高騰が続く“金”…「黄金の国ジパング」は健在!世界から注目される伊佐市の菱刈鉱山に潜入 “令和の鉱山”には驚きの秘密がいっぱい
鉱山長の前田敏明さんに案内してもらいます。
普段は絶対に入ることのできない立ち入り禁止の坑内。道がいくつも分かれ、まるで迷路のようです。1985年に採掘が開始されてから坑道は伸び続け、その長さは120キロに及びます。車で下ること10分。
(菱刈鉱山 前田敏明鉱山長)
「ここですね。この白いところ。ここに金が入っています」
(間世田桜子キャスター)
「普通だと1トンから何グラムとれる?」
(菱刈鉱山 前田敏明鉱山長)
「世界的には2グラムとか1グラム。この範囲については400グラム」
金の採掘は、岩盤を崩すことから始まります。重機で掘られた穴に火薬を詰め、爆破して金鉱石を取り出します。
金の生産量国内1位の菱刈鉱山は、かつて日本を代表する金山だった新潟県・佐渡金山の3倍以上の金をわずか10分の1の40年弱で産出。世界でもトップクラスです。
(菱刈鉱山 前田敏明鉱山長)
「菱刈鉱山。この金鉱床は宝の山ですね」
世界で知られる理由の一つに、その圧倒的な含有量がありました。
■きつい、汚い、危険…3K労働からの解放
鉱山での労働は、「きつい、汚い、危険」のいわゆる3K労働と言われることがあります。そのイメージを180度変える“あるモノ”が鉱山には設置されていました。
(間世田桜子キャスター)
「見てください、Wi-Fiルーターです」
菱刈鉱山では、去年から今年にかけて、坑内にWi-Fiを整備。
(菱刈鉱山 前田敏明鉱山長)
「以前と全然違いますね。重機が故障しているところを写真を撮って送れるんです。ここが壊れました、と。すると担当者がこの部品だと言って持ってきてくれるわけです」
Wi-Fiの整備で通信環境が導入されたことで、作業の効率化や安全性の向上にも大きく貢献。鉱石の積み下ろしや運搬作業もWi-Fi環境を生かし、地上から遠隔操作で行います。
高齢化や人手不足の中でも期待されるこの取り組み。鉱山の仕事は、令和に入り、大きな進化を遂げていました。
■伊佐市への納税額は約〇億!
海面よりも80メートル低い場所へとやってきました。菱刈鉱山の心臓部です。
(間世田桜子キャスター)
「あつい!サウナみたいですね」
ここに湧きだしていたのは、約65度の温泉水。湯之尾温泉です。
豊富な温泉が湧くこの一帯では、地下を掘り進める中で湧きだす温泉を抜く作業が必要。
汲み上げた温泉の一部はパイプを通って運ばれ、温泉旅館にほぼ無償で提供しています。
また、鉱産税として、鉱石の売り上げの1%約3億5000万円を伊佐市に納税しています。
砕かれた鉱石は地上に運ばれ、大きいものは手作業で選別します。菱刈鉱山で働く従業員の約8割が地元の住民。選別作業を行っているのも、地元の女性たちです。
すべて同じに見える石ですが、金が入っているかいないかを一瞬で判別する、まさに熟練の技。その正確さは、機械を超えるそうです。
選別された金鉱石は愛媛県の工場で精錬され、純度99.9パーセントの純金へ。
■金価格高騰が追い風に!
金の価格の高騰は追い風になっているといいます。
これまで採算が合わなかった含有量の低い金鉱石も掘れるようになり、貴重な地下資源を余すことなく活用できているそうです。
世界有数の金山、菱刈鉱山。今後も長く操業していくうえで欠かせないのは地元との共存です。
(菱刈鉱山 前田敏明鉱山長)
「航空写真を見ていただくと分かると思うんですけど、きれいな田んぼが広がっているところにある金鉱山なんですよね。地元の方と共存共栄、環境汚染していない鉱山。こんな田んぼの中にある鉱山ってなかなかない。本当に類稀な宝の山」
今、世界中で注目される金。鹿児島が誇る鉱山は最新の科学技術と、機械を超える人の目が融合した「宝の山」になっていました。