能登半島地震で再注目 もしもの時に…"再生可能エネルギー"の力
「北國新聞論説委員の野口強さんとお伝えします。よろしくお願いします。きょうはどんな話題でしょうか。」
北国新聞論説委員・野口 強 さん
「台風10号は各地に大きな爪痕を残しました。いろんな調査を見ると…今回の台風に限らず、災害に遭った時、身近な被害として、最も困ったことの一つに、停電で家電製品や照明、スマートフォンが使えなくなったことを挙げる人が多いそうです。」
◆能登半島地震では…
「能登半島地震では、最大で約4万戸が停電しましたが、そんな時、防災施設に設置した太陽光パネルや蓄電池が、電源を補うツールとして威力を発揮したケースもあったそうです。」
「きょうのテーマは、こちら。」
「被災地の電源補強 太陽光発電も一役」
「能登半島地震でも、激しい揺れから間もなく停電が発生しました。」
市川
「みなさん夜になるにつれて明かりもなく、暖房も使えず不安な日々を過ごされましたね。」
◆能登半島地震でも太陽光発電が一役
野口さん
「避難所も停電が長引いたところが多く、2週間ぶりに停電が解消されて、拍手と涙で復旧を喜んだところもあったそうです。そんな中で、珠洲市役所では、地震前から庁舎に太陽光発電や蓄電池の設備を設置していて、何とか庁内に必要な電力を供給できた。輪島市では、避難所となる学校に向かう道路に、太陽光発電を備えた街路灯を整備していたことで、円滑な避難誘導ができた。」
◆千枚田 消えぬ光
「また防災活用ではないですが、輪島市の白米千枚田で、冬場の夜間観光で使われているイルミネーション「あぜのきらめき」。ここには、太陽光パネルのランプ2万5千個が使われ、震災後も変わらない光の帯が、住民や支援に訪れた人たちの心を和ませた。」
市川
「被災地では、太陽光や蓄電池が役割を果たした場面があったんですね。」
野口さん
「1つ目の、目からウロコです。」
「エコなエネルギーで被災地”再生可能”」
◆再生可能エネルギー
市川
「こうした太陽光や風力、地熱といった地球資源など、自然界に常に存在する、環境にやさしいエネルギーを「再生可能エネルギー」と言っていますよね。」
野口さん
「石川県では、これを温暖化防止に役立てるため、金沢の地場産業振興センターの中に、「いしかわエコハウス」というモデル住宅を作って公開しています。太陽光パネルを屋根や車庫に設けて、作り出した電力で、居住環境を整える。こうした発想は、大災害で電力供給が止まってしまった場合に大いに生かせると思います。」
◆金沢港に太陽光発電
「また県では、能登半島地震を受けて、金沢港が港の機能を果たせるように、自力で電力をまかなえる太陽光発電の施設を、港の周辺につくることを考えています。普段使うことはもちろん、いざという時に、クルーズターミナルや水産施設に供給する。今年度に立地場所を探す調査に入ります。」
市川
「脱炭素と防災に貢献する再生可能エネルギーの役割が、震災を経て見直されているんですね。」
野口さん
「2つ目の、目からウロコです。」
「脱炭素の避難所 国も設置を応援」
◆避難所に再生エネルギー導入へ
「能登半島地震の事例を受けて、環境省では、各地の避難所など、防災の拠点となる施設に、太陽光パネルなどの設備の導入を加速します。」
「環境省によると、そうした設備を備えた防災施設は、3月時点で、全国に822カ所あって、環境省では、来年度末までに1000か所に増やす目標を立てています。避難所に指定されている学校や病院を対象に、太陽光パネルなどを設置する際に、費用の最大3分の2を支援するそうです。」
市川
「ただ、今回の地震のような大きな揺れの場合、そうした設備がダメージを受ける リスクはないのでしょうか?」
◆能登の場合…
野口さん
「実は能登には太陽光発電、風力発電の大規模な施設が多数あり、揺れの衝撃で大きなダメージを受けたところもあって、感電や火災の原因になる危険性も指摘されています。今後、設置する課題として、できるだけ安定した場所で、日ごろからしっかり管理する責任が求められると思います。」
「そうしたことも含めて、災害の時だけでなく日常的に使っていくことで活用の幅が広がり、安全性に気を配れる。脱炭素の面でも地域のイメージアップにつながりますから、普及を進めたいですね。」
市川
「ありがとうございました。野口さんの目からウロコでした。」