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【特集】重度の障害がある人の”一人暮らし”を考える、これから自立願う障害ある男性…実際に一人で暮らす難病の男性(宮城)

2025年2月16日 13:00
【特集】重度の障害がある人の”一人暮らし”を考える、これから自立願う障害ある男性…実際に一人で暮らす難病の男性(宮城)

重度の障害がある人の一人暮らしについて、考えます。
20歳になったのをきっかけに自立した生活を送りたいと願う、脳性まひの障害がある男性。
そして、実際に一人暮らしをしている難病の男性を、取材しました。

仙台市に暮らす白鳥隼太郎さん(20)。
そして、母親の美香子さん。
自宅近くの公園への散歩が日課です。

隼太郎さんは1750グラムの未熟児で産まれ、生後10日で脳性まひと診断されました。

隼太郎さんを妊娠した時、美香子さんは重い病と闘っていました。
鎖骨への悪性リンパ腫です。

白鳥美香子さん
「そのときに病気にならなければ、障害を負わなかったのかなとか、病気があったせいでっていう思いもあった」

美香子さんは、隼太郎さんが幼い頃 歩けるようになってほしいと足の手術を受けさせたこともありました。

しかし、大幅な改善はありませんでした。

脳性まひという障害を理解しようと、美香子さんは介護の仕事を選びました。

白鳥美香子さん
「障害者に対する知識が、自分の中に少しずつついてきた時から受け入れられるっていうような、自分の中で“ひとつの個性”として受け入れていくっていうのは思いました」

美香子さんは、7年前から障害者福祉サービスを行う会社でALSや脳性まひ筋ジストロフィーなど重度の障害のある人へ訪問介護を行い、現在はヘルパーの業務管理などを行う仕事をしています。

2024年、二十歳を迎えた隼太郎さん。
通っている福祉施設の利用者や職員が、お祝いの会を開いてくれました。

白鳥美香子さん
「うまれたとき保育器に入っている姿を見て、このまま生きられるのかなっていう心配が強くあった中で20年、生きてこられた過ごしてこられたというのは本当に感慨深い思いでいっぱいです」

隼太郎さんには、二十歳の目標があります。

白鳥隼太郎さん
「(二十歳の目標はなんですか?)一人暮らし」

美香子さんも、隼太郎さんが自立した人生を送って欲しいと願っています。

仙台市に、一人暮らしをしている難病の男性がいます。
黒崎辰宜さん26歳です。

時間と共に筋力が衰える先天性の難病・筋ジストロフィーの障害があります。

黒崎さんは、特別支援学校高等部への進学と同時に親元を離れ入院生活を送ってきました。

そうした中で芽生えた思い。

黒崎辰宜さん
「病院にいてすぐ治療してもらえるっていう安全性をとるより、自分がやりたいことをやるっていう自由さを取りたくて、親とめちゃめちゃケンカしてやっと説得できて、親は今は楽しく買い物とか行ってきてっていえば買ってきてくれるので、よかったなって思っています」

おととしから始まった黒崎さんの一人暮らしを支えるのが、重度訪問介護です。

お風呂やトイレ、食事などの日常生活や外出時の移動の介護などの支援を、必要に応じて24時間体制で受けられる福祉サービスです。
利用料は収入に応じて、となっています。

黒崎さんは、このサービスを受けながら事務作業をする在宅ワークを行っています。

そして黒崎さんの趣味の一つが、ファッションです。
クローゼットにある洋服は、お店に自ら足を運び購入したものがほとんどだそうです。

この日、街に繰り出す黒崎さんの姿がありました。
到着したのは行きつけの美容室です。

黒崎辰宜さん
「(きょうはどんなイメージですか?)どんなイメージ?キムタクで。いつもキムタクなんで」

黒崎さんが大切にするのはチャレンジ。

黒崎辰宜さん
「障害があるとはいえ、“ひとつの個性”だと思っているので障害だからできないとかそういうのは嫌で、障害があるからできないんじゃなくて、障害があっても周りの人に手伝ってもらえばできるっていうのを証明したくて、一人暮らしを始めた」

自身のことを多くの人に知ってもらいたいとYouTubeでの発信に熱心に取り組んでいます。
障害があるからできない、やれない、とは考えず様々なことに挑戦したい黒崎さんの思いです。

そして、黒崎さんが一人暮らしを始める際に、家探しをサポートしたのが当時ヘルパーだった白鳥さんでした。

白鳥美香子さん
「自宅で安心して暮らせるっていうことの意味というか大事さ、楽しく生きることを実現できるんじゃないかなと」

宮城県によりますと、重度訪問介護の利用者は2019年度で88人、2023年度で117人と徐々に増加しています。

一方で、重度訪問介護のサービスを全国で提供する事業者の調査では、サービスの依頼を受けながらも人手不足により支援を断ったり保留にしたりするケースが約7割に上ることも分かっています。

こうした現状に、白鳥さんが働く会社では介護職を目指す人などに重度訪問介護への理解や知識を深めてもらい人材確保に努めています。

いつかは、一人暮らしを実現したいと願う20歳の隼太郎さん。

今は重度訪問介護を利用する時間を少しずつ増やし、ヘルパーとコミュニケーションをとるなどして、一歩ずつ目標に向かって歩み続けています。

最終更新日:2025年2月16日 13:00
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