【中越地震から20年】南魚沼市で新潟県総合防災訓練 “経験と教訓を未来に” 避難所で進むデジタル化や新しい防災テントも ≪新潟≫
新潟県中越地震から10月23日で20年です。
これを前に20日、南魚沼市で震度6強の地震を想定した県の総合防災訓練が実施され、住民が避難の手順などを確認しました。
訓練は「マグニチュード6.9 最大震度6強の地震発生」という想定で、陸上・航空自衛隊や第九管区海上保安本部など防災の関係機関・約80機関と地域住民が参加。
孤立集落を想定しドローンによる物資空輸やヘリによる住民救助など大規模災害時の対応を確認しました。
避難所訓練には地元・天王町の住民が参加しました
避難所の入所手続きはデジタル化が進んでいます。
今回の避難所訓練ではマイナンバーカードを使った入場手続きが行われました。
マイナンバーカードや事前登録したアプリについているQRコードを読み込むことで短時間で手続きでき、避難者の基本情報から健康状態・アレルギーの有無などが確認できます。
担当者によると今後はペットや家族同士を紐づけ、一人の手続きで家族全員分の手続きも行えるようなシステム開発も進めたいということでした。
避難所では避難者の健康状態をみる救護室が設営されました。
この救護室に使われているのは災害の教訓を生かした新しい防災テントです。
全国で初めて展示されました。
この「YDテント」と呼ばれる床暖房付きテントは床を温めるだけでなく床からの遠赤外線放射をすることで、部屋全体を均等に温める主暖房の役割を担い、担当者によると季節問わずテント内の室温を20℃程度に保てるといいます。
学校にある体育館のテントを使って設営でき、LPガスで沸かした温水を利用するため避難所内に火器を持ち込まずに済むのが特徴です。
開発のきっかけは熊本地震と能登半島地震でした。
≪リボンガス 内海 久俊 代表取締役≫
「能登半島地震を伝える報道で、避難所で石油ストーブを使っている様子が見えたんです。避難所ってダンボールベッドが多くなっているじゃないですか。熊本地震のように大きな余震があった場合、大きな火災につながるのではないかと思ったんです」
熊本地震で自身も被災した内海社長。大きな余震の続いた熊本地震と、真冬に発災した能登半島地震2つの震災を通して火災のリスクが少ない避難所暖房の必要性を感じたと話します。
≪リボンガス 内海 久俊 代表取締役≫
「高齢者の中には寒さを理由に避難するのをためらう人もいる。適切な避難行動につながるようこれをきっかけに多くの方に技術を知ってもらいたい」
避難所運営に無くてはならないのが地域の力です。
小千谷市では、中越地震の際、市内に136か所の避難所が開所されましたが、そのうち市職員が管理運営できたのは10か所程度でした。被害が市内全域にわたり職員が災害対応業務に追われたためです。
こうした経験をうけて今回の訓練では住民自身がテントやダンボールベッドの組み立てる体験会が開かれました。設置手順や使い心地などを確かめた市民からは「思ったよりも簡単にできるとわかってよかった」などの声が聞かれました。
「震災を自分ごとに 自らの命は自らで守る」
訓練を視察した花角知事は「訓練は繰り返し行うことでもしもの時の対応力をつけるもの。訓練を通して市民にも震災を自分ごととして、自らの命は自らで守る、そういう意識を高めるきっかけになったのではないか。また関係救援組織にとっても手順の確認や連携を確認でき、意義のある訓練だったと思う」と述べました。
県や市は引き継ぎ関係機関との連携強化や地域の防災力向上に努めたいとしています。