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シリーズ『こどものミライ』中学生が避難所を運営 地域防災の将来の担い手に

2023年9月14日 18:07
シリーズ『こどものミライ』中学生が避難所を運営 地域防災の将来の担い手に

子育てを取り巻く環境や子どもたちの成長を見つめるシリーズ『こどものミライ』です。高齢化が進む福岡県宗像市の日の里地区では、地元の小中学校で、若い世代に地域防災の担い手になってもらおうと防災教育に力を入れています。

先週土曜日には地震発生を想定した訓練が行われ、中学生がこれまで学んだことを実践しました。

熊本地震の被災地の生徒と交流

■生徒
「こっち側も折らないと。」

生徒たちが作っているのは、新聞紙のスリッパです。災害が発生したとき、避難所で履いてもらうものです。9月1日、宗像市の日の里中学校で防災学習が行われました。

日の里中学校では5年前から、授業の一環として防災知識や命の大切さなどを学ぶ防災学習を始めました。きっかけとなったのは、2016年の熊本地震です。

熊本県の南阿蘇中学校に教員が災害派遣されて以降、日の里中学校では防災学習として、南阿蘇村の被災地見学や地元の生徒との交流などを取り入れてきました。

高齢化…どう助け合うか

そしてもう一つのきっかけは、日の里地区が直面している住民の高齢化です。65歳以上の高齢者の割合は、8月末時点で34.5%です。

もし、平日の日中に災害が起きた場合、働き盛りの世代や高校生の多くは仕事や学校で地元にいないため、高齢者の避難を手伝うことができません。

■日の里中学校・栗原和亮校長
「地域に残っているのはお年寄りの方、小学生、そして中学生だと思う。やはり、その時に力を発揮できるのは中学生ということで、中学生に活躍してほしい。」

その準備として、子どもたちは小学3年生の時から防災意識を身につけます。そして、防災学習の集大成となるのが、地域の人と一緒に行う災害を想定した訓練です。

■生徒
「名簿係をここに2人。受け付け対応できるようにして、椅子を30並べて足が不自由な人とか中に入らせて、ここでバインダーを記入してもらう感じにして。」

生徒たちは避難所の運営、備品の管理、さらに、避難ルートを考える3つのグループに分かれ、訓練の準備を進めていました。こちらは避難所の運営グループです。

■避難所運営グループのリーダーを務める生徒
「誰でも分かりやすい看板作りをしていて、高齢者の方は医務室やトイレの場所とかをよく使うと思うので、その部分を作っています。」

誰もが一目で分かるよう、文字の大きさや濃さを考えました。

■生徒
「日の里は高齢者の方が多いから、助け合いができるようにしたいと思った。避難してきた人に安心してもらえるようにしたい。」

生徒たちは自分で考え、動いた

■訓練アナウンス
「今、緊急速報メールが来ました。東小学校の体育館に向かいます。」

9月9日、震度5強の地震を想定した訓練が、宗像市全域で行われました。避難所の一つとなる日の里中学校の体育館では、生徒たちが一斉に、避難所の設営に取りかかります。訓練の内容はほとんど知らされておらず、その場での対応力が試されます。

■生徒
「お願いします。」
■避難者役
「ありがとうございます。」

避難所の受け付けで渡したのは、新聞紙のスリッパです。

■避難者役の人(70代)
「(履き心地は?)いいですね。ありがたいこと。汚れたり濡れたりしているから。」

■生徒
「日の里中学校に今から参りますので、後ろ向きに進みます。」

■生徒
「This is chair!」

■生徒
「担架お願いします!動きます。1・2・3!」

■生徒
「大丈夫ですか?お水飲めますか?置いておきますね。」

車いすで生活している人への対応や、日本語が分からない人への対応、熱中症で動けなくなった人を担架で運び出すなど、さまざまな場面で生徒たちは自ら考え、動きました。

■避難者役の人(40代)
「普段、慣れていないことなので、慌てる様子はあると思うけれど、中学生なのにあそこまでできるのは立派なこと。」

■生徒
「初めてで心配することもあって、途中、手こずったりしたけれど、最終的に救護室に届けられてよかったです。」

■生徒
「正直大変だったけれど、この経験を生かして、実際に避難所運営するときも中学生だけでどうにかやっていけると感じました。」

■栗原校長
「初めての場合と、一度でも訓練を経験しているというところは違いがあると思います。この経験を生かして、地域でリーダーとなって活躍してもらえれば。そういう大きな願いがあります。」

高齢化が進む中、いつかやってくる災害に備え、日の里地区では地域防災の若い担い手が、着実に育っています。

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