友人の引き留めを試みるも音信不通に…キャンパスでの麻原彰晃講演会を当時の大学生が語る 事件を知らない世代は何を思う? 松本サリン事件私の30年⑤
シリーズ「松本サリン事件 私の30年」最終回は直接事件を知らない高校生、大学生の声です。
信州大学松本キャンパス。
松本サリン事件では、当時の学生2人が犠牲となりました。
30年前、経済学部を卒業し現在、香川で大学教授をつとめる岡田徹太郎さん。
事件を起こしたオウム真理教が松本サリン以前にも大学で活動していたといいます。
【当時の信大生・岡田徹太郎 香川大教授】
「麻原彰晃講演会、1991年私が大学3年生の時に行われたものですけれども」
「麻原彰晃が真ん中にいて、周囲で信者たちが踊ったりするのを見せたりしていましたね。」
「ただしですね、今から見ると当時から非常にテロリスト集団としての動きをすでに事実として始めていたわけですよね、そこを見抜くことができなかったということに対しては忸怩たる思いがあります。」
オウム真理教は、有名大学で講演するなど、高学歴の若者たちを重視した勧誘を行いました。
岡田さんは、入信しようとする数多くの友人の引き留めを試みるものの、山梨県の拠点に行ったきり、音信不通になった人もいたといいます。
松本サリン事件から30年。
【信州大学 荒井英治郎 准教授】
「そもそも松本サリン事件を知っていたよという人ってどれくらいいますか?ほうほうほう結構いるんですね」
テレビ信州は、教育行政学が専門で信州大学の荒井英治郎准教授と共同で松本市内の高校に通う高校生と信州大学の学生に事件やメディアについての意識を聞くアンケート調査を実施。688人から回答がありました。
このうち、松本サリン事件を知っていたと答えた人は84%でした。
一方で、オウム真理教が山梨県に構えた施設サティアンでサリンを製造していたことや後継団体がいまも活動を続けていることを知る人は少ない傾向でした。
【信州大学 荒井英治郎 准教授】
「30年という月日、そして自分が生まれる前の情報であるにもかかわらず、これぐらいの回答の数が出たというのは私もある種、想定外のことでした。」
「かたや、その後今どうなったのかということについては、まだまだあのキャッチアップできてないっていうか。この辺は引き続きメディアとしてもどういうふうな内容をどのように伝えていくのかっていう責任がまあ、投げかけられているような気がした。」
このほか、アンケートでは第一通報者の男性が松本サリン事件で犯人視されたことに関連して事実とは異なるフェイクニュースやデマについて聞きました。
正しい情報を見分ける自信があるか、「ある」と答えた若者は、14.7%。「あまりない」、「ない」と答えたのは、73.9%に上りました。
また、情報を受け取る際に気を付けていることは何か尋ねると、こんな意見がありました。
【高校生】
「鵜呑みにしないことももちろんだが、他のメディアでもしっかりと調べるのも大切」
【高校生】
「すべての情報が正しいと思わずに一度、違う視点から見たり疑ったりする姿勢を持つこと」
【大学生】
「気になった情報だけでも、自分の知識であったり、何種類かの記事・文献を見ることで比較・検討し、どの部分が正しいのかを吟味すること。」
こうした現状についてさらに学生の声を聞きました。
【大学生】
「やっぱりフェイクニュースとかに踊らされて、河野さん以外の人の個人情報を特定することになってしまったりする可能性もあるし、昔よりももっとひどい個人情報として深掘りされて、いろんな情報が公開されたりすることがあると思っているので、多分今よりももっとひどい状況になると思っています。」
【大学生】
「自分の情報に確信がもてないまま、発信するのってすごい罪なことだと思うのでちゃんと裏付けができたらってところですかね?」
「公的な機関でも間違うことはあるので、時間が経たないと確信が得られないことがあるので、時間は置きます。」
【大学生は】
「人に迷惑をかけないように、人に何か発信するときはそれなりの責任をもって、自分の言葉にも誰も自分で責任を取らなきゃいけない年齢だと思うので、自分の発言には責任をもって、自分の中ではいろいろ考えることを情報を取り入れることを恐れないで、取り入れて考えることが大事なのかなと思います。」
【大学生は】
「疑いの目は割と持っていると思いますが、まあ、僕たちはいわゆるZ世代と言われている人たちは、まあその何でしょうね。まあ、生まれた時からネットがあるんで、まあ、そういうのは判断しなきゃダメだよって一番教え込まれてきた世代ではありますので、そういう目はありますけど、まあ、それの教えを忘れてしまってパッといっちゃうことの方が多いんじゃないかなと思います。」
【荒井准教授】
「必ずしも信頼を置いているメディアを活用しているわけではないというふうなこの事実は、結構こう重い問いかけをするなというふうなことがあるので、これだけこう即時性、即効性、即興性というふうなええ、タイムパフォーマンスとかですね。コストパフォーマンスといわれるようなファスト文化がこうはびこっている中で、どれだけ立ち止まって物事を考えたりとかする際に重要なパートナーっていうのをメディアとして捉えた場合に何を選択するのかっていうのは、あのもっと慎重に考えてほしいことであるっていう気がしますね。」