最低気温30℃超を記録 鹿野川ダムの貯水率0%に…2023年“異例”ずくめだった愛媛の気象
「2023えひめ総決算」きょうは、愛媛の気象・防災編。「地球沸騰化」が流行語大賞にも選ばれた今年。愛媛の1年を振り返ります。
1月は異例の暖かさから一変…冬の嵐も
2023年、その暖かさは「異例」でした。1月11日には最高気温14.9℃を観測。春を思わせる陽気となりました。異例の暖かさはその後も続き…
佐竹記者:
「こちらは最近の暖かさの恩恵を受けているといいます。今まさに旬のイチゴ!甘い香りします」
いちごファーム北条 安田豊代表:
「イチゴには今最適な条件です。温度がちょっと高いから生育も良くて今ベストな状況で栽培管理しております」
その表情が一変したのが1月下旬でした。
杉本記者:
「松山市に暴風雪警報が出た影響で、松山城に登るリフトが運休となりました。いま、係員の方が観光客の方に その説明をされています」
上空に強い寒気が流れ込んだ影響で県内は冬の嵐となりました。「異例」の寒波に、松山市内では転倒するなどして26人が救急搬送。通勤通学の時間帯を中心に市民生活にも影響が出ました。
宇和島では、去年より2日、平年よりも4日早く桜が開花。桜前線は県内全域へと広がっていきます。
この春入学した男子中学生:
「着慣れてはないですけどまた中学校から頑張っていこうと思いました」
内子町の尾首の池のさくらは、地元「立石を愛でる会」のメンバーによって守り続けられ、60年間咲き続けています
立石を守る会 本田武夫さん:
「この原風景をやっぱり守っていきたいなと」
春は足早に去ってゆきます。
標高320m大洲盆地の中央にそびえる冨士山の山頂をピンクに染めるのは、満開のツツジ。
水口気象予報士:
「こちら頂上まで続く遊歩道は両側に色とりどりのツツジが満開となっています」
いつもの年より1週間早い梅雨入り。梅雨の後半にかけてまとまった雨となりました。
清家記者:
「松山市の湯渡橋の上にいるんですが、川が増水していて、ものすごい速さで水が流れています」
夏休みとともに明けた梅雨。今年の夏の暑さも「異例」でした…
太平洋高気圧の張り出しが強まった今年の夏。松山では8月10日に「最低」気温が30.1度と、1890年の統計開始以来「最高」を記録しました。
新居浜で過去10年間の8月で最多雨量を記録 鹿森ダムでは緊急放流
今年も発生した線状降水帯。
呼びかけをした職員:
「この川は(普段)底が見えるような川だが、今このような現状なので非常に危険な状態にあると思っている。このような状態になるのは稀ですね」
台風6号の北上に伴い、暖かく湿った空気の影響で発達した雨雲が次々と流れ込み、線状降水帯がかかった新居浜では3時間雨量が69ミリに達するなど、過去10年間の8月の観測史上最も多い雨量を記録。
新居浜市の国領川流域の上流にある鹿森ダムでは、緊急放流を開始。県内で緊急放流が行われるのは、西日本豪雨以来の「異例」の事態となりました。
その西日本豪雨からことしで5年。県内各地で亡くなった33人へ鎮魂の祈りがささげられました。
あの日を忘れないために。7月7日、地元の子どもたちが市の復興担当者の案内で被災当時の様子や復興の現状を学ぶため、肱川沿いを歩いて回りました。
西予市復興支援室 和氣伸二室長:
「一緒に野村のまちを明るく元気に、自分たちがしていくんだって言ってくれた子どもたちもたくさんいましたので、心強く感じました(涙ぐみ)すみません…なんか、5年経ってもきのうのことのように、ついさっきのことのように忘れられなくて」
津波の威力とは?津波注意報レベルの半分の高さでも…
今年、太平洋沿岸の広い範囲に津波注意報が発表されました。
津波の威力とはどんなものなのか。チャンネル4では、東京の中央大学にある実験施設の協力を得て津波の威力を体験しました。
中央大学理工学部 海岸・港湾研究室有川太郎教授:
「津波の先端部の力がどんなものなのか調べる装置です」
50センチの津波では、耐える間もなく押し流される強さです。
有川教授:
「津波の高さとそれから流れる速さとその両方が合わさったものですから、たかだか50センチでも人を流すような力になる」
1mの津波が予想されるときに出される津波注意報。適切な安全確保が求められます。
少しずつ深まる秋…大洲市長浜では冬の風物詩「肱川あらし」が発生しました。
台風の発生数も異例の少なさ 秋の雨不足で各地でカラカラ状態
台風の発生数が16個と過去10年で「異例」の少なさだった今年。
松山など11地点で9月と10月の降水量が観測史上最も少なくなり、各地で水不足に見舞われています。
鹿野川ダムでは…
杉本記者:
「あちらをご覧ください。あの石造りの橋、普段は水に沈んで見えないということなんですが、今は橋の全長が姿を現しています」
貯水率は0%、緊急用の水すら底をつく状態となるまさに「異例」の事態。比較的降水量が少ない冬場を迎え、県内では気がかりな年末となっています。