終わらないコロナ…後遺症と闘う18歳 心無い言葉に涙も【長野・岡谷市】
去年から「新型コロナ後遺症」をテーマにした特集を継続的に放送してきました。
発症のメカニズムや治療法もいまだ解明されていませんが、寝たきりの状態が2年以上続く岡谷市の18歳の女性は、もとのように動ける日を目指して闘っています。
週に一度の訪問リハビリを欠かすことができません。
岡谷市に住む、山田幸奈さん18歳。
今はまったく、体が動きません。
味や匂いも感じなくなりました。
医師からは、新型コロナウイルスによる後遺症と診断されました。
この生活がもう2年以上続いています。
【山田幸奈さん】
「このまま変わらなかったらどうしようという、不安とか焦りがいっぱい」
もともと、体を動かすことが大好きだった幸奈さん。
幼い頃から発達障害がありましたが、毎日の学校が楽しみで小中学校は、皆勤賞でした。
しかし、おととし9月、高校2年の夏休み明けのある出来事から日常が一変します。
新型コロナの感染です。
それ以前にワクチンは3回接種していましたが、感染直後は40度近い高熱が続き、肺炎を併発、入院しました。
倦怠感や息苦しさ、味や匂いを感じなくなるなどの症状が現れ、コロナが陰性に戻ったあとも寝たきりの状態が続いています。
【母の笑子さん】
「手をあげるだけでも重いって言うもんね」
後遺症で多い症状が倦怠感、次いで気分の落ち込み。
周囲からはこんな言葉もー。
【山田幸奈さん】
「気の持ちようとか、甘えているとか、赤ちゃん返りしているとか、いっぱい言われて、つらかったし」
大阪市にある大阪公立大学医学部附属病院。
2021年に全国に先駆けてコロナ後遺症の専門外来を設置しました。
【大阪公立大学医学部附属病院 井本和紀医師】
「僕たちコロナの患者さんを診ていく中で後遺症を残されている方がどうやらいるということがわかってきましたし、それであれば自分たちで診始めようというかたちで始めた」
大阪市に住む60歳の女性は、後遺症になって3年以上が経ちます。
【コロナ後遺症患者(60)】
「歩こうと思ったら、下半身が自分のものではないような重苦しさと、足元に重りを付けられているような」
【大阪公立大学医学部附属病院 井本和紀医師】
「コロナにかかった当初に重症だった方と軽症だった方で、そんなに後遺症が残っている割合が変わらない。つまり後遺症は軽症の方でも十分残しうるということがわかりました」
神奈川県にも重症の患者がいます。2年半前にコロナ後遺症と診断された横浜市の男性。
【コロナ後遺症患者(40)】
「朝起きても明らかにこれは普通じゃないぞというようなレベルの倦怠感がずっと24時間365日続いているような状態で」
今は、妻の支えがなければ、家の中さえ移動することができません。
【男性の妻】
「こういう状態。うそみたいなんですけど」
「ガクガク本当力が入らない状態」
「危ない。」
国は今年、最新の調査結果を発表しました。
大阪と札幌での調査で分かったことそれは感染から3か月たっても何らかの症状が残る割合が、およそ15パーセントから20パーセント、さらに1年半たっても症状が続く人が感染者全体の5%以上いました。
しかし、まだ、世界的に治療法は見つかっていません。
国は、後遺症関連の研究費として、およそ7億円を計上。海外のコロナ後遺症の研究に詳しいイェール大学の岩崎明子教授は…
【イェール大学(アメリカ)岩崎明子教授】
「アメリカは世界一、投資はしていると思うが、それでもまだ足りないのが現実」
「(アメリカは)1700億円くらいの投資をすべて後遺症に研究費としてあてたが、2024年にも追加で日本円で700億円くらい追加で」
新型コロナ後遺症が発症する詳しい原因やメカニズムはまだ、わかっていません。
幸奈さんたち、後遺症患者が願うのは、治療法の確立、そして、理解ある社会の姿です。
【山田幸奈さん】
「もう2年かという感じ」
「早く動けるようになりたい」
【母の笑子さん】
「焦りと不安が入り交ざって日々を過ごしているような状態」「(新型コロナが)憎い。ですね」