【専門医に聞く】”サイレントハンディキャップ”「多汗症」 診断基準&治療法は?
毎週水曜日のくらしと健康企画「元気〇らいふ」です。
7日のテーマは「多汗症」。
大量の汗をかくことで日常生活に支障が出る病気です。
この「多汗症」は、なかなか他の人から理解されない「サイレントハンディキャップ(=目に見えない障害)」として本人だけが悩んでいる場合も多いという特徴があります。
多汗症の診断基準や治療法について皮膚科の専門医に聞きました。
佐々木皮膚科 佐々木豪院長
「今年の夏はとても暑い夏が予想される。汗は暑いときに体温の過剰な上昇を防ぐ体にとって大切な役割を果たしている。ただ、それほど暑くもないのにわき汗で衣服が明らかに濡れてしまったり、テストの答案用紙、あるいはスマホが手汗で濡れたり、大量の汗で日常生活に支障をきたしているならそれは「多汗症」という病気」
「多汗症・汗がいっぱい出てしまう病気なんですが、日本人でどのくらいいるかというと、10%。10人に一人は多汗症の人がいると言われている。また、そのうち59%はわき汗。29%は手汗で悩んでいる方がいるという統計がある」
例えばわきの多汗症の人はシャツの汗じみにより、人目が気になります。
また、手の多汗症の人は…
「手汗で握手やハイタッチが苦手になり、ゲームやイベントへの参加に消極的になってしまいます」(20代・女性)
「手汗でひどい冷え性なんです」(50代・男性)
「プリントが濡れてしまうのでプリント配布係は苦手でした。段ボールも苦手です。手形がついてしまうんです」(20代・男性)
その結果、勉強や仕事に集中できない。人前に出たくない。
さらには、うつ病を発症するなど、とても深刻に悩んでいる方もいます。
「しかも汗を気にしていると、さらに汗が出るという悪循環で多汗症が悪化することが知られている。多汗症のうち、明らかな原因がないものを「原発性多汗症」何か病気があって汗が多くなることを『続発性多汗症』」という」
「続発性多汗症」の場合はまず原因となる病気を診断・治療する必要があります。
いわゆる汗っかきと、病気である「多汗症」とでは明確な診断基準があります。
①発症が25歳以下
②左右同じくらい汗をかく
③睡眠中は汗が止まる
④家族歴がある
⑤週1回以上困ることがある
⑥日常生活に支障をきたす
6項目の中で2つ以上当てはまる場合は「多汗症」の疑いがあります。
「多汗症」の治療は悩んでいる部位ごとに【塩化アルミニウム溶液】を患部に塗る方法や
水をためた容器に手や足を浸し専用の機械から微量の電流を流す【水道水イオントフォレーシス】。
さらにはボツリヌス菌の毒素を【注射】する方法や【内服薬】、【手術】などの選択肢があります。
そして新しい薬も…、
「2019年以降はとてもいい薬が出た。これはただ塗るだけだが、『抗コリン外用剤』というのが発売された。これは我々のクリニックで保険適用の薬で使っている」
この薬は、わき汗に関しては9歳から手の汗に関しては12歳から使えます。
また、わき汗には9割の方に。手汗に関しては7割~8割の方に効くと言われています。
「汗の出る量を減らそうと水分を控えるのは熱中症になることがあるので控えてください。
勉強や仕事に集中できない。人前に出たくない。さらには『うつ病』を発症するなど、とても深刻に悩んでいる方が『多汗症』にはいる。こういうことで生活の質の低下や対人関係の悪化などで悩む方へ周りが理解してあげる。きょうの放送を通じてそういう病気があるということ、そしてとてもいい治療法があるということを周りの方にぜひ知らせてほしい」
周りの方の理解というのも大切です。気になる方は一度皮膚科の専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
以上、「元気〇らいふ」でした。