術しているような感覚を得られる「サロア」は、ロボット手術の安全性をさらに高められると期待されています。
開発関係者も見守る中、手術は順調に進みました。
■佐藤医師
「はい、いいですよ。」
■上田医師
「ファイヤ」
■佐藤医師
「はい、取れました。じゃあ回収しましょう。」
無事、がんの疑いがあった部分を摘出し、手術は3時間ほどで終わりました。
■佐藤医師
「すごく緊張しましたが、手術もかなり早く終わったんじゃないかなと思います。肺も損傷がほとんどないので、良い手術ができたのではないかと思う。」
翌日には、女性は1人で歩けるまでに回復していました。
■上田医師
「痛みはどうですか。」
■患者
「そんなに痛くない。」
1人で歩けるまでに回復していました。
■福岡市に住む佐藤芳子さん(87)
「まさか自分がね、最新式のロボットを使うなんて、思いもしなかったですね。」
■川崎記者
「よくなりましたが、今後どうしたいですか。」
■佐藤さん
「友達と天神やら行きますよ。温泉やら。」
■佐藤医師
「患者さんに優しくて、しかもいい手術ができるっていうのが大事。このロボットは本当に患者さんに対して負担が少ないのではないかと思うし、ロボットの新しい方向性を日本から出していけることはすばらしいことだと思う。」
“神の手”レベルの手術を身近にする、進化を遂げる日本のロボットが、新たな時代の医療を切り開いています。
19日、福岡市の福岡大学病院が会見を開きました。
■福岡大学病院最先端ロボット手術センター・佐藤寿彦センター長
「海外にも展開していくような、これからの将来が期待できる。」
世界初の手術が無事成功したことが報告されました。緻密な動きで、人間の手を正確に再現します。3本のアームを巧みに使って、患者の体内で治療をする手術支援ロボットです。
■佐藤医師
「本当にわずかな力で持っている。」
実はこのロボット、『世界で初めて』の機能を備えた、最先端の手術支援ロボットです。
福岡大学病院に6月、1台の機械が搬入されました。医師や関係者が見守る中、病棟に移動させます。
■福岡大学病院・上田雄一郎医師
「長い間研究してきたので、いよいよきたなという感じはしています。」
手術室に設置されたのは、国内で開発された最先端の手術支援ロボット「サロア」です。
■佐藤医師
「こちらがLと書いているが、僕たちが手術をするときの左手になります。真ん中、Sと書いてあるのがスコープで、僕たちの目になります。こちらが右手、Rですね。こんなふうに体の中に入って、手術しているような感じになります。」
ロボット手術は、手術台から少し離れた場所の医師が、体内に入れたカメラを見ながらアームを操作して行います。ロボットの助けを得ることで、より正確で細かい動きが可能で、がんを切除したり患部を縫合したりすることができます。
福大病院は年間約400例という、九州で有数のロボット手術の実績を誇ります。20年近くロボット手術を行ってきた、佐藤医師が開発に携わった「サロア」には、世界初の機能が搭載されています。
■佐藤医師
「これが体の中に入って、臓器をつかんだりするわけですが、このロボットはつかんだ触覚がこちらのコントローラーで分かるようになっています。」
『触覚が分かる』とは一体どういうことなのでしょうか。その画期的な性能を体験しました。
■川崎直人記者
「不思議ですね。本当に柔らかさというか、弾力を感じられます。ええ、すごい。さっきロボットで触っていた感覚と全く同じです。この弾力、この弾力です。」
「サロア」は触った感覚、“力覚”を再現できるといいます。ロボットがつかんだ力を空気圧で計測し、医師の指先にその感触を伝えます。
■佐藤医師
「これ、イクラですね、ちょっとつまんで、右手に移し替えて運んでみます。」
“力覚なし”のモードで試してみました。
■佐藤医師
「おっと、潰れちゃいますね。なんとかやれなくはないのですが、かなり難しいです。おっと、皮つまんでるよね。」
一方、“力覚あり”では、1回目で成功しました。
■佐藤医師
「やってみます。 よいしょ。これ、ほぼ力かけずにやっています。」
このように、繊細な力でモノをつかめるのがサロアの最大の特徴です。
サロアはことし5月、国から医療機器として承認をうけ、今月から保険が適用されるようになりました。そして、初めての手術当日を迎えました。
■上田医師
「サロアの1例目になります。右の上葉肺がんの疑いで、最初から右の上葉を取りにいきます。」
手術を受けるのは、福岡市に住む87歳の女性です。右肺に3センチ程度のがんの疑いがあるため、肺の上の部分を切除します。
■患者家族
「頑張っておいでよ。」
■佐藤医師
「肺はすごく柔らかくて壊れやすい臓器なので、このロボットは柔らかく組織を持てるので、患者さんにいい手術ができるのではないかと思っています。」
■上田医師
「じゃあ、メスください。」
■佐藤医師
「お願いします。」
まず、胸のあたりに機械の先端を入れるための小さな穴を開け、電気メスやカメラなどを取りつけたアームを体内へ入れていきます。佐藤医師は、患者から離れた場所で手先を巧みに動かし、手術を進めていきます。
従来の肺がん手術の場合、最低でも15センチ程度、胸を切開しなければなりませんでした。しかし、サロアなど手術支援ロボットを使った手術は、およそ3センチと1センチの穴を、数か所開けるだけです。患者への負担が少ないのが特徴です。
■佐藤医師
「本当にわずかな力で持っているよね。よいしょ。これなんかもね、リンパ節を崩さずに持ててるよね。」
これまでの手術支援ロボットは、カメラからの『視覚』で得られる情報だけで手術を行っていたため、つかむ力の感覚が分かりづらく、臓器などを傷つけるリスクがありました。しかし、触った感覚が分かることで、自分の手で直接手術しているような感覚を得られる「サロア」は、ロボット手術の安全性をさらに高められると期待されています。
開発関係者も見守る中、手術は順調に進みました。
■佐藤医師
「はい、いいですよ。」
■上田医師
「ファイヤ」
■佐藤医師
「はい、取れました。じゃあ回収しましょう。」
無事、がんの疑いがあった部分を摘出し、手術は3時間ほどで終わりました。
■佐藤医師
「すごく緊張しましたが、手術もかなり早く終わったんじゃないかなと思います。肺も損傷がほとんどないので、良い手術ができたのではないかと思う。」
翌日には、女性は1人で歩けるまでに回復していました。
■上田医師
「痛みはどうですか。」
■患者
「そんなに痛くない。」
1人で歩けるまでに回復していました。
■福岡市に住む佐藤芳子さん(87)
「まさか自分がね、最新式のロボットを使うなんて、思いもしなかったですね。」
■川崎記者
「よくなりましたが、今後どうしたいですか。」
■佐藤さん
「友達と天神やら行きますよ。温泉やら。」
■佐藤医師
「患者さんに優しくて、しかもいい手術ができるっていうのが大事。このロボットは本当に患者さんに対して負担が少ないのではないかと思うし、ロボットの新しい方向性を日本から出していけることはすばらしいことだと思う。」
“神の手”レベルの手術を身近にする、進化を遂げる日本のロボットが、新たな時代の医療を切り開いています。