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ファイターズ移転の現実 巨額の赤字は解消できる?「負の遺産」「もったいない」の声も 札幌ドーム

2024年7月7日 8:00
ファイターズ移転の現実 巨額の赤字は解消できる?「負の遺産」「もったいない」の声も 札幌ドーム

札幌ドームは6月21日、ファイターズの本拠地移転後、初めてとなる昨年度の決算について、想定の2倍以上となる6億5100万円の赤字と報告しました。

移転の影響が浮き彫りになった札幌ドームは今後、にぎわいを取り戻すことはできるのでしょうか。


(急式キャスター)「5大ドームの1つに数えられる札幌ドームです。この堂々とした姿は変わりませんが、ファイターズが移転したことによって中身は大きく変わりました」

(札幌ドーム 山川広行社長)「当期純損失が6億5千万円の大幅な減収減益になりました。長らく札幌ドームを本拠地球場として利用いただいていた北海道日本ハムファイターズが、2023年春に新球場に移転したことにともない、大きな経営環境の変化が現実のものとなりました」

札幌ドームは6月21日、ファイターズの本拠地移転後、初めてとなる昨年度の決算を報告しました。

最終的な純損益は過去最低となる6億5100万円の赤字。

当初想定していた2倍以上の額で、移転の影響が浮き彫りになりました。

その要因は…

ファイターズ移転 過去最大の赤字

「来場者の減少」

23年度のイベント数は前の年より26日少ない98日で、来場者数も40.7%減少しました。

これまでファイターズの試合が利用の半数近くを占めていたからです。

(札幌ドーム 山川広行社長)「ファイターズがいる時といない時で一番違うのは広告。平日のナイターがなくなったことで2億円以上違うのが現実です」

「新モードの利用低調」

ファイターズが抜けた穴を埋めるため、大きな柱として打ち出していたのが、コンサートの新モードです。

会場を大きなカーテンで仕切り、2万人規模のコンサートでも利用してもらおうと、10億円をかけて改修しました。

しかし、現在のところ開催はわずか3回にとどまっています。

「ネーミングライツ契約なし」

さらに、新たな収入を確保するため販売した「ネーミングライツ」も、年間2億5千万以上を希望していますが、いまだ契約には至っていません。

(札幌ドーム 山川広行社長)「実際にやろうとしたことが思うように進まなかったというのは実際の問題です。これが見通しが甘かったというのは抵抗がある。難しさを持ちながら挑んでいった」

想定以上の赤字に陥った札幌ドームに市民は…

(70代女性)「いやすごいなと思いました、赤字額が6億でしょう?せっかく作ったんだから。あれはやっぱり維持して、ちゃんと使っていかないともったいないんじゃない」

(70代男性)「もうちょっと使い方を考えればって思うんですけれども。負の遺産て言っちゃうとね、残念ですけど、さみしいですね」

(40代女性)「使う機会がない。みんなファイターズの試合がある時はファイターズの試合で行く場所ってイメージだったから、それがなくなると何に使っているのかなみたいな」

こうした中、札幌ドーム周辺では新たな施設が建設される予定です。

アクセスサッポロの後継施設である大規模展示場と新月寒体育館です。

札幌市は新月寒体育館を札幌ドーム敷地内に建設した場合、3つの施設の運営を一体化することも選択肢のひとつとして検討しています。

(秋元克広札幌市長)「スポーツイベントやコンサート、あるいは展示場にしても、営業がかぶってしまうような効率が悪い状況というのは想定されますし、全体のエリアをマネジメントしていくことを考えていかなければいけないと思っています」

(札幌ドーム 山川広行社長)「同じようなイベントをやっているので、ノウハウがあるでしょうけど、我々もノウハウがあるので協力しながらできる気がする」

今年度は黒字の見込み…にぎわい取り戻すカギは?

こちらは2022年6月に札幌市が公表した収支見通しですが、23年度で赤字となるものの24年度からは黒字に転じ、27年度までの5年間トータルでも黒字だと見込んでいました。

しかし、23年度の赤字は6億5100万円と大幅に下回る形となりました。

それでも山川社長は今年度、当初の試算通り3100万円の黒字になると見込んでいます。

今後、にぎわいを取り戻すことはできるのか。

スタジアムやアリーナについて研究する専門家は、いまの札幌ドームについて体制を抜本的に変える必要があると指摘します。

(追手門学院大学 上林功准教授)「施設運営の仕組みが2002年から止まっています。第3セクターは化石みたいになっていますから、そこからまずメスを入れる方がいいのではと思います。最近は、指定管理者に対してコンセッション方式(運営権を付与する方式)といわれるものが出てきています。運用の決定権を民間事業者に渡して、代わりに民間事業者はそれに対する対価を払うような形で、市にもお金が入ってくるし、民間事業者は工夫によって自分で利益を上げるような仕組みができつつあるような感じです」

上林准教授は、札幌ドームの大きな問題として、市民が気軽に足を踏み入れることができない点だと指摘します。

どう活用していくべきかアイデアを聞きました。

オリンピック選手などのトップアスリートが使用するナショナルトレーニングセンター、それに付随して、データなどを取って競技力向上やケガの予防などに貢献するスポーツ医科学センターを誘致してはどうかということです。

一般市民も利用料を支払って使えるようにすることで、普段から札幌ドームを利用することにつながり、固定費収入も見込めるうえ、現在のスポーツフィールドをそのままの形で使用すれば、コンサートなどの興行も行えるので収入も維持できるという考え方です。

(追手門学院大学 上林功准教授)「札幌ドームは雪や雨を避けられる場所として貴重だと思う。市民利用の核にするような考え方は、もしかしたら市民の支持を得る第1歩かもしれないと思います」

いかに市民が足を運ぶ機会を増やせるか…

今後のカギとなりそうです。

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