【能登半島地震】亡くなった方の多くの原因は「建物の倒壊」 東北大学の専門家 現地の「建物倒壊」を分析(宮城)
なぜ、建物の被害が大きくなったのか。
専門家の分析と、私たちができる備えについてお伝えする。
東北大学災害科学国際研究所の柴山明寛准教授。
地震発生直後の1月4日から石川県内に入り、建物被害について現地調査を行った。
柴山明寛准教授「共通する部分としては、やはり建物が古いところで、被害が出ているところは共通している。珠洲市の場合は、基本的にほとんどの建物が倒れている状況がわかった」
1月3日の珠洲市内の映像だ。
地震で住宅が折り重なるように崩れ、海に近いこの地区では、その後津波にも襲われ、壊滅的な被害となった。
その要因の1つと考えられるのが、住宅の「耐震化率」の低さだ。
全国平均が87%であるのに対して、珠洲市は51%、輪島市は45.2%だった。
こちらは1月4日、穴水町の映像だ。
崩れる建物と持ちこたえる建物が共存する状態のなか、柴山准教授は過去に能登地方で頻発した地震によるダメージが蓄積し、大きな被害につながったとみている。
柴山明寛准教授「能登に関しては、2007年に能登半島地震が起きていて、そのほかにも群発の地震が起きていた。建物に関しては徐々に損傷を受けている。損傷が蓄積されていって、次に大きい地震の時に耐えられなくて崩壊してしまう事例がある」
こちらは、最大震度7を観測した志賀町。
建物は外観を保っているが、その内部には大きな被害があった。
住宅の耐震化とともに、家具などの転倒防止対策が、住民の生死を分けた可能性があると指摘する。
柴山明寛准教授「建物が健全だとしても、実際には中でグチャグチャになる可能性がある。生き埋めになってしまう可能性もある。家具が転倒して避難路が失わてしまうという問題がある。今回のように津波が一瞬のうちに来てしまうと、逃げることができなくなってしまう。」
建物に大きな被害をもたらした今回の揺れ。
私たちはどのような備えができるのか?
柴山明寛准教授「いま自治体によって無料の耐震診断もしていただけますし、一部補助が出るので無料診断をお願いできればと思っています。実際に建物が今回いろんな地震で被害を受けなかった建物に関しても、実は建物は地震によって弱くなっている可能性がある」
宮城県内では、建築基準法が変わった昭和56年より前の木造住宅に対して耐震診断費用の一部を補助。
また、自治体によって差はあるが、工事費用もサポートし、宮城県全体で92%という「耐震化率」を2025年度末までに95%以上にすることを目指している。
いつ起こるか分からない災害。
まず、身の回りの状態を確認することから、災害への備えが始まる。