現地生産者との交渉・破談も…ベトナムのカカオ豆に夢をのせて スイーツ店の「チョコレート物語」
県内のスイーツ店で商品化に向けて開発中のチョコレート。使っているカカオ豆はベトナム産です。そのベトナムに、ビジネスチャンスを求めて乗り込んだ県内のスイーツ店のほろ苦くも、甘いチョコレート物語です。
県内に5店舗を構える「パティスリー ラポール」
ラポール 取締役 児玉万年さん:
「よりベトナムの特長が生きるようなブレンドを」
今月、新商品の開発などを行う「ラポールスイーツラボ」で行われていたのは…
児玉さん:
「生産者の思いや商品のおいしさを改めて感じて、それを使ったチョコレートを作ってみようということに至った」
向かったのはベトナム・ベンチェ省 愛媛県と経済交流すすむ町で
遡ること1年前の去年8月、児玉さんの姿はベトナム・ベンチェ省にありました。ベンチェ省の人口は、愛媛県と同規模のおよそ130万人。愛媛県と経済連携を結び、カカオ豆とココナッツが特産の町です。
児玉さん:
「あれがカカオの木?」
通訳:
「そうです。カカオの木です」
児玉さんは、原材料の高騰やコロナ禍を打開する切り札を探してベンチェ省を訪問しました。
児玉さん:
「乾燥したカカオ豆を仕入れて、それを自家焙煎してチョコレートに加工するのを将来的にできたらなと」
この日、カカオ豆の生産者、ロンさんと商談を進める約束を取り付けることができました。
生産者との交渉はいかに!? 来店したベンチェ省の一行に伝えられたのは…
ベトナム訪問から10か月が経った今年6月。県の招待を受けて、ベンチェ省のトップ、タム委員長ら一行が来県し、ラポールを訪れました。
タム委員長:
「児玉さんはベンチェの人みたいですね」
児玉さん:
「そうなんです(笑)」
和やかだった席上で、児玉さんから驚きの一言が。
児玉さん:
「商談はうまくいかなかったんですけど」
カカオ豆の生産者ロンさんとの交渉が、破談になったというのです。
児玉さん:
「(ロンさんとの契約では)15トンくらいの出来上がりになって、自社のチョコの年間使用量をはるかに上回る数量になってしまって、難しいという結論で」
振り出しに戻ったチョコレートづくりの夢。
しかし、今年6月児玉さんはベンチェ省を再訪問。破談になったにも関わらず、ロンさんは別の生産者を紹介してくれたのです。
児玉さん:
「こういうチョコレートを開発中です」
タム委員長:
「ココナッツもここに置いて」
児玉さん:
「ココナッツ、そうですね」
ベトナムのカカオ豆が、愛媛の地で新たな商品に生まれ変わろうとしています。
友好深めるベトナムから届いたカカオ 11月の発売を目指して
藤野さん:
「これがちょっと失敗作なんですけど」
宮崎店長:
「テンパリング(温度調節)がちゃんとできてないと表面が白くなったりとか、よく小学校のバレンタインデーで見た光景かなと思うんですけど」
佳境を迎えるチョコレートづくり。
入社4年目の藤野陸希さんと、店長の宮崎江梨奈さんが担当します。
宮崎店長:
「こっちがミルクチョコレートでこちらがフルーティーなチョコレートになります」
藤野さん:
「これがベトナム産のココナッツ」
来県したタム委員長からのアドバイスでココナッツもトッピングしました。
ベトナム産カカオ豆を使った愛媛発のチョコレートを目指して。
児玉さん:
「実際にベトナムに行ってみて、生産者の思いやおいしいものを地元の方に提供したいということが自分たちの根底にあって、いいものをお客様に食べてもらいたいということが一番」
ラポールでは今年11月の発売を目指しています。