全国で増加する"高齢者の孤独死" 遺品整理の現場は? 専門業者の作業に密着 岩手県盛岡市
特集です。一人暮らしの高齢者の孤独死が全国的に問題となっていますが、亡くなった人の「遺品の整理」も大きな課題となっています。盛岡市内で孤独死した男性のケースを取材しました。
盛岡市内のアパート。手を合わせ、一礼して部屋に入る青い作業着姿の人たち。亡くなった人の遺品の整理や片付けを行う専門業者です。高齢者が孤独死した部屋での作業。専門業者でなくては難しい仕事です。
ふうせんの風(遺品整理)芋田健二さん
「何百件も現場に入っているが、匂いは一件一件違うのでそこは慣れずつらい」「とにかく依頼者さんが引き渡しするときに笑ってもらえれば。僕らはその思いだけでやっているので」
この部屋には、72歳の男性が一人で暮らしていましたが、7月中旬に部屋で一人亡くなっているを近所の人などが発見しました。死因は脳出血だったということで、死後2週間ほど経った状態でした。
遺品整理の作業を見つめているのは、今回の依頼主・亡くなった男性の長男です。男性はおよそ30年前に離婚し、家族とは疎遠になっていました。
亡くなった男性の長男
「ちょうどいい言葉は思いつかないが・・・こんな形で終わるんだなっていう実感はすごいある」「(父親が亡くなったのは)何分突然のことだったので気持ちの整理は今の状況でだいぶ落ち着いては来たが、ただやっぱり当初はどうすればいいんだ、何をどういうふうにしていいかわからないというのが正直なところでした」
警察庁によりますと、一人暮らしの高齢者の孤独死は、2024年1月から6月だけで全国でおよそ2万8000人となっています。
今回作業にあたった業者によると、孤独死した高齢者の遺族を中心に、遺品整理の依頼は県内でも年々増えていて、現在は月に20件ほどだということです。
作業に入る前、部屋は歩くスペースがないほど物が散乱していました。遺族は、自分では対応できないと判断して業者に依頼したそうです。
ふうせんの風(遺品整理)芋田健二さん
「はい。お金がでてきてました」
亡くなった男性の長男
「ありがとうございます」「けっこう、重さ的には3~4キロくらいずっしりしているもので」
大事な物が埋もれていることも多く、部屋の隅々まで一つ一つ確認していきます。
ふうせんの風(遺品整理)芋田健二さん
「これが思い出の品々になります」
亡くなった男性の長男
「うわーすごいな」
担当者から渡された段ボールの中には、時計や携帯電話などが一杯に入っていて、意外なものも出てきました。
亡くなった男性の長男
「これはどうなんでしょうね。多分、メッキだと思うけど。あ、24金って書いてる。純金。 ちょっとこれはびっくりしましたね」
記者
「見たことは?」
亡くなった男性の長男
「この龍のやつは神棚に飾ってあるのは見たことがある。 てっきりそういう仏具だと思っていたので・・・」
片付けは2日かけて行われました。遺族だけではとても手に負えませんでした。
亡くなった男性の長男
「やはりすごい量多い中でも、スタッフさんたちの方でいろいろ気遣ってくれたりとか、あとはこういうふうな物ありましたけど、どうでしたって その都度その都度聞いてもらったのは助かった」
警察庁によりますと、2024年に入って孤独死した高齢者のおよそ1割は、死後1か月以上経ってから見つかっています。体液や臭いの除去を行う特殊清掃も重要な作業です。
亡くなった男性の長男
「やはり故人の意識がはっきりしている中で、エンディングノートってあると思うが、ああいったものをしたためることというのはすごく重要なことだと思う。 常日頃から一緒に暮らしている 分であればいろいろな勝手というのはわかっているものだと思うが、 離れて暮らす人であればあるほど、身辺整理は日ごろから心かけておくといいんじゃないかなと思った」
ふうせんの風(遺品整理)芋田健二さん
「僕らは依頼者のためにという信念でやっている。技術特許もある。これからも依頼者の方の笑顔のためにという信念で仕事は続けていきます」
一人暮らしの高齢者が突然亡くなった場合、遺品の整理や部屋の清掃などどう対応していくか、孤独死の問題とともに考えていかなければなりません。