【そもそも.】『103万円の壁』引き上げ議論 「学都仙台」の受け止めは…
今回の「そもそも.」は『103万円の壁』をテーマにお伝えする。
衆議院選挙を経てクローズアップされた『103万円の壁』。
学生時代のアルバイトの時は気にしたりしたのではないだろうか。
学都とも呼ばれる仙台で、街の人にこの壁をどう乗り越えているのかなど現状を聞いた。
大学院生(20代)
「学生なので103万円は超えないように年末とかは特に調整しながら働くようにはしてます」
「大学1、2年の頃は103万円ギリギリを目指して働いていたんですけど、今年は余裕をもって終えられそうです」
学生(20代)
「(103万円こえないように)8万9万こえないくらいで 毎月稼いでいる」
専業主婦(50代)
「結果的に働いたものの『誰か休むから代わりに働いて』って言われたら(103万円を)オーバーしちゃうかもとか、いざそうなった時にすごく困る。ワイドショーとかを見て働きたいけど働けないな。どうしようと思う」
今回は103万円だけではない「壁」について、七十七リサーチアンドコンサルティングの首席エコノミスト 田口庸友さんに伺った話をまとめると…
そもそも、この『103万円の壁』は税金の壁の1つ。
年収がこの103万円を超えると所得税が課税され、場合によっては扶養から外れ、親や配偶者の税金負担額が増えることに。
ただ、壁はこの1つだけではなく、労働者にとって手取り額に大きな影響がある「社会保険の壁」というものもある。
従業員51人以上の企業で年収106万円以上、50人以下の企業で130万円以上になると、年金などの社会保険料の負担が発生する『106万円、130万円の壁』だ。
今、年収の壁がこうして話題になっているのは背景に「人手不足」があるから。
詳しくみていくと壁の1つ、103万円という上限は1995年に決定され30年近く変わっていない。
その一方で宮城県の最低賃金は1995年の569円から今年10月には973円となり約1.7倍に上昇している。
つまりボーダーラインは変わらないのに賃金が上がっている。
ということで前よりも少ない労働時間で上限が来てしまうため、働く時間をセーブする必要がある。
特に繁忙期といわれるこれからの時期なのに、年収を調整するために“働き控え”が起きて、ただでさえ人手不足といわれている中で、壁の存在で人手不足が深刻化し企業は頭を抱えているのが現状。
じゃあ、この上限を引き上げればいいのではないかと主張しているのが国民民主党。
この103万円の壁を178万円まで引き上げることを訴えていて、来年度の税制改正に向け議論が進められている。
ただ一方で、先ほど話した社会保険の壁という課題は残っていて、そもそも制度を導入した時と今の社会情勢が変わってきている部分も多い。そのため、社会変化などを踏まえた議論も必要ではないかと田口さんは話している。