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秘蔵映像交え紹介 今年で引退の立山トロリーバスと黒部湖遊覧船

2024年6月27日 20:53
秘蔵映像交え紹介 今年で引退の立山トロリーバスと黒部湖遊覧船

富山を代表する山岳観光地、立山黒部アルペンルートで、2つの乗り物が今年限りで引退します。これまで安全運行を支えてきた関係者の思いを、KNBに残る映像とともにお伝えします。

岡川春樹記者「立山連峰の主峰・雄山の真下を走り抜けるトロリーバス。28年間にわたって山岳観光を支えてきました」

立山黒部アルペンルートの最高地点・標高2450メートルの室堂と、大観峰を結ぶ立山トンネルを走るトロリーバス。“トロバス”の愛称で親しまれ、運行開始以来1940万人が乗車しました。

乗車した女の子「たのしかった」男の子「はやかった」女性「音が電車に似ているなと思った」

「バス」といっても、電線から電気を受けて走るため、法律上は「鉄道」に分類されます。日本で最も標高の高い場所を走る「鉄道」です。

現在国内で運行される唯一のトロリーバスですが、今年11月末で引退し、蓄電池で走る電気バスに代わることになりました。

およそ50年前には東京や横浜など全国の都市で運行されていましたが、立山トンネルをトロリーバスが走り始めたのは平成の時代。この土地ならではの事情がありました。

アルペンルートが全線開通した1971年。当時、トンネルを走っていたのはディーゼルエンジンで走るバスでした。

しかし、観光客が増えるにつれてディーゼルバスも増便。国立公園の中を走るため、排気ガスによる環境への影響が心配されるようになりました。

そこで1996年に導入されたのがトロリーバス。トンネルの天井に張り巡らされた電線から電気を受けて走るため、排気ガスの問題が解消されました。

トロリーバスを特別な思いで見守る男性がいます。バスを運営する立山黒部貫光の早川忍運輸課技術長です。

早川忍運輸課技術長「会社に入る前にアルバイトとかで、アルペンルートでお世話になることがありまして、そこでトロリーバスが導入されるというのを知りまして、入社を希望して入った」

さまざまな部署を経て、7年前、トロリーバスの整備担当に。分解や部品の取り換え作業は苦労も多いものの、やりがいを感じると話します。

早川忍運輸課技術長「確実に部品を取り換えして点検整備をした後に、最後にバスが動いたというところで、自分たち、ちゃんとしっかりやってるんだなとか、これでお客さんを安全に乗せてあげられるんだなと実感したりします」

アルペンルートでは、関西電力のトロリーバスもかつて運行していましたが、2018年に廃止されました。

部品の調達が厳しさを増してきたことから、“日本最後のトロバス”も今年限りでの引退となりました。

早川忍運輸課技術長「(引退するのは)寂しいですね。やっぱり寂しかったですね、最初は。でも、いずれどこかで廃止になるっていうのは仕方のないことで、“ラストイヤー”ということで、安全運行を心に留めながら日々の整備をしております」

一方、堰堤の高さ日本一を誇る黒部ダム周辺にも、まもなく運航を終える乗り物があります。

岡川春樹記者「黒部ダムや周囲の山々を湖面の高さから見渡すことができる『黒部湖遊覧船ガルベ』。こちらも今年限りで運航を終えることとなりました」

巨大な人造の貯水池である黒部湖を、およそ30分で一周する遊覧船「ガルベ」。満水時の標高は1448メートルで、日本一高い場所を運航する遊覧船として知られています。

運航開始は1969年、初代は「黒部丸」という2階建ての船でした。エメラルドグリーンの湖面や間近に迫る立山連峰など、雄大な景色を楽しめる船として人気を博しました。

ガルベは2000年に就航した2代目。しかし、乗船客の減少や、エンジン部品が老朽化し調達が難しくなったことから、今年11月10日で運航を終えることが決まりました。

3代目の船は導入が決まっておらず、黒部湖の遊覧船そのものが今シーズン限りで姿を消します。

岩井誠船長「結構たくさんのお客様に『これで終わっちゃうんだね』というお声がけをいただいています。私も非常に残念だと思ってます。できるなら続けたかったなあとは思ってます」

迫る引退を前に、運行会社はそれぞれ、記念イベントや関連グッズの販売などを予定しているということです。

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