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能登半島地震で被災 輪島市の中学校教諭が母校の信大教育学部で語る 災害時の教育現場は…最初に直面した問題、これからの課題は…

2025年2月3日 19:59
能登半島地震で被災 輪島市の中学校教諭が母校の信大教育学部で語る 災害時の教育現場は…最初に直面した問題、これからの課題は…

石川県能登半島を襲った去年の地震や豪雨。生活もままならない中、子どもたちの学びは、どのように続けられていたのでしょうか。

石川・輪島市立東陽中学校 佐渡友己成 教諭
「大人とか子どもとかじゃなくて一人一人が支えてなんとか乗り越えられたなというのが実感あるし、子どもたちよく頑張ったなと思います」

石川県輪島市の中学校教諭、佐渡友己成さん24歳。母校・信州大学教育学部で、災害時の教育現場を語りました。

去年の元日に発生した能登半島地震。教師1年目、最初に直面した問題は、「生徒の安否が分からなかったこと」。

副担任を務める1年生10人全員の安全が確認できたのは、地震から8日後でした。校舎も大きな被害を受ける中、伝えられたのは、集団避難。

佐渡さんは、自宅が被災しながらも150キロ近く離れた避難先に子どもたちを引率しました。

輪島市立東陽中学校 佐渡友己成 教諭
「どのように生活を続けるのか、学習を続けるのか、その基盤を確保するのか、正直、一番しんどかった時期です。私らが子どもたちを支えて、子どもをサポートしていく立場なんですけど、正直、子どもに助けられた場面っていうのが多かったかもしれません。こんな時だからこそ、子どもらは、いつもは言うこと聞かない子が率先して動いてくれたり、本当はつらいんだろうけど、なぜかいつもよりにこやかだったり」

避難先に移った生徒、地元に残った生徒、コロナ禍で普及したリモートで学習環境を保ちました。

新年度には、子どもたちの進級と同時に副担任の佐渡さんが担任に。

授業・部活動、それに学校行事…。

佐渡先生
「順調に、地元に戻って東陽中に戻っていろんなものが再開してやっと軌道に乗ってきたなというところでもう一度…」

佐渡先生
「この水害でいよいよ心折れるかなと思ったんですけども、子どもに電話して安否確認した時に「大丈夫か?」と聞いたときにとても覚えているのが「はよ、学校行きたいです」って言ったんですね。次、再開した時に、子どもらがちょっとでもいい思いできるようにしてあげたいなってそれが自分の原動力にもなりました」

信大教育学部2年生
「自分が将来、教員になったときに起きるであろう災害について考えることもできましたし、やっぱり教員になって子どもを守る立場になったときに自分がどうしなきゃいけないのかなっていうのを考えるひとつのきっかけになりました」

信大教育学部2年生
「すごくこれからもし能登半島地震が教科書とかに載るようになったら、このような話をできたらなと思います」

学校が休みの日に発生した2度の災害。講演会を企画した防災教育の専門家は。

信州大学教育学部 廣内大助 教授
「東日本大震災がぎりぎり学校が子どもたちと教職員がいるような時間に起こった災害ですよね。想定外をできるだけなくすためにしっかりさまざまなことに対して、学校現場で準備していって、子どもたちの命を守ったりする努力をしてかなきゃいけなくて」

2度の災害を経た子どもたちに必要なことは、継続的な心のケア。佐渡さんは、アニバーサリー反応と呼ばれる、節目での心の変化に気を付けています。

佐渡先生
「1年経って大丈夫でも2年、3年経って心に変化が出てきたりという事例をよく聞きます。1年経ったから大丈夫じゃなくて、なおさら、さらに注意深く見ていくことを大切にしていきたいと思います」

最終更新日:2025年2月3日 20:10
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