新千歳空港土産の常識変えた⁉冷凍食品発祥の地・北海道で進むあなたの知らない「最新冷凍技術」
冷凍食品の進化は留まるところを知りません。
「こんなものも?」というものも冷凍食品で手軽に味わえるようになったのはもちろん、北海道のお土産の常識までも覆そうとしています。
冷凍技術の驚くべき最新事情に迫りました。
自慢のネタが勢ぞろい!
北海道を代表する味覚・寿司!
この寿司…実は驚きの秘密があるのです。
秘密のカギは新千歳空港に。
魚の専門店が営む寿司店です。
(さっぽろ うおいち 横山慎店長)「お待たせしました、大トロと南蛮えびです」
(吉岡記者)「新千歳空港に2024年にオープンしたお寿司屋さん。もちろん新鮮なネタも販売しているのですが、驚きなのがコチラ、冷凍のお寿司も販売しているんです」
これがいま、新千歳空港でも話題の「冷凍の寿司」です。
ネタはもちろん…驚くのはシャリまで完全に凍っていることです。
おいしさそのままに寿司を冷凍できる理由。
(さっぽろ うおいち 横山慎店長)「こちら最新の機械であります、凍眠の機械となっております」
(吉岡記者)「ちょっと中を開けていただいてもいいですか、これ液体なんですね」
この液体に秘密があるのです。
マグロを冷凍させる様子を実際に見せてもらいました。
(吉岡記者)「もうすでに色が白っぽく変わってきていますね」
投入してから10秒もかからず、マグロの刺身がみるみる凍り始めていく様子がよくわかります。
(吉岡記者)「どのくらいの速さで凍りますか?」
(さっぽろ うおいち 横山慎店長)「この厚さだと1分~2分」
(吉岡記者)「すごい、完全に凍っていますね。端の方とかガチガチです。あっという間に凍りました」
この「液体」こそが最新の冷凍技術なのです。
(さっぽろ うおいち 横山慎店長)「アルコールですね。マイナス30℃の設定になっております。魚の細胞を傷つけずに、解凍したときにドリップが出ないというのが一番おいしく食べられる秘訣」
この技術で、普通の冷凍庫の20倍の速さで凍らせることが可能に!
果たしてその味はー
(吉岡記者)「マグロの濃厚な脂はもちろんなんですけど、何よりシャリが驚きですね、握りたてのようなふわっとした食感と、酢飯のお酢の風味も冷凍することによって損なわれていないですね」
(名古屋から来た人)「衝撃的でした。お寿司って冷凍するんだっていう」
(吉岡記者)「見たことは?」
(名古屋から来た人)「ないですないです」
(福岡から来た人)「斬新。普通は食べれないよね、だってネタとシャリでしょ。北海道でしか食べれないようなものをお土産に持っていけるのは一番いいよね」
北海道でしか食べられなかった新鮮な寿司が、いつでもどこでも食べられるようになる。
冷凍技術の進化が「空港土産」の常識を変えたのです。
冷凍技術の進化で、いまやありとあらゆるものが食卓にー
(吉岡記者)「技術の進化は身近なところにも表れています。こちらの冷凍コーナー、なんと80種類もの冷凍食品がずらりと並んでいます」
全国展開するこちらの小売店では、韓国ののりまき・キンパからフレンチトースト、さらにはおはぎまで…
洋の東西を問わず世界の料理が冷凍食品でずらりとー
拡大一途の冷凍食品市場。
実はその発祥の地がー
北海道・道南の森町です。
その「証拠」が大手冷凍食品メーカーの工場敷地内に…
(吉岡記者)「日本冷凍事業発祥の地とかいてありますね」
(ニチレイフーズ森工場 目黒義昭さん)「1920年に葛原猪平(くずはら いへい)という方が、この森町で冷凍の設備をつくられた。マグロ・ブリ・サバ・イカ・イワシなどを冷凍していたみたいですね」
(ニチレイフーズ森工場 目黒義昭さん)「関東大震災の時に北洋のサケを満載に積んで芝浦港(東京都)に卸した。それを無償提供したと記録に残っています。関東大震災の食糧難で(冷凍食品の価値が)再認識されたと」
冷凍技術の進化は、その時代の課題の解決に大きく貢献してきた歴史でもあるのです。
いま、物流業界を悩ませている深刻なドライバー不足。
現代の課題克服にも最新の冷凍技術が貢献できるかもー
(吉岡記者)「海の玄関口・苫小牧港です。大量のコンテナをまさに今運びおろしています。ここを通じて我々の食卓に沢山の冷凍食品が届いているんです」
苫小牧港で扱う荷物は実に年間1億トン。
その中には世界中から、冷凍された荷物も大量に入ってきます。
港のすぐ近くには巨大な冷凍倉庫がー
(吉岡記者)「すごい迫力ですね、これ高さどれくらいあるんですか?」
(苫小牧埠頭 長﨑義和さん)「ラックの高さで21.9m」
(吉岡記者)「21.9m!?全部冷凍食品?」
様々な最新の冷凍技術をもつこの倉庫でいま、壮大な実験が行われています。
(吉岡記者)「ここはマイナス何℃ですか?」
(苫小牧埠頭 長﨑義和さん)「マイナス38℃です」
(吉岡記者)「マイナス38℃!?経験したことのない世界で、正直息をするだけで肺が凍りそうなぐらい冷たいです」
大きな肉の塊などを急速に凍らせるための最新の冷凍庫。
ここでー
(苫小牧埠頭 長﨑義和さん)「こちら牛乳の凍結になります」
(吉岡記者)「カッチカチですね、牛乳の冷凍って聞いたことないんですけど、脂肪分とかが分離したりしないものですか?」
(苫小牧埠頭 長﨑義和さん)「急速凍結かけることによって分離しないという形のチャレンジをしているところです」
解凍した牛乳。
見た目は牛乳そのものですが、味はー
(吉岡記者)「おいしいです、すごくおいしいです。牛乳本来のコクだったり香りだったりをしっかり感じますね。脂肪分が分離しているような感じも一切ないですし、飲み口もすごくまろやかでおいしいです」
これまで冷凍が難しかったものが、おいしさを保ったまま冷凍できればー
最新の冷凍技術が「2024年問題」解決に貢献。
そんな期待もかかります。
(苫小牧埠頭 長﨑義和さん)「トラックドライバーの人手不足はひしひしと感じているところ。タイムリーに生鮮の食品を配送しなければいけないところを、凍結で長期間保管することによって、ある程度大きなロットでまとめて運べる。こういったメリットも出てくるのかなと思います」
まとめて運べれば、それだけ輸送の回数も減らせる。
北海道が発祥の冷凍食品の進化。
様々な課題解決のためにも、たゆまぬ努力を続けています。