「預託商法」禁じた法改正後全国初の摘発 酒田市のベンチャー企業の元社長ら逮捕
「スマホで買える太陽光発電所」などとうたい、発電設備のオーナーを募っていた酒田市の会社の元社長ら6人が違法に金を集めた疑いで30日、逮捕されました。顧客に販売した商品を預かり運用する「預託商法」を禁じた法改正後、全国初の摘発で債権者は1万2000人、負債総額は38億円にのぼります。
預託法違反の疑いで大阪府警に逮捕されたのは、酒田市のベンチャー企業「チェンジ・ザ・ワールド」の元社長・池田友喜容疑者ら6人です。捜査関係者によりますと、池田容疑者らは、顧客に販売した太陽光発電の設備を預かり、運用益を還元するいわゆる「販売預託商法」を行っていましたが、おととし6月の法改正で、この商法が原則禁止された後も違法に金を集めていた疑いが持たれています。法改正後、預託法違反の容疑で業者が刑事責任を問われるのは全国で初めてです。
会社は「スマホで買える太陽光」をうたい、発電設備を一口300円で販売しました。顧客は発電設備を共同購入したことになります。顧客は発電設備をそのまま会社に預けて管理・運用を委託。発電で得られた利益は管理費・維持費を抜いて顧客に配当される仕組みでした。
預託商法を巡っては、巨額の消費者被害があった安愚楽牧場やジャパンライフなどの事件が相次いだため、おととし6月の法改正で、国が特別な許可を出さない限り、禁止されました。しかし、この会社は消費者庁が違法性を指摘し販売停止を指示した後も商品の販売を続けていたとされています。
法改正後からおととし12月までの半年間で、3000人から出資を募り、およそ12億円の売上があったということです。会社は去年2月に破産手続きを開始していて、債権者は全国でおよそ1万2000人に上り、負債総額は38億円を超えていました。警察はこの会社の事業の実態解明を進める方針です。