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地震による大規模火災を防ぐために 『感震ブレーカー』を徹底解説 【長島カイセツ・テレビ派】

2024年3月4日 15:45
地震による大規模火災を防ぐために 『感震ブレーカー』を徹底解説 【長島カイセツ・テレビ派】

広島テレビの長島清隆解説委員が、注目のニュースを分かりやすく分析・説明する「長島カイセツ」です。今回は、能登半島地震を教訓にした日頃の備えについてです。

能登半島地震では、揺れによる建物の倒壊や津波などに加え、火災の恐ろしさも痛感させられました。特に象徴的なのが、輪島市の朝市通りの火災です。大規模な火災による消失面積は、東京ドームよりも広いおよそ5万800平方メートルで、焼消した建物はおよそ300棟に及ぶとみられています。津波から避難しなければならない中で、消防車もなかなか到着できず、消火作業も進まなかったと思われます。

地震直後の住宅火災を防ぐには?

輪島市の火災について総務省消防庁などの調査結果では、輪島市の朝市通りにある火元と見られる住宅から「電気配線が溶けたあと」が見つかりました。このことから、電気製品の電源ケーブルなどが地震の影響で傷つき、ショートして火が出た可能性が考えられるということです。また、ニュース映像などから、燃え広がり方を解析した結果、巻き上がった火が2か所に飛び火し、古い住宅に次々と燃え広がったこともわかったということです。地震の時にはコンロの火を消すように言われていますが、電気にも注意が必要ということです。

過去の例を見ると、東日本大震災では本震による火災で原因が特定された108件のうち、過半数にあたる54%が電気関係を原因とする火災でした。

電気が原因で火災が起こる仕組みです。住宅の電気は、電柱から家庭用の分電盤に入り、それぞれのコンセントに分かれていきます。出火のメカニズムとしては、コードの断線、電気ストーブや白熱灯が転倒して可燃物に着火、熱帯魚の水槽の転倒によってヒーターが可燃物に着火、あるいは水がコンセントにかかる、その他の配線の損傷によると考えられます。

感震ブレーカーの設置とは?

能登半島地震で消防庁の担当者は、分電盤に「感震ブレーカーを設置することが大切だ」と強調しました。「感震ブレーカー」について、住宅用の分電盤や遮断機の製造販売をするテンパール工業の東田浩典さんに話を聞きました。

■テンパール工業 東田浩典さん
「分電盤の中に地震を感知する感震センサーというものがありまして、この中で、震度5強相当以上の地震を感知すると、約3分後にメインのブレーカーを遮断して、電気火災を防ぐというものになっております。」

地震が起きて分電盤が揺れると、3分後にメインのブレーカーが自動で切れるようになっており、ショートなどによる火災を防ぐことができます。敢えて3分の時間を確保する理由は、夜間に地震があった場合、廊下の電気などが真っ暗になってしまうと避難に支障が出たり、あるいは地震のニュースなども、最初に受け取ることができなくなってしまうからです。

大きな地震では地域全体が停電することもありますが、テンパール工業の東田さんは「その後の通電火災に注意が必要だ」と話します。通電火災とは、地震で地域一体が停電となり、住民が避難で家を留守する間、電力会社の努力で電気が復旧しても家に電気が来た際、倒れてそのままになっている電気ストーブから出火したり、ショートした配線から出火するなどということです。また、住民が避難していると火災に気がづかずに、大きな火災になってしまうなど消火作業も遅れて、地域一体が燃えてしまう可能性も考えられます。しかし、感震ブレーカーでブレーカーが切れていれば、電気が復旧しても通電火災の心配はありません。

感震ブレーカーの認知度は低く、業界団体の日本配線システム工業会の集計では、設置率がおよそ3%程度ということです。地震時の火災の原因の半数以上が、電気系統ということを考えると設置率を上げていくことが大事になります。新築でなくても、分電盤の中に空きスペースがあれば感震センサーを追加して設置することができます。また、空きスペースがない場合でも、外付けできるものや簡易的なものなど色々種類があります。価格は数万円から10万円と幅があり、多くのものは電気工事士による工事が必要になるため、電気工事店などにお問い合わせください。能登半島地震以降、感震ブレーカーの問い合わせが非常に増えているということです。火災を防ぐために設置を検討してみてください。

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