【特集】東日本大震災から13年~備えは進んでいるか~「冬の災害、寒さへの備えは」
東日本大震災からまもなく13年防災対策の現状を検証します。
5回目は雪国の課題、冬の災害を見据えた備えです。
東日本大震災が発生した2011年3月11日。あの日東北は雪と厳しい寒さに直面していました。
停電が続くなか避難者たちは毛布にくるまり、小さなストーブを囲んで寒さに耐えました。
あれから13年。
元日の能登半島地震でも寒さは大きな課題でした。
青森放送 木下玲斗 記者
「指定避難所に入れなかった人はこちらのビニールハウスで避難を余儀なくされていますさまざまな工夫をして暖をとるも冬の寒さは厳しいということです」
住民
「冷え込むときは着る物も欲しいという思いもありましたし毛布とかも支援していただいたんだけどそれでも本当に冷え込むときはちょっと寒い思いもしましたね」
なぜ寒さ対策が重要なのか専門家は低体温症に警鐘をならしています。
県防災アドバイザー 山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「低体温症は(体の中の体温が)35度を下回りますと低体温症の症状が出てまいります 激しい震えに見舞われたり判断力や思考力が落ちていくということ体の動きが鈍くなって心拍数呼吸数も落ちていく 最終的には死に至るというひじょうに危険な状態になります」
警察庁によりますと能登半島地震による犠牲者241人のうち少なくとも32人が低体温症や凍死でした。
国が公表した巨大地震の想定でも県内は日本海溝モデルで2500人、千島海溝モデルで1100人が低体温症で死亡するリスクが高まるとされています。
青森県内の女性防災リーダー育成に取り組んでいる「男女共同参画地域みらいねっと」の小山内代表理事は石川県穴水町で12日間の支援活動を行い、寒さ対策の課題を感じたといいます。
男女共同参画地域みらいねっと 小山内世喜子 代表理事
「停電していたので避難所に入っても暖を取ることが出来ないという状況でした 私が入った町では43か所くらい避難所が開設されたわけですね その43か所位の避難所にまずその(毛布などの)備蓄品を持って行くということ自体がまずはひじょうに難しかった 道路とかの状況も本当に悪かったので せめて指定避難所になっているところには最低限でも冬場であれば暖を取れるようなそういった備蓄品を置いておくということはひじょうに大事だと思います」
応援物資で届けられた断熱マットは床の冷気を防ぐため避難者からも好評だったということです。
小山内さんは課題を洗い出すために冬の被害を想定した避難訓練が必要だと訴えます。
男女共同参画地域みらいねっと 小山内世喜子 代表理事
「本当に冬電気が通じないなかで例えば学校の体育館で一時間でもいいですから過ごしてみるという体験をしてみるのもまずはいいのではないかと思います」
県内はどこまで備えが進んでいるのでしょうか。
RABが40市町村に取材したところ、これまでに冬に避難訓練を行った事があると回答したのは八戸市など13市町村でした。
「今後検討する」と回答したのは青森市など18市町村、「いまのところ予定なし」と答えた市町村はつがる市など9市町村でした。
東通村では今月10日にはじめて冬の被害を想定した避難訓練を行います。
深夜0時に職員が避難所まで雪道を歩き、どれくらい時間がかかるかなどを検証するということです。
東通村防災安全課 伊勢田禎 課長
「路面の状況とか夜間なので足元がきちんと見えるルートなのかどうかもしくらければ何か対策をとらなければいけない所があるかもしれない」
県防災アドバイザー 山口大学大学院 瀧本浩一 准教授
「寒さ対策をするだけではなくて道路やライフラインが被災をするのですが積雪をするとどこが壊れてどこが被害を受けたか積雪によって分からなくなるんですね被害の状況把握がしにくいということも考えられることになります 十分にそういった事態が起こるという想定をした上での対応対策は考えておくべきかなと」
災害はいつ起こるかわかりません。雪国に暮らすわたしたちは冬の備えにも向き合う必要があります。