物流の『2024年問題』迫る ドライバー不足解決に向けて運送会社の工夫は
厚生労働省の福岡労働局は27日、長時間労働の削減に積極的に取り組む北九州市の運送会社を訪問し、意見を交わしました。
物流の『2024年問題』が目前に迫る中、ドライバー不足解決に向けて「トラックを使わない」ための工夫がありました。
福岡労働局長が27日訪れたのは、北九州市に本社を置く運送会社『小倉運送』です。
■福岡労働局・小野寺徳子 局長
「こういうのは普通なんですか。」
■説明する人
「いや、かなり高度な…。」
■労働局長
「なかなか細かいですね。」
■小倉運送の担当者
「今から問題となる拘束時間の問題でロスのない配送をさせるには、こちらが把握しておかないといけない。」
背景にあるのは、物流業界を取り巻くいわゆる『2024年問題』です。
来年4月からトラックドライバーへの時間外労働の規制強化が始まります。
例えば、福岡から東京への長距離輸送では、運転時間や拘束時間が長いため、違反となる可能性があり、今後は複数のドライバーで運行するなどの対応が求められます。
このため人手不足の深刻化や輸送量の減少が懸念されていて『2024年問題』と呼ばれています。
そんな中、小倉運送が注目された理由が、創業以来取り組んできた『モーダルシフト』です。
政府が推し進める『モーダルシフト』とは、トラックだけが担っていた輸送を、フェリーや貨物列車に切り替えることで、ドライバーの削減につなげるものです。
■小倉運送・増井淳 社長
「北九州発着のフェリーが多いので、トレーラーで荷箱だけフェリーに乗せて、東京・大阪で別の業者にお願いして、発注先に運んでもらう。荷主さんに調整してもらって、1日遅れることもありますし理解が必要です。」
さらに、所有する50台のトラックを効率よく運行するため、『見える化』を徹底しました。
■小倉運送・伊﨑弘明さん
「GPSで管理しているので、今、運転中と待機と、仕事が終わったので運行終了。この人は休憩ですかね。」
GPSで運転中のトラックの現在地はもちろん、ドライバーの連続運転時間や休憩時間もリアルタイムで確認しながら長時間労働を防いでいます。
一方、小倉運送の荷主である『TOTO』が去年10月から導入したのは、荷積みの時間を予約できるシステムです。
これまでは荷物が積まれるまで平均で90分待機する必要がありましたが、このシステムによって待機時間が30分以内に短縮できました。
■福岡労働局・小野寺徳子 局長
「この業界を引っ張っていくようなリーディングの取り組みかなと思っています。いい取り組みを知ってもらって、業界の中で底上げしていけることが大事。」
■小倉運送 小倉南営業部・柿野嘉登 所長
「日々の乗務員の業務管理含めて、乗務員の体調管理含めて行っていければ。」
物流業界の『2024年問題』が待ったなしの状態です。深刻なドライバー不足を防ぐために新たな動きが加速しています。