「憲法違反は再審理由になるか」特別法廷で死刑 無罪訴えながら執行「菊池事件」法学者が証言
■弁護団 德田靖之弁護士(熊本地裁での門前集会)
「裁判所に1日も早く菊池事件の再審開始を認める決定を下させるようにする。今日は本当に貴重な1日になると思います」
菊池事件は、1952年に役場職員を殺害した罪に問われた男性が、ハンセン病を理由に隔離され、事実上非公開の特別法廷で死刑判決を受け、無罪を訴えながらも死刑を執行されたものです。
熊本地裁は2020年、この特別法廷について、「ハンセン病を理由とした差別で法の下の平等に反する」として違憲と判断しました。これを受けて男性の遺族などが、熊本地裁に再審=裁判のやり直しを求め、裁判所と検察、弁護団による三者協議が続いています。
争点は「憲法違反が再審の理由になるかどうか」。刑事訴訟法では、再審の理由を「無罪とすべき明らかな証拠を新たに発見したとき」と定め、裁判での憲法違反が理由となるかは明記していません。
検察側は憲法違反は再審の理由にあたらないと主張しましたが、弁護側は再審の理由になることを立証するため、刑事法学者の証人尋問を請求。熊本地裁がこれを認め1日、刑事法学者で九州大学名誉教授の内田博文氏の証人尋問が非公開で行われました。
証人尋問の後、内田名誉教授は弁護側の記者会見に出席しました。
■内田博文名誉教授
「さまざまな憲法違反が複合的に交差して死刑判決を言い渡したという実態に即して、憲法的再審の問題を裁判所として対応していくべきではないかと申し上げた」
内田名誉教授は証人尋問で、「菊池事件の裁判は公開原則や法の下の平等など様々な点で憲法違反が著しく、憲法の規定を適用してやり直すべきだ」と述べたということです。
■弁護団 德田靖之弁護士
「願っていたことを内田先生に説得力ある形で言っていただき、初期の目的を達成できた。我々としてはやりたかったことを100%実現できたものだった」
熊本地裁がどのような判断を下すのか。次の3者協議は11月5日に行われる予定です。