×

【判決】強盗殺人などの罪 滝沢市の男性を殺害・通帳など奪う 被告の男に無期懲役 盛岡地裁

2024年7月29日 19:41
【判決】強盗殺人などの罪 滝沢市の男性を殺害・通帳など奪う 被告の男に無期懲役 盛岡地裁

古舘友華キャスター
 去年8月、岩手県滝沢市の男性を殺害し、通帳などを奪ったとして強盗殺人などの罪に問われている男に判決が言い渡されました。警察担当の山口記者とお伝えします。

山口知己記者
 裁判所は「刑事責任は極めて重大である」として検察の求刑どおり「無期懲役」を言い渡しました。

 29日の判決公判に上下紺色のジャージ姿で入廷した本籍・盛岡市前九年の佐藤廣明被告76歳。(※住所不定・無職)無期懲役の判決を身動きせず、落ち着いた様子で聞いていました。

 佐藤被告は去年8月、滝沢市穴口のアパートの一室で、このアパートに住む佐藤猛さん当時72歳を殺害し、通帳などを奪った強盗殺人の罪に問われていました。

 殺害後は逃げるため車を乗せてもらった男性に雫石町で暴行して軽乗用車を強奪。

 さらに通りかかった車の運転手を車内に監禁したまま移動するなど、車を乗り換えながら逃走し、青森市内で検問中の警察車両に車を衝突させ逮捕されました。

 古舘キャスター
今回の裁判員裁判ではどのようなやりとりがあったのでしょうか。

 山口記者
はい、まず今月16日の初公判で、佐藤被告は起訴内容に「間違いない」と答えました。

 検察は強盗殺人の罪について「年金支給日を待って犯行に及ぶなど狡猾で計画的な犯行だ」と指摘。

 さらに「逮捕を免れるために次々と犯罪を起こした」ことなどを挙げ、無期懲役の判決を求刑しました。

 対する弁護側は無期懲役が相当としたものの、「佐藤被告が凶器を使わなかったこと」などから殺意については否定しました。

 また、動機について、裁判では「昏睡強盗の罪で刑務所に服役して出所したものの、借金があり、逃走資金を手に入れるため、出所からおよそ5か月後、犯行に及んだ」と指摘され、佐藤被告も認めています。

 佐藤被告は盛岡市内の公園で被害者と知り合い、年金を奪うために昏睡強盗をしようと考え、睡眠導入剤などをビールに入れて飲ませましたが効果が現れず、犯行に及んだということです。

 殺意は否定しており、「被害者の首を絞めたのは、気絶させるためだった」、「息を吹き返してくれ」という思いから首をもんだ」と主張しましたが、捜査段階では「首を絞めた痕跡を消そうとした」と供述しており、発言の食い違いが指摘されています。

古舘キャスター
 29日の判決のポイントを教えてください。

山口記者
 はい。盛岡地方裁判所の中島真一郎裁判長は、「身勝手な動機から強盗殺人という凶悪な犯行をした後も捜査の手から逃れるために強盗致傷など多数の犯罪行為を繰り返した」としました。

 さらに殺意については「昏睡強盗を計画し、それが成功しない時には、ためらうことなく被害者を殺害してまで通帳などを奪うなど殺意が非常に強い」と指摘。

 「加えて多数の前科があり、本件と同じような犯行により長期間の服役をしたものもあるため、刑事責任は極めて重大」などとして、検察の求刑通り、無期懲役の判決を言い渡しました。

山口記者
 なお、佐藤被告の弁護士は今回の判決を受け、「控訴については本人と話して決める」としています。

 古舘キャスター
以上、山口記者でした。

    テレビ岩手のニュース