例年の10倍以上!大量発生するカメムシ 直接触れて駆除するのはイヤ… そんな人にオススメ!山陰の企業から生まれたアイデア商品
全国的に大発生しているカメムシ。家の中にも侵入してくる厄介者を駆除しようと山陰の企業がアイデアグッズで対策に乗り出しています。
7月16日(火)、農業関係者が集まった会議。
関係者
「今年はすごい危ないぞと意識づけが必要」
話し合っていたのは、大量発生しているカメムシへの対策でした。鳥取県内では例年の10倍以上のカメムシが確認されていて、中でも緑色の「ツヤアオカメムシ」は34.4倍に達しているといいます。ストロー状の口で梨などの果汁を吸うため被害に遭った果物は、形が崩れてしまいます。鳥取県では7月下旬にも農業被害を防ぐため病害虫発生の警報を出す方針です。
鳥取県 園芸試験場 米村善栄さん
「前年からの発生量が多くて、今年またそのカメムシが繁殖して、次の世代が7月下旬から来るんですけど親の世代と次の世代、両方が一度に来るということになります。カメムシのえさとなる(ヒノキなどの)球果が少ないので、果樹園に飛んでくるという状況が想定されます」
「災害レベル」のカメムシの大発生に生産者は危機感を強めています。こうした中、カメムシ対策の画期的なアイデア商品が注目を集めています。
島根県出雲市佐田町にある木材の会社。しかし、看板には「カメムシさん対策室」の文字。中には、白いプラスチック製の道具が売られています。実はここ、木材会社の傍らカメムシ対策のグッズ開発も行っているのです。
その名も、カメムシ捕獲機「ぱっくりん」。使い方は、プラスチック棒の先端に、専用の粘着シートを装着し、シールをはがします。壁などにいるカメムシにぱっくりんをゆっくり近づけると、粘着シートにくっつき、カメムシを捕獲。そのあとは、シートを内側に折りたたみそのままゴミ箱へ。カメムシに触れることなく、駆除することができるのです。
ほかにもこんな活用法が。空のペットボトルを挟み、天井など高い所にいるカメムシに近づけると、そのまま捕獲することもできるのです。
開発したのは、木材会社の2代目社長・浜村雅男さん。あることがきっかけで商品開発に乗り出しました。
浜村雅男社長
「息子の嫁が大嫌いで、それで息子も困りまして、なんとかいい方法はないかと」
きっかけは長男の拓志さんの妻、智美さん。約20年前、旧平田市から出雲市佐田町に嫁いだ際、カメムシの多さに驚いたと言います。
浜村智美さん
「見た目も気持ち悪いし、触れたらくさいしナニコレって言う感じ」
試行錯誤を重ねて8年、2021年にネットを中心に販売を開始。これまで関西を中心に約2000個を販売。とくに去年の秋からこの春にカメムシが増加したことから例年の倍近くとなる500個が売れていると言います。もともと、長男の妻・智美さんのために開発されたぱっくりんしかしー。
妻 智美さん
「便利なものを作ってくれたと思ったんですけど、できたころには割と平気になってしまったので何にもなくても最悪ティシュとかで取れそうです」
智美さんの必需品とはならなかったものの浜村社長は、ぱっくりんにある夢を抱いています。
浜村雅男 社長
「虫は世界中に出るはずですから、もっともっと外国へも何とか、たまたま三男がアメリカに行ってますんで、そのへんから試作品を送って、まずワシントンからみなさんに周知していただこうかなと思って」
家のカメムシ対策がゆくゆくは世界の共有アイテムへ。浜村社長の夢の獲得に意欲を燃やします。
一方、鳥取市でも対策グッズを開発中の企業が。本業は林業で、近年は作業に使う機械の開発にも力を入れています。この会社が開発を進めているのが、カメムシの捕獲機。
WEST 大野憲一 社長
「これで吊るすっていう感じ。明かりに向かって走ってドンと(照明に)ぶつかったムシがここに落ちる」
開発したカメムシ捕獲機には、光に集まる性質のあるカメムシを箱と粘着剤でとらえるシンプルな構造となっています。家の中に侵入してくるカメムシにうんざりしていたということで、効率的に駆除できるグッズを作りたいと自ら開発の乗り出しました。林業機械の開発経験はあるものの、一般向けの商品開発は初めて。捕獲機に使う紙の材質、カメムシを捕まえる粘着剤の選び方など試作を繰り返しながら8月の発売に向け、社内で議論を重ねます。
特長的なのがこのパッケージ。
当初、分かりやすくカメムシの写真を使う予定でしたがー。
大野憲一 社長
「やっぱり(写真だと)リアルじゃない。それを何かキャラで面白そうに描くにはどうすれば良いのかなと、それで描いてみました」
そこで考え付いたのがカメムシをイメージした、コミカルなキャラクター。今後、会社のPRにも活用したいということです。
夏以降、さらなる大発生が予想されるカメムシ。山陰から生まれたアイデアグッズの活躍に期待です。