子が泣くほど福が舞い込む節分の伝統奇祭「モットモ」 若い世代がモットモ爺に初挑戦《長崎》
2日は節分の日でした。豆まきをして福を呼び込んだ人も多いのではないでしょうか。
長崎市手熊町では、節分の前夜に福を先取りしようと、伝統の奇祭 "モットモ" が行われました。
(モットモ爺)
「モットモーッ!」
節分前夜に現れたのは、モットモ爺。
訪ねられた家の子どもたちは逃げたり、隠れたり…。
子どもが泣けば泣くほど、縁起が良いと言われています。
国の無形民俗文化財に選択されている奇祭「モットモ」。
長崎市手熊町に伝わる伝統の祭りですが、人口の流出や高齢化が進み、継承への課題が出てきています。
(手熊町自治会 川勝 貞敏 会長)
「以前は青年団があったが、今は青年がほとんどいない。子どもたちに引き継ぐために、継続していく必要がある」
そこで奮闘しているのが、若い世代です。
(福娘役の男性)
「自分のおばあちゃんみたい」
( 福娘役の男性)
「楽しみ」
今年は、5人がモットモ爺を務めました。
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「親父の実家が手熊町。引っ越してきて初めてのモットモ爺だから、参加するしかない」
初めて挑戦したのは、久松 大和さん30歳。
自身も幼いころ、モットモ爺に泣かされた記憶があるそうです。
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「できました。怖いと思う」
初挑戦のモットモ爺をサポートするのは、40年近く携わっているベテランの村上 憲浩さん 62歳です。
(手熊町自治会 村上 憲浩 理事)
「今年はなかなか人の集まりがよかった。皆さん頑張ってやってくれると思う」
5つの班に分かれ、100軒あまりの家をまわります。
午後7時、いよいよ出発です。
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「ちょっと緊張する。やったことないので」
豆をまいて鬼を追い出す「年男」。
「福娘」は福を招き入れます。
そして床を踏み鳴らして鬼を追い出すのが「モットモ爺」です。
(モットモ爺)
「モットモーォ!」
子どもがいる家を一軒、一軒回っては、大きな声を出しながら子どもたちに顔を近づけ、怖がらせます。
(モットモ爺が来た家の人)
「話は聞いていたので、我が子を連れてくるのが夢だった。感動です。健康に育ってくれれば」
お父さんにしがみつき、嫌がる女の子にも大きな声で…
(モットモ爺)
「モットモーォ!」
(モットモ爺が来た家の人)
「いいですね。日頃わがままなので、たまにはいい刺激を」
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「最高でした。もう1回行ってやりたい。夜眠れなくなるので」
モットモ爺と元気に泣く子どもたちの姿を見ながら、地域の大人たちはニコニコ顔。縁起物が今年もやってきたと、伝統の奇祭に大喜びです。
モットモ爺に扮した久松さんが向かった先は…
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「いよいよですね。ちびらせてやります」
自宅です。
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「モットモー!これがモットモ爺。」
(モットモ爺 久松 大和さん(30))
「大変!疲れた、楽しかったけど。もちろん(次回も)モットモ爺として参加する。
伝統は続けていかなければ」
にぎわう声と子どもたちの泣き声が響き渡り、まちには多くの福が舞い込みました。