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特集「キャッチ」 知恵や元気を発信『ばあちゃん新聞』の魅力 福岡県うきは市で創刊

2023年11月15日 17:45
特集「キャッチ」 知恵や元気を発信『ばあちゃん新聞』の魅力 福岡県うきは市で創刊
うきは市で創刊『ばあちゃん新聞』とは
特集「キャッチ」です。タブロイド判の新聞には、おばあちゃんの笑顔の写真が一面に大きく掲載されています。11月に福岡県うきは市で創刊された、その名も『ばあちゃん新聞』です。

■『ばあちゃん新聞』スタッフ・トキエばあちゃん(76)
「じゃあ私が折ろう。あなたが、それを重ねる。」

11月4日、おばあちゃん3人が横一列に並んで流れ作業を行っています。仲よくおしゃべりしながら、封筒を発送する準備をしています。

こだわりのヘアスタイルやファッションを紹介するコーナーでは、帽子とスカーフを組み合わせるのがポイントだと紹介されています。

ほかにも、今月のオススメ料理『小松菜と柿の白和え』の材料とレシピを丁寧に説明しています。

おばあちゃんたちを取材して元気や知恵を発信する、カラー12ページの新聞は、11月にうきは市で創刊された、その名も『ばあちゃん新聞』です。

月に1回発行予定で、年間購読は送料込みで5980円です。

■トキエばあちゃん
「びっくり。『きょうこれがお土産よ』というような感じじゃないでしょうか。」

発送作業をしていた『ばあちゃん新聞』のスタッフ・国武トキエさん(76)は、自宅の畑でとれたジャガイモを手に、笑顔で創刊号の表紙を飾りました。

2面には、今も農業にいそしむトキエばあちゃんの元気の秘けつや人生観がつづられています。

■トキエばあちゃん
「外に行って山に行って、大抵どこかで動いています。家にじっと座ってることはあんまりないです。」

人生相談コーナーでは、何かと忙しい30代に「忙しいという漢字は、『こころが滅びる』と書くからね、忙しい忙しいと言って何もしなかったら、心まで滅んでしまうから」というようなアドバイスも載せられていました。

“人との出会いで自分の可能性が広がる”というのがモットーです。

『ばあちゃん新聞』を発行するのは、2019年に設立された会社『うきはの宝』です。

代表で『ばあちゃん新聞』の編集長を務める大熊充さんは、お年寄りと若者が手を携えながら、地域から元気を届けたいと考えています。

■ばあちゃん新聞・大熊充 編集長(43)
「おばあちゃんたちしか持っていない技術や知識をいつも教えてもらったり気づかされていて、僕だけにそれを留めておくのはもったいないとずっと思っていたので、お伝えしていくツールに新聞はいいと思って。」

【題字を手がけた85歳の挑戦】

■ばあちゃん新聞を渡す様子
「はい、完成品。ここがばあちゃんが書いたやつ。」
「わぁ、そげん上手と?」

この日、できあがったばかりの創刊号にじっくり目を通していたのは、福岡県筑前町に住む85歳の吉松霧乃さんです。実は『ばあちゃん新聞』のシンボルとなる題字を手がけた人なんです。

■霧乃ばあちゃん(85)
「孫のおかげです。こんなのができるって考えられないです。」

孫の拓也さんは、『ばあちゃん新聞』のスタッフです。書道をたしなむ祖母に、題字だけでなく連載もお願いしました。

■『ばあちゃん新聞』スタッフ・坂田拓也さん(28)
「ここに連載企画で『霧乃ばあちゃんの筆ことば』というのがあって、言葉とどういう思いで書いたかとかエピソードを聞いて、ここに載せる。」

霧乃ばあちゃんは、65歳になって書道を始めました。

■霧乃ばあちゃん
「私が書くのは、お手本がない。自分で自由に書くのが好きなんです。」

『ばあちゃん新聞』への参加は、大きな挑戦でした。

■霧乃ばあちゃん
「10年ぐらい休んでいました。書けるかなあと思ってね。」

75歳を過ぎたころから、それまでできていたことが徐々にできなくなり、筆をとることもほとんどなくなっていた霧乃ばあちゃんですが、家族の励ましで、少しずつ自信を取り戻したといいます。

■霧乃ばあちゃんの娘・坂田幸子さん(55)
「最初は10年ぶりぐらいに筆を握ってるので、手が震えて書けなかったんですよ。だから、まず最初に基本、縦・縦・横・横とか、ああいうのを『練習して』と言ってやったんです。」
「こういうの書いていたのでとってます。『85歳のばあちゃんです いつまでも頑張るぞ』と書いてある。」

霧乃ばあちゃんが『ばあちゃん新聞』の7文字に込めた思いを聞きました。

■霧乃ばあちゃん
「皆さんが新聞で勇気づけられたら。私もあんなの作りたいとかあんなことしたいとか、読んでそれが励みになればと思って、喜んでやっております。」

【ゆくゆくは取材・編集も!】

『ばあちゃん新聞』は、東京や大阪などにいるライターやカメラマンの協力で、全国に15の支局があります。

■大熊編集長
「ムツエさん、改めてにはなるんですけど、またいろいろお話を聞かせてもらっていいですか。ムツエさんの今までの人生とかを聞くので。」

すでに12月号の発行に向け、取材が進んでいます。

今のところ、おばあちゃんたちは取材や編集には携わっていませんが、ゆくゆくは参加する方向です。

■トキエばあちゃん
「私もこのおばあちゃんのように、九十何歳まで元気でいたいなとかね、やっぱり思いますよ。何か一生懸命やっていたら生き生きしているでしょう、顔が。だからいつまでもそういうふうにしていたいし。『あの人がここで頑張っているなら私も頑張ろう』と思ってもらえれば、一番うれしいかな。」

一部330円の創刊号は、これまでに年間購読を含め600部ほど売れ、まずまずの滑り出しです。長年の知恵が詰まった紙面には、おばあちゃんたちからの優しく力強いメッセージが込められています。

『ばあちゃん新聞』は、ウェブなどで注文を受け付けています。年間購読は送料込みで5980円です。『うきはの宝  ばあちゃん新聞』で検索してください。

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