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温暖化で農作物も熱帯化…“南国フルーツ”が特産品に変わる!?かんきつだけじゃない愛媛の果樹栽培

2023年9月29日 19:46
温暖化で農作物も熱帯化…“南国フルーツ”が特産品に変わる!?かんきつだけじゃない愛媛の果樹栽培
愛媛で南国フルーツの栽培は定着するか

愛媛の農作物の柱として成長していく可能性を秘めています。その農作物とは…トロピカルフルーツ。試行錯誤しながら栽培に挑む2人の男性を取材しました。

さながらジャングル!宇和海に面した園地ではバナナの木を生育

いっぱいに生い茂る緑色の葉っぱ。

高野さん:
「こんな風に密集してて見た目はジャングルなんですけど。」

ここにあるのは…

高野さん:
「全部バナナです」

これ、南の国の話ではありません。

愛媛県の南西部、リアス海岸の宇和海に面した西予市三瓶町でトロピカルフルーツバナナの栽培に挑戦している人がいます。

八幡浜出身の高野浩幸さん(56)。13年前まで沖縄で暮らしていました。

高野さん:
「パイナップルを丸かじりした時にこんな美味しいものがあるんだって。そこからバナナがなってる姿を見た時に、作りたいというのが最初の思いで」

現在、園地には100本以上のバナナの木!去年、調理しても、そのまま食べてもおいしいアイスクリームバナナに、デザートバナナのナムワバナナが実を付けました。

高野さん:
「12、3年前に愛媛に帰ってきたときに、鹿児島の方の気候っていうか温度と愛媛県がほぼほぼ似たような気候だった。だんだん温暖化の中で暖かくなってるんだなって」

と、思ったのもつかの間、今年は、年明け早々に県内を2度襲った寒波の影響で、開花が進まず「収穫」とはなりませんでした。それでも来年に向けて期待が高まります。

高野さん:
「鹿児島でもアボカドとかパパイヤとか、普通に外でもできてるんだったら、愛媛でも三瓶とかだったらできる可能性が高いなと」

実は、高野さんの挑戦はバナナだけではありません。今、高野さんが試みているのがトロピカルフルーツ、アボカドの苗づくりです。

かんきつの価格が低迷する中…15年前に登場した“新たな果樹”

向かったのは松山市の沖合に浮かぶ興居島。

高野さん:
「今年はどんな?」
西原さん:
「寒波の影響も多少はあるけど、一つも実がならんかと思ったらまぁまぁなってくれたけん。とりあえず木の状態のええしな」

高野さんの苗でアボカド栽培を行っている一人、西原順一郎さん(60)です。15年前からアボカドの栽培を始めました。

西原さん:
「こんな感じ。これが輸入もののハスと同じ品種。やっぱ袋かけしとったらきれいよな。」

西原さん、以前はいよかんを中心とした柑橘農家でした。

西原さん:
「大変なんですよ。畑中走り回らんといかんけん」

西原さんに転機が訪れたのは2008年。当時、いよかんの価格が低迷し、園地を手放して耕作放棄する農家が増えていた中、登場した新たな果樹。それがアボカドです。

2022年「まつやま農林水産物ブランド」に認定 全国2位のアボカド産地に

この年、松山市は柑橘の園地でも栽培できるアボカドの苗の販売をスタートし、アボカドの産地化が始まりました。

西原さん:
「これうちで一番大きい木やけど、かなりなっとる。これからは木を低くしていかないと、袋をかけてないところがだいぶある」

農林水産省によると、愛媛県は、和歌山県に次いで全国2番目のアボカドの産地です。そのおもな産地のひとつ、松山市では去年、アボカドを「まつやま農林水産物ブランド」に認定し、生産を後押ししています。興居島でも、アボカドを栽培する農家は年々増えています。

課題はアボカドの“栽培技術の確立” 試行錯誤の中でオリジナル品種を開発

しかし、研究の進んでいる柑橘に比べ、アボカドは栽培の技術面でわかっていないことが多いのが課題。西原さんも試行錯誤を続けています。

西原さん:
「傷をつけてやる方法。ナイフでぐるっと一周ね。そうすると、子孫を残そうとして一生懸命頑張るんですよ」

これは「環状剥皮(かんじょうはくひ)」と呼ばれる技法。

西原さん:
「確率的にいったら100%花が咲く面白い方法」

西原さん:
「この品種が愛媛県のオリジナル品種なんですよ」

いま、西原さんがこだわっているのが「実生(みしょう)」。

西原さん:
「アボカド食べたら種が出るじゃないですか。その種を植えて、発芽しますよね。その発芽したやつに実がなったんがこれ(実生)で。うちはこういう品種が何種類もあるんですよ。ここにしかない品種、これからの楽しみな品種なんですけどね」

高野さん:
「結構寒さにも強くて、これが地元に定着して日本に定着してくれたらという2人の想いがあった」

その思いの結晶が、西原さんが高野さんと一緒に作り上げたオリジナルのアボカド”西幸(せいこう)”。西原さんの「西」と高野浩幸さんの「幸」から付けられました。

Q.熱帯のアボカドが愛媛で作れる?
西原さん:
「作れています。それは技術とか試行錯誤しながら自分なりにやった結果が見えてきた。柑橘だけじゃないよっていう。アボカドもやれるよっていう検証をしてみたいなと」

およそ600本近くある西原さんのアボカドの木。11月頃から収穫が始まります。

西原さん:
「やっぱり気候変動が一つの要因になると思うけど。アボカドにとっては逆によかったと思う。遠い未来に若い人が一人でも二人でも僕みたいにアボカドを植えてみようかなという状況になったらええかなと思ってます。アボカドの未来は悪いことはないかなと思ってるんですけどね。いっぱいいっぱい努力をしていったら、未来は明るいかなって思ってます。必ずできます」

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