【一石二鳥ねらう「国内初」の実証試験】廃棄する「漁業用の網」をアスファルトに混ぜる 「道路舗装の耐久性アップ」と「廃棄物の削減」へ(宮城・岩沼市)
廃棄される漁業用の網「廃漁網」をアスファルトに混ぜることで、道路舗装の耐久性アップと廃棄物の削減という一石二鳥の取り組みを行う国内初の実証試験が、岩沼市で始まっている。
阿部美月記者リポート(石巻市にて)「ここにあるのはおよそ500トンの廃漁網です、毎年この量が、県内で廃棄処分されています」
まき網漁などで使われる漁網は、ペットボトルと同じポリエステルの一種が原料だが、色が黒く他の製品へのリサイクル需要が少ないことから、多くは産業廃棄物として処理されている。
国内では、年間1千トン余り発生していて、そのうちの半分以上は漁網修理が盛んに行われている宮城県が占めているという。
一方、工事車両でアスファルトを敷きつめる作業をしているのは、岩沼市内の県道だ。
ここで使われるアスファルトに混ぜられているのは「廃漁網」。
アスファルトには舗装の耐久性を高めるための「改質剤」を混ぜることがあり、「廃ペットボトル」を活用した「改質剤」を使うと舗装の耐久性が約5倍高くなるという。
「廃漁網」も同じポリエステルの一種のため、同様の効果が期待されている。
「改質剤」の研究開発を行うメーカーでは、リサイクルのネックだった「廃漁網」の色の黒さもアスファルトへの活用には好都合だったという。
花王・ケミカル事業部門 吉川竜平エコインフラ部長「こういう輪がどんどん広がっていけば、世の中の廃棄プラスチック の削減にもなりますし、結果として海洋プラスチック問題の削減の貢献にもつながる」
「廃漁網」を使った道路舗装の実証試験は、国内では初めてで、試験を行う舗装会社では今後1年間かけて分析を重ねるという。