特集「キャッチ」おしゃれな季刊誌の中身は刑務所の受刑者 社会復帰に寄り添う取り組み
特集「キャッチ」です。カフェで見かけるようなおしゃれな冊子、実は刑務所の中にいる受刑者や支える人たちを紹介する季刊誌なんです。社会に知ってもらうことで、刑務所を出所した人たちが再び戻って来ないように受刑者の社会復帰に寄り添う取り組みです。
福岡県宇美町にある福岡刑務所は、約2000人の受刑者を収容できる九州最大級の刑務所です。
70代の受刑者・Aさんは、去年12月から服役しています。
■受刑者・Aさん(70代)
「罪状は窃盗です。テレビカードですね、病院のテレビカードです。」
Aさんは、入院患者の部屋のテレビからカードを抜き取り、金に換えていました。
■Aさん
「身の丈にあった生活をしていないということですね。10万円の生活をしないといけないのに、それ以上の生活をしてしまう。」
去年6月、Aさんは自ら出頭しました。服役は今回で4度目です。“もうここへは戻って来ない”と何度決意し出所しても、社会の中で感じる孤独が、その覚悟を揺るがすといいます。
■Aさん
「社会の受け入れ態勢は、すごい受け入れていると言われている割には、あまり受け入れられない。だからと言って再犯をして(刑務所に)帰っていいというわけではないです。でも実際に(刑務所にいたことが)分かると、コミュニケーションはとってくれないし、仲良くもなってくれない。分かった瞬間にそっぽ向かれたり。そういうときにまともに生活していけるのかというのは難しい。」
出所しても社会から孤立し再び犯罪に手を染め、刑務所に戻ってくる人は後を絶ちません。法務省によると、おととし全国の刑務所で収容されていた受刑者のうち、2度目以上の服役は57.0%に上り、高止まりの状態です。
こうした現状を変えるために、刑務所のことを社会に発信し、受刑者の思いや“塀の中”の生活を知ってもらおうと、2年前から季刊誌の制作が始まりました。主体となっているのは、九州・沖縄にある刑務所や少年院などの事務を担当する福岡矯正管区です。
■福岡矯正管区 成人矯正第2課・萱原広智 課長
「しっかりと罪を償ってもらわなければいけない者もたくさんいるのも事実。ただ、“刑務所は極悪人ばかりではない”ということは、どうしても社会に伝えたい。」
季刊誌のタイトルは『Lutone…』です。気軽に手に取ってもらえるよう、おしゃれなカフェに置かれている雑誌をイメージし、デザインされています。
九州の刑務所で行われている特色ある刑務作業を取り上げ、従事する受刑者を紹介しています。こうした作業が知らないところで私たちの暮らしとつながっていることを伝えています。
■萱原 課長
「私たちの国民の負託でもある社会復帰、これを支えていくことがコンセプト。受刑者の中には、私たちが手を差し伸べてあげなければ社会復帰できない人たちがいる。手を差し伸べることが、次の新たな被害者を生まないということにつながると訴えたいと思います。」
ことし4月、福岡矯正管区の職員たちは福岡刑務所17工場を訪れました。『Lutone…』の第3号に、福岡刑務所を取り上げるためです。17工場では、高齢者や体の不自由な受刑者が刑務作業に従事しています。
ここで、20年ほど前から行われている花火の部品作りを特集することになりました。
大切な商品を受刑者に任せるワケを聞くため、職員は福岡県みやま市の花火製造所を訪ねます。
■筒井時正玩具花火製造所・筒井 良太さん
「こういうもの作ってもらっていますね。この中身のパイプが、これです。これに火薬を詰めて色紙を巻く。」
機械で作ったように規格通りです。一つ一つ正確で、安く仕入れられるのも刑務作業ならではといいます。
■筒井さん
「これを1人が作るとなると、なかなかしんどい。全部手作業なので、福岡刑務所の受刑者がやってくれて、すごく私たちが助かっている。」
受刑者にも話を聞きます。
■刑務官
「(この仕事は)人の役に立っていると思う?」
■受刑者・Aさん
「直接的にはないですけど、完成品は見たことないですけど、どういうふうになるのかって考えたことはあります。多少なりとも貢献できていればと思いますけど。いかにふだん何もなく暮らすのが幸せというか、こんなところに何回も入れば感じる。」
取材を通して、受刑者の内面の更生につなげるのも目的の一つです。
7月、福岡刑務所を題材にした『Lutone…』第3号が完成しました。表紙は、繊細な光を放つ線香花火です。この花火作りを通して、過去と未来を見つめる受刑者や見守る人たちの思いがつづられています。
■福岡矯正管区 成人第2課・阿部 裕基さん
「やり直したいと思っている人たちを、しっかりサポートしていく。そういったことをやっているということを(社会で)知っていただければと思う。」
刑務所を出所した人たちが孤独を感じることなく生きられるように、再び罪を犯すことがないように、刑務所が発信するオシャレに彩られた冊子が、塀の中と外をつないでいます。
