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「努力すればもっと高いところへ行けるすごく素敵なスポーツ」県内初の女性ボートレーサー誕生 中川村出身の20歳 過酷なプロの世界で奮闘中

2024年7月3日 21:21
「努力すればもっと高いところへ行けるすごく素敵なスポーツ」県内初の女性ボートレーサー誕生 中川村出身の20歳 過酷なプロの世界で奮闘中

県内出身の女性としては初となるボートレーサーが誕生しました。デビュー戦からおよそ1か月。
プロの世界に飛び込んだばかりの上伊那郡・中川村出身20歳の素顔に迫りました。

最高時速80キロ。“水上の格闘技”とも呼ばれるボートレース。操縦技術と一瞬の駆け引きが勝敗を分けます。

この厳しい世界に飛び込んだのが、中川村出身のはたち・井澤聖奈選手。彼女は、県内出身女性、初のプロボートレーサーです。

井澤聖奈選手
「長野県出身っていう人がもともと少ないっていうのも聞いていたのでこれはちょっと(県内初になる)チャンスかなと思っていました」

現在、国内で活躍する女性ボートレーサーは、全体の1割に当たるおよそ160人。レースは性別や年齢に関係なく、同じ条件で行われます。

井澤選手は今年5月25日のレースでデビューを果たし、いまは愛知県を拠点にしています。6艇のモーターボートで、1周600メートルのコースを3周してその順位を競うボートレース。直線での最高時速はおよそ80キロ!いかに、スピードを落とさずにカーブを回るかも、大きなポイントです。

井澤選手がボートレースに出会ったのは2歳のころ。父に連れられてレース場へ行ったことがきっかけです。

井澤聖奈選手
「ぼんやり本当にぼんやりなんですけどなんとなぁくエンジンの音とかモーターの匂いとかがありましたね。ワクワクする感じを覚えています」

小学5年生の時、レースの収益の一部が社会貢献に役立てられていることを知り、ボートレーサーを目指そうと決意。高校卒業の翌年、3度目の挑戦でついに 養成所に入る試験を突破。倍率25倍という狭き門でした。

「お父さんに合格を報告したときどんな反応でしたか」

井澤聖奈選手
「本当に泣いて喜んでいました」

養成所では1年間、外部とは隔離された集団生活で、必要な知識と技術を学びました。はじめは、精神的にも体力的にも追いつかなかったという井澤選手。

前向きな性格と持ち前の明るさで次第に楽しみを見つけていきました。

井澤選手
「これを乗り切って出た時に食べる甘いドーナツとかタルタルのかかったチキン南蛮とかはもうめちゃくちゃおいしいんだろうなと思って頑張ってました」

今年3月、1年間の養成所生活を無事終了。厳しい訓練を乗り越えたのは同期52人のうち、わずか「25人」でした。

6月下旬。

井澤選手は、次のレースに向けトレーニングを重ねていました。

この日、与えられた水上での練習時間はわずか30分間。カーブで失速せずに直線に入ることを課題に、レース本番と同じコースを走り感覚をつかみました。

体重にも規定があるため、特にレース直前は炭水化物を控えるなど、プロとして体調管理にも気を配ります。

プロデビューでめまぐるしい毎日を送っていた井澤選手。ずっと行ってみたかった場所がありました。

井澤聖奈選手
「海です!」

Q長野県は海ないですもんね?
「そうなんですよね。なかなか見られないのでめっちゃ広いですね!」

井澤選手
「わかりますかね?河童です。河童ちょっと好きで」

レース当日、宿舎から一斉に走り出てくる新人レーサーの中に井澤選手の姿もありました。自らのレースを前に先輩レーサーのモーターの取り付けを手伝うのも新人の役目です。

「お願いします」

自分のボートの準備も手早くおこない、レースに備えます。デビューからこれまで14回出走しすべて最下位の6着。いまの井澤選手の目標は順位をひとつでも上げること。

名古屋市から
「1年2年下積みして少しずつ伸びてけばいいんじゃないかなと思っていますけどね」

「6艇はルーキー井澤」

この日の相手は、29歳から45歳のベテラン男性選手。

最初のカーブで井澤選手はスピードを保つことができず他の選手に先を越されます。

ストレートで必死に食らいつきますが…、力の差を見せつけられ結果は、6着でした。

井澤選手
「もう全然レースに参加できてなくてまだまだですね…」

20歳の新人ボートレーサー井澤聖奈選手の挑戦は始まったばかりです。

井澤聖奈選手
「男女関係なく努力すればもっと高いところへ行けるすごく素敵なスポーツだと思っています。見ている人が納得のいくようなレースをできる選手になりたいなって思います」

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