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【袴田巌さん再審】無罪確定も検察談話に対し弁護団が怒りの会見…再審法改正に向けた機運も高まる(静岡)

2024年10月11日 17:03
【袴田巌さん再審】無罪確定も検察談話に対し弁護団が怒りの会見…再審法改正に向けた機運も高まる(静岡)

58年前の事件で袴田巌さんの無罪が確定しましたが、検事総長が発表した談話に対し、弁護団が怒りをあらわにしました。一方、再審法改正に向けて機運も高まっています。

(弁護団 小川 秀世 弁護士)
「無罪が確定したのにも関わらず(袴田さんを)犯人視するのは名誉毀損(きそん)になりかねない」

(弁護団 角替 清美 弁護士)
「こんなことを言っている状況では、検察庁に自浄作用は期待できない」

10日、静岡市で開かれた会見で怒りをあらわにした袴田巌さんの弁護団。

検事総長が発表した談話を厳しく批判しました。

事件は58年前、旧清水市でみそ製造会社の専務一家4人が殺害され、その自宅に火が放たれました。強盗殺人・放火などの疑いで逮捕されたのは住み込み従業員だった袴田巌さん当時30歳。1980年に死刑が確定するも、2023年10月、静岡地裁で、やり直し裁判が始まり、9月、無罪判決が言い渡されました。

この判決に、8日、検察は控訴しない方針を発表。控訴する権利である「上訴権」を放棄し、袴田さんの無罪が確定しました。そして、検事総長が異例の談話を発表。犯行時の着衣とされた5点の衣類などが捜査機関による“ねつ造”だと断定されたことについて強い不満をあらわにしたほか…。

(畝本 直美 検事総長の談話)
『本判決は多くの問題を含む到底承服できないもので、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容と思われます』

この談話に対して、10日、弁護団は静岡地検に抗議声明を提出。無罪の袴田さんを犯人視するのは「名誉毀損(きそん)」だと訴えました。

(弁護団 小川 秀世 弁護士)
「無罪判決に批判が述べられているが全く誤っている。検事総長は無罪判決について受け入れて袴田さんに謝罪し、今後は、警察と連携した捏造を深刻に受け止めて検証すべき」

一方、10日、警察庁長官が袴田さんの無罪確定に言及しました。

(警察庁 露木 康浩 長官)
「警察庁としても重く受け止めているところ」「今後の教訓とする事項があれば、しっかりこれを受け止めて、より一層、緻密かつ適正な捜査に取り組んでまいりたい」

また、静岡県警は可能な範囲で事実確認を実施する方針を示します。

さらに11日、法相も閣議後の会見で言及。袴田さんに謝罪しました。

(牧原 秀樹 法務相)
「長期間にわたって、袴田さんが法的に不安定な位置に置かれたという状況については、大変申し訳ないという気持ちを持っている」

こうした中、都内では、日弁連が臨時記者会見を開催。刑事司法の構造的問題を訴え、死刑制度の廃止と再審法の改正を訴えました。

(鴨志田 祐美 弁護士)
「証拠開示がなぜこんなに実現しなかったのか、検察官抗告でこんなに長引いた」「立法提出をもとに、一刻も早く再審法改正を実現させることだと思っています」

また、会見に出席した弁護団の小川弁護士は、11日 午後、最高検に談話の撤回や謝罪などを求める抗議及び要請書を提出したということです。

    静岡第一テレビのニュース