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アクション 防災とやま 津波からの避難・車の使用は

2024年9月18日 19:26
アクション 防災とやま 津波からの避難・車の使用は
災害への備えを考える「アクション 防災とやま」です。能登半島地震が発生した元日、富山県内は複数の地点で、避難する人たちの自家用車で渋滞が発生しました。今回の津波避難で見えた課題について、今後どのように備えるべきか専門家に話を聞きました。

元日の能登半島地震では、富山県の沿岸部に、初めて津波警報が発表されました。これを受け、県内各地で、避難する人たちの車で渋滞が発生しました。

「(自宅が)海から2~3キロの所なんで、ひとまず避難しようと」
「道路混んでてジリジリ。来てみたら、もう一杯なんですよ、ここ、車で車で」

県が発表した能登半島地震のアンケート調査によると、車で避難した人の割合は8割近くに上ります。その理由として、「車が一番早い」「車でないと遠くに避難できない」という回答が多くを占めました。

一方、県の地域防災計画では、津波からの避難については「徒歩」を原則としています。渋滞中に津波に巻き込まれて、逃げ場を失う可能性があるからです。

富山大学で防災の研究に携わる、井ノ口宗成准教授です。地域の実情に合わせた避難の在り方を考える必要があると話します。

富山大学都市デザイン学部 井ノ口宗成准教授
「一辺倒に車全部ダメだと。全部徒歩だっていう風に言うのは、避難のあり方としては富山には適さないというか、難しいところがあるなという風に思ってます。富山の場合、5分とか10分で(津波が)来るとも言われてますから、沿岸の方々は徒歩で逃げていたところで津波リスクから逃れられるかというとそうではないので、そういう方々は車で、できるだけ遠くより高くへ逃げてもらわざるを得ないのかなというふうに思います」

避難が必要かどうかの判断の指針となるのが、津波ハザードマップです。浸水が想定される場所には色が塗られています。

富山市の場合、沿岸部から数百mの地域と、神通川沿いの一部が浸水区域で、その範囲は限定的です。

しかし、県の分析によると、元日の地震発生直後には、沿岸から5キロ以上離れた地域で、海とは逆の南側への移動が増加していることがわかりました。津波から避難する必要のない人が、車を使って避難したことで、渋滞が発生した可能性があります。

一方、避難が必要な沿岸部でも、車の使用は冷静に見極める必要があります。地震が起きた直後は道路に亀裂が入っていたり、信号が作動していなかったりして、事故の危険性も高まります。海のすぐそばに位置する、氷見番屋街を例に避難方法を考えると。

富山大学都市デザイン学部 井ノ口宗成准教授
「番屋街だと徒歩ですね」
上野透キャスター
「あ、徒歩ですか」

氷見番屋街は、浸水エリアの境界線が近いこと、指定緊急避難場所がそばにあることから、徒歩による避難が推奨されるということです。

富山大学都市デザイン学部 井ノ口宗成准教授
「逃げる先が分からない人たち。あるいはハザードマップのこの境界線がどこにあるかっていうことがわからない人は、海に近いところいるわけですから、背中を向けば山があるから 山の上まで行けば大丈夫だろうって、やっぱり心理的には思ってしまうのでそういう行動を取りがちなんですが、徒歩で逃げて、まず1つ目 緊急避難場所に逃げてもらい、少しずつ動いて行ってもらう。一息ここまで1回逃げて一息ついて。その後徒歩で逃げてもらうというのが継続して逃げてもらうのがいいかなという風に思います」

また、車での避難は、高齢者や介護が必要な方を優先をさせるなど、地域での事前の調整も必要と指摘します。

富山大学都市デザイン学部 井ノ口宗成准教授
「ごめんねと、申し訳ないけど車をこっちに使わせてあげて。徒歩で頑張ってほしいとか、近くの高いところまだあるんだから、そっち逃げてほしいとそういう 調整ですね。譲り合いの精神を持ちながら、『ミックス型』というか、車が必要な人だけは車で逃げることを許可をし、それ以外は原則徒歩で逃げてもらう。そういうふうな区分わけをした上で車の避難はありというふうにお答えしたいかなと思います」

まずは津波ハザードマップを確認し、自宅などが浸水区域の場合、徒歩か、車かの判断は、場所の状況や、土地勘の有無、家族構成などで、変わってくるため、事前に考えておくことが必要です。冷静に判断できるように、普段から備えておきましょう。
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