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【特集】自民大敗の10月衆院選 私たちの投票は、政治にどんな影響を与えた?【2024年振り返り】

2024年12月29日 10:00
【特集】自民大敗の10月衆院選 私たちの投票は、政治にどんな影響を与えた?【2024年振り返り】

今年10月の衆議院選挙で、宮城の小選挙区では5つの議席のうち4議席を立憲民主党が勝ち取り、自民党の候補者は比例復活もできない大敗を喫した。

自民・公明は過半数に届かず

国民民主党 玉木代表(役職停止中)※映像は10月25日
「103万の壁を最低賃金が1.7倍になっているなら、同じように1.7倍にして178万円にしたいと提案している」

年収103万円の壁を引き上げることなどを掲げた国民民主党。
県内の選挙区で候補者を立てなかったものの、比例では県内だけで10万票あまりを集め東北ブロックで初めて議席を獲得した。

その結果、自民・公明は過半数に届かず、少数与党としての政権運営が続いている。

「野党側の提案を自民党が無視できない状況になった」

宮城1区で当選した立憲民主党の衆議院議員岡本章子さん。
選挙をきっかけに、与党の国会での対応は大きく変わったという。

立憲民主党・岡本章子 衆議院議員
「通常国会までは何を言っても時間さえ浪費させれば採決できるというおごりが与党にあった。それができないところは、国会の中で議論しましょう、国会の中で国民にとって一番いい成果を勝ち取ろうと、野党側から提案して自民党が無視できない状況になった」

補正予算案では野党からの要望の一部を組み込み、政治資金規正法の改正案では政策活動費を巡って一部非公開の支出を残そうとした自民党の案を撤回することに。

2012年から続いた自民・公明の安定政権が今回の選挙で崩れたことで、国民への説明と信頼がなければ政権運営ができないという当たり前の状況が作られたと岡本さんは強調する。

立憲民主党・岡本章子 衆議院議員
「(衆院選前までは)閣議決定イコール国会決定国民に知らされる前に、政策運営がフィックスされているということは、必ずしも幸福な状態ではない。安定政権があればいいではなく信頼される政権があるべき。信頼されない状態であるとすれば政権失うこともあるのが政治の役割」

ネットの影響力に注目が集まった2024年

政策を通すために与党と野党と議論を尽くす、「熟議の国会」を生み出したのは有権者の投票だった。

そして、その有権者の投票に影響を与えたのが、SNSのチカラ。
都知事選や、兵庫県知事選挙などでは候補者の演説を編集した動画がSNSなどで広く拡散され、ネットの影響力に注目が集まった。

若者中心のメンバーが選挙や議会などに関するオンライン配信を行う仙台のNPO法人、メディアージ。
今回の衆院選でも、候補者のインタビュー取材を行い、独自に配信した。

選挙でネットが活用される状況を歓迎する一方で、デマや極端な主張が拡散されるリスクを懸念している。

メディアージ 佐々木佳さん
「少し油断すると、一つの主張特定の政党の情報が広告やインフルエンサーの投稿で非常に目につく。より有権者側には主体的に情報を取りに行く、特に今見ている情報と対比される意見がないかとか、今見ている情報には証拠があるのかとか」

メディアージ 漆田さん
「極端な発信だったり、この人のことを取り上げたら再生回数が増えて収益がつながるからこの人の情報を発信しようみたいな。怖い流れがSNSで生まれた危惧も感じていて、来年以降、その動きがどうやって有権者一人一人の政治への関心とか情報収集につながっていくのか追いかけていきたい」

海外では政権交代相次ぐも…「日本の選挙制度では難しい」

そして、2024年。
海外に目を向けると「政権交代」が相次いで起きる年となった。

イギリスは保守党から14年ぶりに労働党へ。
アメリカはトランプ氏が大統領に返り咲くことに。

その一方で、日本の衆議院は今回の選挙で自公政権の議席が過半数を割ったものの、現時点で野党による政権交代は成し遂げられていない。

イギリス政治を専門とする東北学院大学の源島准教授は、そもそも日本の選挙制度では政権交代が難しいと指摘する。

東北学院大学 源島准教授
「得票数や得票率の選挙結果は、与党より野党に入った票の数が多かったが、選挙結果にいまひとつ表れていない。思ったより自民党が負けなかった。単純小選挙区制比例代表がなかった制度なら確実に政権交代が起きていた」

イギリスの選挙には比例代表制度がなく、選挙区での一発勝負。
これは大きな政党に有利とされ、イギリスでは保守党か労働党のどちらかが政権を担ってきた。

野党の議席が分散される傾向

一方、日本の衆議院は選挙区と比例代表の並立制。
この制度では一般的に少数政党にも議席獲得のチャンスがあるため、野党の議席が分散される傾向がある。

今回の衆院選で議席を伸ばした「国民民主党」や「れいわ新選組」も、多くは比例の議席で、野党が大きく議席を伸ばしながらも政権交代とはならなかった。

東北学院大学 源島准教授
「今の与党は結局96年に導入した選挙制度から下野したことは1回しかない。野党も大政党にまとまるよりは、小政党で比例で議席取れていればそれでいいというインセンティブになっている。今の比例代表が入る仕組みのほうが、居心地いいと考えているようにみえる。野党からもいまの選挙制度変えようという声は小さい」

国会に対して、今年の衆院選は変化をもたらした。
変わらない日本の選挙制度、そして、変わりゆく情報発信のカタチ。

私たち有権者の次の判断が問われている。

最終更新日:2024年12月29日 10:00
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