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教育学部が無くなった鳥取県 教員不足の解消に向けた知事の復活案を受け大学側の考えは? その背景と可能性を探る 鳥取県

2024年4月17日 16:36
教育学部が無くなった鳥取県 教員不足の解消に向けた知事の復活案を受け大学側の考えは? その背景と可能性を探る 鳥取県

教員不足の解消につながるでしょうか。鳥取県の平井知事が打ち出した鳥取大学の教育学部を復活させる構想。その背景と可能性を探りました。

鳥取県 平井伸治 知事
「県内養成という機能をですね。鳥取大学ももう一度ちゃんと取ってもらう必要があるんじゃないかと。教育学部復活ということがあれば望ましいですけども」

3月末の記者会見で鳥取大学に「教育学部」を復活させる構想を打ち出した平井知事。背景には、教員の確保に苦戦する鳥取県の状況があります。

鳥取県教育委員会によりますと、去年の採用試験の志願倍率は5.1倍と全国的に見ても高い水準にありましたが、試験後に4分の1ほどが辞退し、予定していた270人を確保できませんでした。鳥取県はほかの都道府県よりも早い6月に試験を始めるほか、関西に試験会場を設けるなど、採用活動に力を入れています。しかし、早い時期に試験が受けられるため、他府県と併願する受験者も多く、力試しの「お試し受験」の場となっている可能性も指摘されています。併願者は、地元や大学のある地域で合格するとそちらに流れるケースが多く、結果として、鳥取では辞退者が相次いでいるといいます。

鳥取県 平井伸治 知事
「I、J、Uターンだとか、それから県内の定住政策だとか、それから少子化対策等々を含めて考えれば、やはり教育の基盤である学校の先生を地元で育てるという当たり前のことをやるべきではないかと」

■なぜ鳥取県には教育学部がないのか?

もともと教員養成を担う学部は、全ての都道府県に設置されていましたが、2000年代に入り、国はインフラの充実などで県域をまたいだ進学などが増えていたことなどを理由に、規模の小さな教員養成学部の再編を進めました。特に人口の少ない地域の国立大学が対象となりました。これを受け、鳥取大学と島根大学は協定を結び、2004年に島根大学に教員養成の機能を集約することに……。当時は「県境を越えた再編」などともてはやされましたが、ふたを開けてみると、再編に踏み切ったのは山陰の2大学のみでした。この時期は、国立大学の法人化が行われた頃でもあり、大きな流れに飲み込まれる形で鳥取県から教育学部が消えました。

当時は少子化に伴い、教員の必要数が減ると予想されていました。あれから約20年がたち、皮肉なことに少子化はそのまま進みましたが、少人数学級の導入が進んだことなどで教員の必要数は大きく変わらず、教員不足は深刻化しています。

鳥取県 平井伸治 知事
「担い手を作っていくためにもぜひ教育、その学部、あるいは学科、そうした形で鳥取県内で挑戦できるフィールドを作っていただきたい。地域から要求していきたいと思っております」

■教育学部の再設置に向けた動きに大学側は?

教育学部の再設置に向けた動きを大学側はどう見ているのでしょうか。鳥取大学の中島学長に話を聞きました。

鳥取大学 中島廣光 学長
「なにしろ課題は見過ごせないなと私は思っていますので、鳥取大学としてもしっかり相談しながら課題解決にいろんな提案をしていきたいと思っています」

鳥取大学に現在教育学部はありませんが、地域学部などで教員免許を取得することはでき、教員を目指す学生をサポートする「教員養成センター」を設置するなど教育を担う人材の育成に取り組んでいるということです。ただ、知名度の低さは課題になっているといい、平井知事からの問題提起を受け、名称の見直しなどを検討する方針です。

鳥取県内から進学する高校生は、進路指導の中で、鳥取大学でも教員免許を取れることを知っているといいますが、教員養成の専門課程ではないため、県外の大学を選ぶケースが少なくないといいます。一方、県外の高校生に対しては、「教育」を冠した学部や学科がないため、ほとんど知られていない現状があります。

鳥取大学 中島廣光 学長
「”教員養成やってます”という分かる名前にすれば、教育学部という名前じゃなくても”あそこ行ったら”とか受験生に対するいろんなアドバイスがあるんじゃないかと」

これからも少子化の流れは変わらず「教育学部」の復活は簡単ではないとみられますが、鳥取大学では地域の課題解決に向け、鳥取県などと協議の場を作り、この問題について話し合っていくということです。

医療や工学などとともに、教育にかかわる人材も地域社会には欠かせません。本当に鳥取から教育学部をなくしてしまってよかったのでしょうか。もう一度、地域の実情に応じた教員養成の在り方について考えてみる必要があるかもしれません。

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