「現在の規制基準でいいのか」「避難計画の実行性は十分か」 島根原発2号機の再稼働に向けて 原子力規制委員会と関係自治体が初となる意見交換
7月20日、原子力規制委員会は島根原子力発電所の安全対策工事の進捗状況などを視察、関係自治体と初となる意見交換を行いました。
全国で唯一県庁所在地に位置する島根原子力発電所は、事故があった福島第一原発と同じ、沸騰水型の原子炉を保有。原発から30キロ圏内(UPZ)には約45万人が住んでいます。
20日、約2時間かけ原子力規制委員会の関係者らが島根原発で安全対策工事の進捗(しんちょく)状況などを視察。その後、島根県原子力防災センターで島根県の丸山知事や松江市の上定市長、鳥取県の平井知事など立地・周辺自治体の関係者たちと意見交換を行いました。
島根県 丸山達也 知事
「能登半島地震におきましては、北陸電力の想定を超える長さの断層の連動があったと指摘されています。規制基準の見直しなど原子力の安全規制を担うものとして安全対策に万全を期していただきたい」
今回もっとも多く上がったのは、規制基準や避難計画の見直しの必要性を問う意見。
同じく原発を保有する石川県で今年1月に起こった能登半島地震。各地で道路が破損し、原発から30キロ圏内では合わせて4か所で、う回路がない道路が通行できなくなりました。これを受け、「現在の規制基準でいいのか」「避難計画の実行性は十分か」という質問が寄せられました。
これに対し、規制委員会の山中委員長はー。
原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「能登半島地震につきましては、断層の連動や地盤の隆起がみつかったところであります。国の機関学会で現在分析が進められているが、現在のところ規制に反映すべき新しい知見は発表されていないものと認識しています」
現時点で規制の変更の必要はないが、新たな知見が得られたら、その都度、規制基準に反映するとしました。さらにー。
松江市 上定昭仁 市長
「島根原子力発電所では、さまざまな不適切事案が発生している。中国電力の安全文化の改善状況と原子力事業者としての資質をどのように評価しているか」
原子力規制委員会 山中伸介 委員長
「島根原子力発電所のいくつかのトラブルについては軽微なものだったと理解しておりますけど、今後、日々の点検の中で現場の状況が維持向上しているかについて確認してまいりたい」
規制委員会では、中国電力の体制改善のため指導を続け、監視役としての責務を果たすと約束しました。また、夕方からは内閣府の原子力防災担当者とも意見交換し、関係自治体は避難経路や防災設備のための国の補助や、有事の際、国が下した決定の結論だけでなく、理由まできちんと説明するよう求めました。
島根県 丸山達也 知事
「一堂に会して原子力規制員会なり、内閣府に対して伝えていくことができたことについては意義深いものだった。本日のところで片付いていない課題もたくさんありますので、さまざまな課題解決をこれを機にさらに進めていきたい」
中国電力は、今年12月に島根原発2号機の再稼働を目指しています。関係自治体は県民の不安を安心に変えるため国や規制委員会に対し、分かりやすい説明を引き続き求めることにしています。