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シリーズ『起業のミカター親とみる高知の起業ー』③ 起業家の悩みをどう解消するのか【高知】

2024年9月16日 19:38
シリーズ『起業のミカター親とみる高知の起業ー』③ 起業家の悩みをどう解消するのか【高知】
シリーズでお伝えしています「起業のミカター親とみる高知の起業ー」。
起業を志す人は様々な悩みを抱えてます。3回目の今回は起業家がそうした悩みをどう解消しているのか取材しました。

人口減という高知の課題解決に貢献したい。その思いから大学院在学中に起業した男性を訪ねました。
柳原伊吹さん。高知大学大学院で県内の地域活性化をテーマに調査や研究を重ねています。そんな中、就職で高知から若者がいなくなる現状を変えたいと2023年、高知の学生と地元起業とがもっと多くの接点をつくれる「企業インターンシップ」をビジネスとする会社を立ち上げました。

■柳原伊吹さん
「これまで就職は企業が学生を選んできたが、最近は人が足りていない状況で学生が企業を選ぶ時代。人材を巡る社会動向が変わってきている。その動向に合わせ、地方で起業しようと」

今年2月、柳原さんは県主催のビジネスプランコンテストに「企業インターンシップ」の企画で出場、若者の地元定着につながる斬新なアイディアと高い評価を受けました。地元企業に対する学生のイメージや考えを調査し、効果的な採用に結び付けられると今、注目を集めています。
伊吹さんの父・稔男(としお)さんは、積極的に挑戦する1人息子の起業をどうみているのでしょうか。起業すると聞いたときは?

■柳原稔男さん
「何言ってんのって感じ。自分が勤め人で、会社つくるなんて訳がわからん。驚いた。準備するお金がいったりだとか、登録したりする手続きとか分かっているのか心配でした。」

■伊吹さん
「やってみたいと言ったら難色を示されたけど(最後は)やってみたいならやってみろと押し出された」

しかし、起業すると資金や人材の確保、事業計画の立て方など次々と悩みが出てくると柳原さんは話します。
悩んだときは、先輩起業家に同じ悩みをどう解決したか聞くのが一番。これが、多くの起業家が勧める最も効果的な悩み解決法なんです。

日頃、柳原さんは悩んだ時に先輩起業家に相談し適切なアドバイスをもらっています。この日、柳原さんは親しい先輩起業家に新たな人事制度などについて相談していました。
先輩起業家へ相談する大きなメリット。それは、先輩の体験を共有できること。特に起業家として、してはいけないことを知ることは、とても大事だといいます。

■先輩起業家
「しなくていいことをしてしまうことが多い。経営に成功の法則はないが失敗にはパターンがある」

■柳原伊吹さん
「一筋の光を手繰っている状況で、すでにビジネス経験ある方に話が聞け、羅針盤を示してもらえることは大きくためになっている」

実は、県が運営する起業支援のプラットフォームKSP(こうちスタートアップパーク)では、先輩起業家にアドバイスをもらうことができる「メンタリング」という制度があります。
KSPの「集中メンタリング」では3ヶ月で6回の相談ができ、先輩起業家が相談者に応じて個別に伴走支援をしてくれます。起業を目指す方にとって、とても心強い制度なんです。

メンタリングのアドバイスのおかげで昨年、高知市で念願の起業を果たした男性がいます。ゲーム開発会社社長の佐野義明さん。東京でゲームクリエイターとして腕を磨き、高知へのUターンを考えたとき、県が実施するメンタリングを利用しました。深い経営の知識が学べたとともに高知にUターンしても絶対成功できると強く背中を押してくれたことがとても有り難かったと話します。

■佐野義明さん
「丁寧に教えていただいて助かった。起業する準備段階の行動とか教えていただいて実際行動したおかげでしっかり起業できた」

この春、佐野さんは地元の若者3人を雇用し、夢であった高知でゲームづくりができる環境をつくりました。

■佐野義明さん
「色んな起業家さんが生まれてほしいと思っているので、そういう方たちにしっかりお伝え出来ればと思う」

この日、柳原さんは先輩起業家からのアドバイスを参考に、高知市内の会社に自身のインターンシップ企画のプレゼンに訪れました。学生から見た会社のイメージとのギャップを明らかにし、何を重視した訴えが実際の採用に結びつくかを説明します。

■柳原伊吹さん
「学生側からすると配達しか目に見えてないかモニター調査の中でもそんな意見が出ている。そういったことを踏まえてインターンシップの企画を作らせてもらった」

学生の本音に対応した、従来とは違うインターンシップができる。相手企業も満足げです。
柳原さんの「企業インターンシップ」企画は見事採用となりました。

■こうち生協・山本晃徳さん
「100%採用です。それをベースにインターンシップのイベントを作っていくつもりです」

あらためて息子の起業の様子を聞いた父の稔男さん。悩みを解消しながら前に進む息子を、これまで以上に応援していこうと考えています。

■柳原稔男さん
「このまま自分の夢を追って思っていることが実現していけば、きっといい経営者になるんじゃないか。元気でやってくれればできる限りサポートしたい」

起業して悩みを抱えても先輩起業家のアドバイスを受けられる制度が充実している現在。起業は今、人生の選択肢の1つになってきています。
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