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起業のミカタ!中山間地域を盛り上げるために起業を目指す大学生【高知】

2024年9月11日 16:55
起業のミカタ!中山間地域を盛り上げるために起業を目指す大学生【高知】
シリーズでお送りしている「起業のミカタ!親とみる高知の起業」。
2回目の今回は、高知県の中山間地域を盛り上げるために起業を目指している大学生です。

新たに事業を起こす「起業」
県の取り組みを通じて起業した件数は2017年から延べ167件、年々増加していてその熱は高まっています。
とはいえ、親世代からは不安を感じるという声もあります。そこでRKCアプリを使って「我が子が起業したらどんな不安が一番大きいか」という質問に答えていただきました。最も多かったのが「資金の調達」。半数近い46パーセントを占めました。
具体的には「資金にある程度余裕がないと軌道に乗るまで大変だと思う」(50代女性)、「初めてのことだらけでお金のことで失敗しないか心配」(40代男性)といった意見のほか、応援したくても自分たちに蓄えがないので応援できないといった切実な声がありました。
次いで「経営の専門知識」が24パーセント。「経営基礎知識はもちろんのこと、目まぐるしく変わる情勢に対する応用知識が必要」(60代男性)、「専門知識やノウハウがあるとないでは結果が大きく違ってきそう」(40代女性)といった、何もわからないまま起業をしても果たして大丈夫だろうかという不安があるようです。

親世代からすれば不安は大きいようですが、高知県はいま「起業」を目指す人の育成や支援に力を入れているんです。まさに「今が起業のチャンス!」

■髙橋アナ
「こちらは和紙の原料となるコウゾです。黒潮町佐賀の橘川地区では昔から特産の若山楮の栽培と和紙づくりが盛んでした。今回は地域の伝統産業を守り、それを活かした起業を目指す若者を紹介します」

高知大学地域協働学部3年生で大阪府出身の小畠祥さんです。小畠さんがいま取り組んでいるのは、地域の伝統産業である若山楮を使った和紙から商品を生み出すこと。

■小畠祥さん
「紙漉きさんの後継者不足が関係していて、なかなか後継者が集まらない。和紙を漉いても売り先がないというのが後継者不足(の原因)になっているのではと考え、若山楮で漉かれた和紙を使って商品を作ってそれを売って利益を上げるという会社がもしできたら後継者も来てくれるのではないかと考え、いま活動している」

小畠さんは、大学のカリキュラムで県内の中山間地域でフィールドワークを行う中で、様々な地域の課題を目の当たりにしました。
自分にできることは何なのかを考えた小畠さんは、大学を休学して黒潮町に拠点を移します。
そこで若山楮を知ることになり、草刈りを手伝うなど地域の人たちと交流しながら、若山楮を守り後継者を呼び込むためにはどうすればいいのか模索してきました。
その中で小畠さんは、若山楮和紙を使った商品を売る会社を立ち上げることを考えたのです。

小畠さんの思いに、大阪にいる父・秀夫さんと母・由美さんは、やはり不安や心配があるようです。
いろいろ心配は尽きないようですが、夢に向かって頑張る人たちにとってはまさにいまがチャンス!高知県は起業を目指す人たちを手厚く支援しているんです。

高知市永国寺町にある県産学官民連携センター「ココプラ」で、KSP=こうちスタートアップパークの起業コンシェルジュ・佐藤大嗣さんに聞きました。

‐手厚い支援その①『多彩な支援プログラム』‐

■佐藤大嗣さん
「県では起業支援のプラットフォーム「こうちスタートアップパーク」を運営しており、起業に興味がある方から具体的に準備を進めている方まで、起業の準備段階に応じた様々なプログラムを提供しています。KSPは2017年にスタートし、昨年度は37人の方が起業しました」

‐手厚い支援その②『充実した相談制度』‐

■佐藤大嗣さん
「こうちスタートアップパークでは、起業したいけど何から始めたらいいのか分からない方や、起業の準備を進める中で専門家の意見を聞きたい方に対して、起業コンシェルジュや起業支援アドバイザーが起業相談や個別のメンタリングを行っています。起業の準備段階に応じて、事業内容の相談から資金に関することまで幅広い分野で対応しています。相談した方からは『分かりやすく参考になる』『心強い』などと好評です」

様々なサポートを受けながら自分の夢をどう形にしていくか。小畠さんはまずは若山楮を使った和紙からどんな商品を作ろうかと考えました。もともと工作好きだった小畠さんは、ミニ灯籠や扇子、和紙を張り合わせて作る張り子などいろいろな作品づくりを試みます。
イメージは膨らむものの簡単ではありません。1人では限界を感じた小畠さんは、7月から始まった県の地域資源活用起業プログラムに参加してさらにアイデアを磨き上げています。

起業にはある程度まとまった資金も必要になりますが、県はその点もしっかりサポートしているんです。

‐手厚い支援その③『補助金による支援』‐

■佐藤大嗣さん
「資金面での支援としては、県内で起業を目指す方を対象に『高知県地域課題解決起業支援事業費補助金』というものがあります。この補助金は地域活性化や子育て支援など、地域課題の解決につながる起業等に対して200万円を上限に起業の準備に必要な経費の一部を補助しています。この補助金を活用して県内各地で様々な方が活躍されています」。

県の補助金による支援などを受けて起業し、活躍している先輩起業家を訪ねて安芸市にやってきました。

ゲストハウス「東風ノ家(こちのや)」です。代表の仙頭杏美さんは安芸市出身で東京の大学を卒業後、高知に戻りデザイン事務所でライターを務め、1年間の海外生活を経験したあと2020年、ふるさと安芸市に「東風ノ家」をオープンさせました。

■仙頭杏美さん
「経営の事も知らず不安だったが、KSPのメンターに起業相談ができることを活用させてもらって、宿をやっていくために何が必要かということのアドバイスを受けたり、土佐経営塾という経営を学ぶ勉強会にも参加して経営を勉強した。準備段階としてはすごく役に立った」

東風ノ家に併設されたバーは多くの人の集まる場所になっていて、レンタルスペースとしても活用されています。
仙頭さんの思いが詰まったゲストハウスは、人と人とをつなぐ県東部の情報発信拠点としての役割を担っています。

そんな仙頭さんに伝統産業の担い手不足解消のために起業を目指す小畠さんへメッセージです。

■仙頭杏美さん
「今の時代に合った新しい形で産業が続く方法というものを、まだまだどういう形にしたらいいか見えないかもしれないが、その形を見つけてそれが成功したときにすごくやりがいにもなるし、地域の方や若い仲間も交えながらできることを一緒にみんなで考えていってほしいと思う」

■小畠祥さん
「成功する・失敗するどちらでもいい。失敗したとしてもそのあと社会人になったときに、後々あの時起業しておけば良かったと後悔しないように。そういう意味では、今こうやってやっているのは失敗しても価値があると思っている。頑張ろうと思います。頑張ります!」

中山間地域の資源を活用して起業を目指す小畠さんの取り組みは、地域の課題解決にもつながります。
若者たちの「起業のチカラ」が地域を元気にしていきます。
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