志賀原発 穴だらけの避難計画 事故発生時の避難経路は土砂崩れで通行止め…
半島特有の地形が避難を難しくするなど課題が浮き彫りとなり、住民からは不安の声が聞かれました。
北陸電力 原子力部 中田睦洋 部長:
「原子力発電所で何があっても守らなくてはいけないのは、放射性物質を外に出さない、これに尽きると思っております。」
「放射性物質を持っている使用済み燃料はちゃんと冷やしておりますし、閉じ込めてもおりますし、そういったところの機能というのはしっかりと担保できています。」
北陸電力 土木建築部 吉田進 部長:
「(原発構内で)隆起か沈降かというのはここでは申し上げませんがそれほど大きなものはなかったということは申し上げておきます」
北陸電力は地震の発生から2か月余りが経過した先週、報道関係者向けに志賀町の志賀原発の構内を公開しました。
地震発生当時、志賀原発は1号機・2号機ともに運転停止中で、北陸電力は、原子炉建屋に損傷はなかったとしています。
ただ、原子炉を起動する際に、必要な電気を供給する変圧器から油が漏れる不具合などが発生していて、
HPCSディーゼル発電機説明会では、想定通りに動かなかった機材の状況などを解説しました。
北陸電力 原子力部 中田睦洋 部長:
「現時点で機能上、仕様上に問題があるものはございません。」
原発の安全性について確認が進む一方、課題になっているのが事故発生時の避難経路です。
石川県は志賀原発で事故が起きた場合の避難ルートについて、国道160号や県道七尾輪島線など、あらかじめ11路線を想定しています。
そのうちの一つ国道249号を車で通ってみると―
「原発に事故があった際に避難で使うルートは土砂崩れの影響で片側1車線通行になっています」
地震発生から2カ月あまりたった3月上旬でも、道路の復旧工事は続いていました。
能登半島地震では志賀原発から30キロ圏の7路線が通行できなくなりました。
加えて原発事故時に高齢者らが一時避難する県内20の放射線防護施設のうち、14施設が損傷していたことが判明。
このうち、志賀町の富来小学校では校舎棟につながる防護施設区画の天井が壊れて雨漏りが発生するなどの被害が出たといいます。
輪島市門前町鹿磯の漁港周辺では最大およそ4メートル隆起し、船が着岸できないなど船での避難も現実的ではないことが明らかになりました。
志賀町民:
「地震で小学校へ避難となっていたけれど外出たらもう249号線上がったら車動かんけん」
「(もし事故になっていたら)ちょっとパニックになると思いますわ。皆ね。こんな時は考えることできるけれど、とっさの場合は怖い」
「あそこ(志賀原発)が大丈夫だったからまだよかったけれど。(事故に)なったらもうどうなっちゃうんだろうね。」
さらに、県の想定では原発の北側にいる人は、能登半島地震の震源に近い珠洲市や輪島市方面への避難が計画されています。
「石川県珠洲市です。住宅が完全に倒壊しています。志賀原発に事故があった場合、『奥能登』と呼ばれるこの地域も避難先の一つでした」
津波の影響か、珠洲市の海に近い建物は1階の壁が突き破られています。
また、港の近くでは車同士が積み重なっていました。
寺の正面は一見すると、大きく壊れているようには見えません。
しかし寺の裏に回ってみると―建物は原型をとどめず、完全に崩れていました。
乗光寺 落合誓子さん:
「ただの地震だけでもこんなにひどいんですよ。あんな時に整然と人が逃げるなんて絶対あり得ない」
Q.志賀原発のリスクどう思う?
「私たちの方が聞きたいですよね。あんたたちどうするつもり?って。万が一のことあったら国も電力会社も責任取れますかって」
能登半島地震の発生から2か月が経過した被災地では今も道路の復旧が続いています。
石田章県議:
「避難ルートとなる国道県道は寸断され通行できない状態となりました。なおかつ被害の大きい奥能登地域への避難は現実的ではありません」
馳浩知事:
「原子力防災は原子力災害対策特別措置法に基づき国の責任のもと実施することとされており、今回の地震を受けた今後の国の対応を十分見極めてまいりたいと存じます。」
志賀原発の避難計画をめぐる不備が、次々と明らかになる中で実効性がある内容への計画の見直しと誰もが情報を共有できる開かれた場での議論が求められています。