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【特集】学校現場で<人手不足が深刻化> 大学卒業してすぐ『2年2組』の学級担任 小学校・新人教師の奮闘 学校の課題は?(宮城)

2024年7月20日 9:00
【特集】学校現場で<人手不足が深刻化> 大学卒業してすぐ『2年2組』の学級担任 小学校・新人教師の奮闘 学校の課題は?(宮城)

教員採用試験の受験者数が年々減少し、学校現場では人手不足が深刻化している。

この春、大学卒業してすぐに学級担任を任せられた小学校の新人教師の奮闘と、サポートする学校の課題を取材した。

宮城・大崎市で最も多い850人の児童が学ぶ古川第五小学校。

2年2組の担任・武井悠紀さん(22)は、この春仙台の大学を卒業し、新人教師としてこの学校に配属された。

小学校の時の担任の先生に憧れて、教師を志したという。

授業
「150円もっています。80円のジュースとおかしを1個かいます。どのおかしがかえますか?」

小学校では、新人教師も最初から学級担任をもつことがほとんど。
毎日7時半には出勤し、全教科を教える。
放課後も提出された課題のチェックや、事務作業に追われる。

新人教師・武井悠紀さん(22)
「きょうの道徳で、子どもが書いた意見をみています。思っていたより忙しいです」

教師生活のペースを、なかなかつかめない。

武井さんのように、教師を目指す学生らの採用試験が、7月始まった

男子学生
「大学4年生です。高校時代の恩師に憧れたのが大きい」
「生徒から信頼されるようにがんばっていきたい」

一方で、宮城県教育委員会の教員採用試験の出願者数は、7年前に比べて1200人以上減り、今年度は過去最低の1426人だった。

団塊世代の大量退職以降採用者数が増え、これまで滞留していた志望者が多く採用されたという事情はあるものの、教師という職業の人気低迷は否めない。

特に、出願倍率が低く人気が落ちているのが小学校の先生だ。

学校経営に詳しい宮城教育大学の本図愛実教授は、背景を次のように指摘する。

宮城教育大学・本図愛実教授
「各教科の指導から、大変なのが危機管理。保護者への連絡、子どもたちの安心安全。小学校教員としては全能を求められる点は苦しい」

子ども同士の小さなトラブルなど、保護者へどこまでどのように伝えていくべきか、教師の負担との兼ね合いも検討する必要があるという。

宮城教育大学・本図愛実教授
「こういったことまではメールで済ませようとか、子どもに手紙で書いて伝えるなど、各学校ごとに保護者や地域と合意していくことがこれから必要かと思います」

宮城県教育委員会では、小学校の新人教師をサポートする「拠点校指導教員」を配置している。

武井さんを担当するのは、教師を退職後に再任用された指導教員。
週に1回~2回、授業の進め方や子どもたちの接し方などをアドバイスしている。

新人教師・武井悠紀さん(22)
『「を」と「お」、「わ」と「は」を区別できない子がいて、プリント出すとできていて」
拠点校指導教員・桜井幸美さん
『積み重ねだから、プリントで学習させるよりも日常的に書くもので「うっかりミスがあったよ」「うっかりだね」とか「間違う癖抜けてないね」と言って本人に直させたほうが本人も恥ずかしさとかなくすっと入る』
新人教師・武井悠紀さん『はい』

多くの新人教師をサポートする中で、世代の差を感じながらも相手に合わせた指導を心掛けているという。

拠点校指導教員・桜井幸美さん
「1人1人タイプが違うので、この先生にはこういう話し方とか、アドバイスの仕方は変えなきゃいけない。武井先生にはずかずか言うけど、それが不得手な先生もいらっしゃるので」

充実した学びの場を提供するために欠かせない教師の人材確保。

課題解決のためには、教師1人がすべての科目を教える現在の環境を見直すことも必要になりそうだ。

宮城教育大学・本図愛実教授
「授業が充実していて、学びが楽しかったら多少のトラブルがあっても乗り越えていける。1人の教員が全教科実技系まで全部やるのが基本ではなく「教科担任制」で、この学校の理科は2人の先生が担当しますとか、教員を増やしていけば、先生がほかの生徒指導に対応するなどできていく。本当に国レベルで必要だと思います」

教員不足が懸念される中で、子どもたちと向き合う新人教師が一歩一歩着実に成長できる環境づくりが求められている。

新人教師・武井悠紀さん(22)
「わからないところを、勉強苦手な子が休み時間に聞きに来てくれたり、間違いがあるところに付せんを貼るんですけれど、それを全部やってきたよと嬉しそうにノートを持ってきてくれた時に、嬉しいしかわいいなと思います」

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