登山道の維持に向け協力金を募る実証実験 登山者の反応は
6月からシリーズでお伝えしている「山と人をつなぐ」。登山道の維持や管理をどのように継続していくかを考えています。北アルプスの多くを占める中部山岳国立公園の富山県側では、8月から登山者に協力金を募る実証実験が始まりました。8月上旬、室堂周辺で登山者の反応を取材してきました。
数家直樹キャスター
「雷鳥沢キャンプ場に来ています。登山道を守るための協力金制度が始まりました。初めての週末を迎えましたが、登山者の反応はどうでしょうか」
兵庫からの登山者
「知らなかったです」
「聞いてはいました。雑誌かユーチューブかなあ、何かだったと思います」
登山道の維持・管理の協力金を呼びかける制度は、2024年3月に決定しました。環境省や富山県、山小屋、山岳関係団体などが集まって新たな協議会を設立したのです。
協力金は一口500円、2024年は10月末までの実証実験としました。協力金箱の設置は、5か所の山小屋などに限定しましたが、クレジットカード払いや銀行振り込みでも寄付を呼びかけています。
7月はじめ、環境省の職員が立山室堂山荘を訪れ、持参した協力金箱の設置を依頼しました。
立山室堂山荘 オーナー 佐伯千尋さん
「いや、集まりますでしょうか、それが心配というか」
環境省 立山管理官事務所 中森健太さん
「広報の仕方によりけりですね」
雷鳥沢キャンプ場にも協力金箱の設置を依頼しましたが、周知のためのカードの配布をめぐって心配する声が聞かれました。
雷鳥沢野営管理所 所長 宮﨑和也さん
「受付でテントタグと同じ感じで渡す?絶対にゴミになりますって」
環境省 立山管理官事務所 中森健太さん
「試験的に配ってもらうとかはできますか?ゴミが増えちゃったら本末転倒なんで、それだったらもう置いとくだけで」
雷鳥沢野営管理所 所長 宮﨑和也さん
「これでゴミが増えれば仕事が増えるだけですからね」
それから1か月、協力金制度が始まって初めての週末となった8月4日、再び訪れました。協力金箱は設置してありましたが。
雷鳥沢野営管理所 所長 宮﨑和也さん
「思ったよりも反応が薄いというのと、直接お金を入れられるシーンというのは、実際、目撃していなくて、フタ開けてみれば入っていたという形で」
配布したPRカードについては。
雷鳥沢野営管理所 所長 宮﨑和也さん
「最初、問題視していたゴミになるかなというのが意外と落ちていなかったので、皆さんちゃんと携帯のケースの中に入れて持ち帰ってくれているのかなという感じはしますね」
一方、キャンプ場利用者は。
千葉からの登山者
「他の(箱)も並んでいましたからこの辺とか目が行きますんで注目度は低かったです」
また、寄付金額の目安などが明示されていないことについて。
千葉からの登山者
「これだけだとどうしたらいいのか、10円でもいいのか、1000円からなのかとか」
さらに、PRカードを手にして。
千葉からの登山者
「あーこれか、老眼の私には厳しい大きさだなあ、これ」
長野からの登山者
「知らなかったです。長野県側から来たんですけど、今、初めて聞きました。例えば、室堂の所にもありますか?」
「ないんです」
長野からの登山者
「ないですか、やっぱり目に付く所にあると、そういう気持ちはみんなあると思いますから」
持続可能な登山道にする取り組みは始まったばかりです。
私も山に登りますから協力したいという気持ちは大いにありますが、その周知が課題ですね。
今回、取材してみて、県内の登山者はテレビニュースなどを見て、協力金制度のことを聞いたことがあると話しましたが、県外の方のほとんどは、知らないという現状でした。県外への周知をどうするか、そして、協力という具体的な行動を起こさせるアピールの仕方にさらなる工夫が必要だと感じました。