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そのままの話し方でいいよ… きつ音への理解深める取り組み続く ありのまま受け入れる優しい社会に…【長野】 

2024年3月19日 20:45
そのままの話し方でいいよ… きつ音への理解深める取り組み続く ありのまま受け入れる優しい社会に…【長野】 

言葉がスムーズに言い表せない「きつ音」。100人に1人いると言われています。その理解を広め受け入れられる社会を作りたい。試行錯誤が続いています。

6年生
「きつ音の人って、どうやって接したらいい気持ちになれますか」

高山先生
「先生もきつ音があるんだけど、私がみんなくらいの時、小学校6年生や中学校の時って、当時はこの話し方が嫌で、何とかしたいな、こういうふうになりたくないなって悩んでいた時期がありました」

長和町の小学校で行われたきつ音の授業。指導するのは髙山祐二郎さんです。最初に伝えたのは「なぜ、きつ音になるのか」ということ。

高山先生
「どうしてそうなるか。それはその人の自然な話し方だから.別に慌てているわけでもないし、緊張しているわけでもない。なぜかわからないけどそういう話し方、っていうことをぜひ知っておいてください」

2歳から5歳の間におよそ100人に5人の割合で発症するとされる「きつ音」。原因は特定されていません。多くは自然になくなりますが人口の1%、およそ100万人はきつ音が続きます。

東御市民病院にはきつ音専門の「ことばの外来」があり2歳前後から60代まで幅広い年代が訪れます。

言語聴覚士・餅田先生
「きつ音の一番一般的に知られている話し方は、こここれがとか、あああありがとうみたいな、最初の音を繰り返して言う『連発』っていう話し方なんですけど」

例えば「ありがとう」というとき…「あああ」と同じ音を繰り返すことを連発、「あーりがとう」と音を引き伸ばすことを伸発、声が出ず言葉が詰まることを難発といいます。連発が自然な話し方とされますがきつ音を隠そうと工夫することが続くと伸発や難発に進行する可能性があります。きつ音を出すことは「自然な話し方」。周囲の理解が大事だと餅田さんは指摘します。

餅田先生
「あああってなる人いるよね。一杯出して話した方が話しやすいんだよねっていうことが、すごく当たり前にみんなが知っていることになったら、きつ音の方はそんなに困らなくなるというか私のところに相談に来る方も減るかもしれないですね」

髙山先生も児童たちに問いかけました。

高山先生
「きききのうとか、さーっかーとかってならないように気を付けて話したらどうなるでしょうか。ちょっと相談してみよう」

児童の話し合い
「気を遣ったら疲れて自由な言葉がしゃべれない」
「気を付けたらしゃべるのが難しくなっちゃうから」
「難しくなるのありそうだよね」
「無理に気を付けなくてもいいと思う。聞こえるもん、言葉」

自分や友達に置き換えながら考えました。

高山先生
「せせせ先生、こここっち来てあそぼ。伝わるよね。でも気を付けていると、っせっせんせい。声が出なくなっちゃう.そのままの自然な話し方でいいよね。ぜひそういうみんなになってほしいなって」

高山先生は「学んだことを家族や地域の中で話をすることで理解の深まりを期待したい」と話していました。

そして。「私のしゃべり方を理解して欲しい」と学校で伝える機会をもった中学生がいます。

上田市の第五中学校。1年生の堀内彩友さんです。同じ学年のおよそ150人を前に自分のきつ音について語りました。

「自然に出てくる、あああという話し方が私にとって楽な話し方です。あああってならないように工夫してしまうと苦しくなって声が出せなくなってしまいます。なので、彩友さんは、あああって楽な話し方が出ていた方がいいんだよねって皆さんに分かっていて欲しいです。よろしくお願いします」

彩友さんはきつ音を知ってもらうことから始めたいと家族や言語聴覚士などとも内容を相談しながら 自分の言葉で思いを伝えました。

その一歩は彩友さんの手応えともなったようです。

そして。同じように踏み出した一歩をきっかけに不安を自信へと変える若者がいました。

佐久市で開かれたその名も「注文に時間がかかるカフェ」。

きつ音のある若者が店員として働く1日限定のカフェで全国各地で開かれています。来店した客にきつ音を説明するのが特徴です。

海沼佐和さん・松本市
「話しているのが変に思われたりするかもしれないですが、それをからかったり笑ったりしないでもらえたらうれしいです」
「ぜんぜんしないよ!」「しない?ありがとう!」

こちらはクイズ形式で…

柳沢直希さん・東御市
「きつ音がある人と同じクラスになりました。あなたならどうしますか?
1・話しかけない 2・他の人と同じように接する」
「答えは他の人と同じように接してくれるとうれしいので、他の人と同じように接してください」

「おいしい!」

きつ音のある若者も、来店した客も。心地いい時間が心の扉をゆっくりと開いていきます。

海沼佐和さん・松本市
「無理して(きつ音を)治す必要もないのかなって。きつ音はどうしたら治るのかとか調べたりして、でもやっぱり言語聴覚士の方に出会って、この話し方でもいいのかなって」

自らも幼いころからきつ音があった主催者の奥村安莉沙さん。

奥村さん
「お客さまとお話していく中で、だんだんすごくいい笑顔が出てきて楽しめたのかなと思います。温かく見守っていただけると私たちも挑戦しやすいので、優しい社会になってもらえたらうれしいです」

少しでもきつ音に関心があるだけで勇気づけられる心。そして生まれる笑顔がありそうです。

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