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3人死傷・危険運転致死傷疑いで男を送検 危険運転について記者解説

2024年12月4日 20:07
3人死傷・危険運転致死傷疑いで男を送検 危険運転について記者解説

広島市内で乗用車に衝突し親子3人を死傷させたとして、ダンプカーの運転手の男が「危険運転致死傷」の疑いで送検されました。

危険運転致死傷の疑いで送検されたのは、広島市安佐南区の会社員の男(59)です。
警察によると男は先月、広島市安佐南区の県道で、制御することが困難な速度でダンプカーを運転し、スリップしながら対向車線の乗用車と衝突。乗用車に乗っていた親子3人を死傷させた疑いです。

警察は男が、制限速度30キロの倍近いスピードで走り、カーブを曲がりきれなかったみています。調べに対し男は、「危険運転という部分は納得いかないと」容疑を一部否認しています。

(森アナ)
容疑者が否認しているという「危険運転」についてここからは警察担当の濱野記者に解説してもらいます。

(濱野記者)
まず、事故を起こして相手を死なせたりケガをさせた場合、大きく2つの罪に問われます。

懲役刑の上限が20年の「危険運転致死傷罪」と、上限が7年で罰金刑もある「過失運転致死傷罪」です。

「過失運転」は注意が不十分な運転による事故で、ハンドル操作を誤ったり、脇見運転といった場合が想定されます。一方で、「危険運転致死傷」は故意に危険な運転をしたということで、今回のような「制御することが難しい高速度での運転」などの要件があります。

(井上アナ)
制御することが難しい速度というのはどのくらいの速さなんでしょう?

(濱野記者)
安佐南区の事故現場では、制限速度は30キロですが、ダンプカーは当時、倍近い60キロ前後で走行していたとみられています。ただ、危険運転の適用で速度についての明確な基準はありません。

(井上アナ)
では今回、警察は何を決め手に「危険運転」としたんでしょうか?

(濱野記者)
警察への取材で今回は、客観的証拠、つまり道路の形状や車両の状況などに基づいて決定したとしています。事故現場は下り坂の直角に近い急なカーブです。

そもそもこのような場所で、土を積んだダンプカーが制限の倍近い速度で走ること自体が危険運転にあたるのではないかということです。
衝突した乗用車のドライブレコーダーには、ダンプカーの左前輪が浮いた様子が映っていて、速さのあまり大きな遠心力が加わっていた可能性があります。

(森アナ)
「危険運転」に関しては最近、大分県での死亡事故の裁判が全国ニュースで話題になりましたよね。

(濱野記者)
3年前、大分県で時速194キロで走った車が起こした死亡事故で先日、裁判がありました。

事故を起こした被告の男は、当初は「過失運転致死」の罪に問われましたが、遺族の訴えもあり、最終的に「危険運転」を認める判決となりました。

今回の広島の事件については今後、検察が起訴するかどうかを判断しますが、最終的に危険運転が認められるかは裁判所の判断になります。

(森アナ)
これまでの判例もありますし、危険運転の基準について議論の必要がありそうです。

(濱野記者)
遺族や世論の声もあり、危険運転の規定見直しについて国は検討会を開いています。
そこでは、高速度に一定の基準を設けるなど議論が行われています。悪質な運転に対し、適正な処罰となるよう、今後の議論にも注目です。

【2024年12月4日 放送】

最終更新日:2024年12月4日 20:07
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