原爆開発者苦悩描く映画「オッペンハイマー」アカデミー賞7部門受賞 被爆者の思いは《長崎》
11日に行われたアメリカ映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の授賞式。
原爆を開発した科学者を主人公にした「オッペンハイマー」が作品賞など、7部門で受賞しました。
29日から日本でも公開されるのを前に、被爆者の受け止めを取材しました。
作品賞、監督賞など7部門でアメリカのアカデミー賞を受賞した、クリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」。
第二次世界大戦中、アメリカの「マンハッタン計画」に加わり、原爆の開発を成功させた科学者、ロバート・オッペンハイマーの伝記映画です。
「原爆の父」などとたたえられた栄光とともに、原爆がもたらした惨状を知ったあとの苦悩、戦後の水爆開発に反対したことで要職から追われる姿などが描かれています。
この映画をアメリカで鑑賞した、被爆者で医師の朝長 万左男さんは・・・
(被爆者 朝長万左男さん(80))
「国家的な欲求と科学者として良心に悩んでいる一人の人間という葛藤が、非常にうまく描かれていた。歴史的な意義がある映画だと思う」
作品では広島、長崎での原爆による被害の詳細や、核兵器廃絶についての直接的なメッセージは描かれていません。
それでも、朝長さんは、第二次世界大戦後もさらなる核開発へと突き進んだアメリカ政府と対比するように、苦悩するオッペンハイマーの姿が描かれたことが、核兵器の廃絶が進まないいま、重要だと話します。
(被爆者 朝長万左男さん(80))
「ただ単に戦争を核兵器が終わらせるという 従来からの主張を肯定的にとらえて、オッペンハイマーは英雄だったということを強調する映画では終わっていない。核廃絶がうまくいっていない世界の状況に対する“警鐘”じゃないかと感じた」
3時間の長編作品ながらアメリカをはじめ、世界的な大ヒットを記録している「オッペンハイマー」。
日本でも、今月29日から全国で公開となります。