『Lutone…』第3号はまだ発行数が多くなく、依頼があれば公共施設などに置く予定だということです。手に取ってみたいという人は、福岡矯正管区にお問い合わせください。
◇福岡矯正管区 成人矯正第二課 092-661-1139(直通)
福岡県宇美町にある福岡刑務所は、約2000人の受刑者を収容できる九州最大級の刑務所です。
70代の受刑者・Aさんは、去年12月から服役しています。
■受刑者・Aさん(70代)
「罪状は窃盗です。テレビカードですね、病院のテレビカードです。」
Aさんは、入院患者の部屋のテレビからカードを抜き取り、金に換えていました。
■Aさん
「身の丈にあった生活をしていないということですね。10万円の生活をしないといけないのに、それ以上の生活をしてしまう。」
去年6月、Aさんは自ら出頭しました。服役は今回で4度目です。“もうここへは戻って来ない”と何度決意し出所しても、社会の中で感じる孤独が、その覚悟を揺るがすといいます。
■Aさん
「社会の受け入れ態勢は、すごい受け入れていると言われている割には、あまり受け入れられない。だからと言って再犯をして(刑務所に)帰っていいというわけではないです。でも実際に(刑務所にいたことが)分かると、コミュニケーションはとってくれないし、仲良くもなってくれない。分かった瞬間にそっぽ向かれたり。そういうときにまともに生活していけるのかというのは難しい。」
出所しても社会から孤立し再び犯罪に手を染め、刑務所に戻ってくる人は後を絶ちません。法務省によると、おととし全国の刑務所で収容されていた受刑者のうち、2度目以上の服役は57.0%に上り、高止まりの状態です。
こうした現状を変えるために、刑務所のことを社会に発信し、受刑者の思いや“塀の中”の生活を知ってもらおうと、2年前から季刊誌の制作が始まりました。主体となっているのは、九州・沖縄にある刑務所や少年院などの事務を担当する福岡矯正管区です。
■福岡矯正管区 成人矯正第2課・萱原広智 課長
「しっかりと罪を償ってもらわなければいけない者もたくさんいるのも事実。ただ、“刑務所は極悪人ばかりではない”ということは、どうしても社会に伝えたい。」
季刊誌のタイトルは『Lutone…』です。気軽に手に取ってもらえるよう、おしゃれなカフェに置かれている雑誌をイメージし、デザインされています。
九州の刑務所で行われている特色ある刑務作業を取り上げ、従事する受刑者を紹介しています。こうした作業が知らないところで私たちの暮らしとつながっていることを伝えています。
■萱原 課長
「私たちの国民の負託でもある社会復帰、これを支えていくことがコンセプト。受刑者の中には、私たちが手を差し伸べてあげなければ社会復帰できない人たちがいる。手を差し伸べることが、次の新たな被害者を生まないということにつながると訴えたいと思います。」
ことし4月、福岡矯正管区の職員たちは福岡刑務所17工場を訪れました。『Lutone…』の第3号に、福岡刑務所を取り上げるためです。17工場では、高齢者や体の不自由な受刑者が刑務作業に従事しています。
ここで、20年ほど前から行われている花火の部品作りを特集することになりました。
大切な商品を受刑者に任せるワケを聞くため、職員は福岡県みやま市の花火製造所を訪ねます。
■筒井時正玩具花火製造所・筒井 良太さん
「こういうもの作ってもらっていますね。この中身のパイプが、これです。これに火薬を詰めて色紙を巻く。」
機械で作ったように規格通りです。一つ一つ正確で、安く仕入れられるのも刑務作業ならではといいます。
■筒井さん
「これを1人が作るとなると、なかなかしんどい。全部手作業なので、福岡刑務所の受刑者がやってくれて、すごく私たちが助かっている。」
受刑者にも話を聞きます。
■刑務官
「(この仕事は)人の役に立っていると思う?」
■受刑者・Aさん
「直接的にはないですけど、完成品は見たことないですけど、どういうふうになるのかって考えたことはあります。多少なりとも貢献できていればと思いますけど。いかにふだん何もなく暮らすのが幸せというか、こんなところに何回も入れば感じる。」
取材を通して、受刑者の内面の更生につなげるのも目的の一つです。
7月、福岡刑務所を題材にした『Lutone…』第3号が完成しました。表紙は、繊細な光を放つ線香花火です。この花火作りを通して、過去と未来を見つめる受刑者や見守る人たちの思いがつづられています。
■福岡矯正管区 成人第2課・阿部 裕基さん
「やり直したいと思っている人たちを、しっかりサポートしていく。そういったことをやっているということを(社会で)知っていただければと思う。」
刑務所を出所した人たちが孤独を感じることなく生きられるように、再び罪を犯すことがないように、刑務所が発信するオシャレに彩られた冊子が、塀の中と外をつないでいます。
『Lutone…』第3号はまだ発行数が多くなく、依頼があれば公共施設などに置く予定だということです。手に取ってみたいという人は、福岡矯正管区にお問い合わせください。
◇福岡矯正管区 成人矯正第二課 092-661-1139(直通)