戦後初 PTSD・心的外傷後ストレス障害とみられる旧日本軍兵士について国が実態調査へ
YBCでは、第二次世界大戦に出征し戦後、PTSD・心的外傷後ストレス障害とみられる山形県内の旧日本軍兵士などについて取材を続けています。こうした中、心の傷を負った元兵士の実態について、戦後初めて、国が調査に乗り出す方針が13日、決まりました。
鶴岡市出身の黒井秋夫さん。ホームビデオに映るのは、生前の父・慶次郎さんの姿です。
ホームビデオ「おじいちゃんピースしてくれ早くしてくれよ」
黒井秋夫さん「反応しない。年々こういう状態が進行。ついにはほとんどしゃべらない」
兵士として旧日本軍に従軍していた自分の父は戦後、PTSD・心的外傷後ストレス障害などの心の病に苦しんでいたのではないか。
そう考える遺族たちが近年、交流会や証言集会を続けていて、国による実態調査を求める声が上がっています。
戦時中、かつて千葉県にあった国府台陸軍病院では精神疾患の兵士およそ1万人を秘密裏に収容していました。このうち8002人分のカルテの写しが、現在も保管されています。
一方、東京都内にある「しょうけい館」は、国が2006年に開いた施設で、戦争で負ったけがや病いに苦しんだ兵士の体験を伝える施設です。しかし、兵士の精神疾患に関する記録はこれまで「しょうけい館」にはありませんでした。
こうした中、13日、「しょうけい館」の運営について議論する有識者会議が都内で開かれました。会議では、厚生労働省の担当者から「しょうけい館」で今後、新たにPTSDを含む精神疾患に苦しんだ兵士に関する展示に取り組んでいく方針が示され、了承されました。
新年度、資料収集などを行って展示に関する案を示す予定で、戦争によって心に傷を負った兵士について、当時の資料や研究者の研究成果を中心に調べていくということです。第二次世界大戦で心の傷を負った元兵士の実態について、国が調査に乗り出すのは終戦後初めてです。