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大雨被害から7か月 酒田市の「刈屋梨」 産地復旧に向け作業が本格化

2025年2月25日 17:45
大雨被害から7か月 酒田市の「刈屋梨」 産地復旧に向け作業が本格化

去年7月の大雨災害から25日で7か月が経過します。大雨による川の氾濫で酒田市では特産の刈屋梨の畑が甚大な被害を受けました。産地では復旧への取り組みと同時にことしのナシの生産に向けた作業が本格化しています。

酒田市の荒瀬川と日向川の合流点に近い刈屋地区。特産の「刈屋梨」の畑ではいま、せん定作業が急ピッチで進められています。

(意外と一杯切るものですね)刈屋梨出荷組合佐藤尚人組合長(60)「来年必要な枝を残すくらいだから」

佐藤さんは、合わせて140アールの果樹園でナシを栽培しています。しかし、去年の大雨では堤防の外側にある40アールほどの園地に大量の泥などが押し寄せました。およそ6トンのナシ、金額にして240万円相当の被害を受けました。

刈屋梨出荷組合佐藤尚人組合長(60)「泥が20センチから30センチ溜まったので機械も入れなかったので収穫を諦めて私も公共災に参加して復旧してもらおうかなと思っています」

大規模な農地などの復旧には国が90%ほど補助し残りを市町村と生産者が負担する「公共災」と呼ばれる制度があります。刈屋地区では、去年の大雨でナシを栽培する際に必要な「ナシ棚」と呼ばれる果樹棚が壊れる被害が相次ぎました。しかし、棚の資材が設置から一定の年数を過ぎているものは被害を受けても「公共災」による補助の対象外とされ、工事費は認められていませんでした。
ナシ棚を新たに作るには10アールあたり200万円ほどかかるとされ、農家にとって非常に大きな負担です。こうした状況を受け、酒田市の矢口明子市長も県などへ復旧に向けた支援を求めていました。

酒田市矢口明子市長「棚の設置費用にも支援いただいたり棚の耐用年数の要件緩和など可能でしたらもう一歩の支援があると前に進める」

2月19日、刈屋地区で市による説明会が開かれ、新たな支援策が示されました。
被害を受けた棚について設置からの年数の要件をなくし、10アール当たり84万6千円を上限に復旧費用の2分の1を補助。また、設置にあたっての工事費用も市が単独で補助する方針です。

刈屋梨出荷組合佐藤尚人組合長「棚の資材も高騰し人件費も高騰しているので棚に補助を付けて頂くのは本当に助かる」
市担当者は「災害が起きてから1年以内には復旧工事に手を付ける形を目指して動いている状況」

刈屋自治会土井孝之会長(72)「全部。向こうの方が」

一方、刈屋地区の自治会長・土井孝之さんのナシ畑あわせて125アールのうち、およそ15アールは荒瀬川の氾濫による大量の土砂や流木で木や棚がなぎ倒されたままです。土井さんはナシ栽培を今後も続けていくために「公共災」制度を活用し、この畑を一旦更地にする決断をしました。

刈屋自治会土井孝之会長(72)「ナシは若い木を植えて実が取れるようになるまで10年くらいかかってしまう。我々みたいな老人がナシがなってくるのを見られるのかなと思う。ただ産地もなくしたくないものだから。」

木を植えてから収穫までおよそ10年がかかるというナシ。生産者たちは被害の大きさに苦しみながらも明治から続くナシの産地を守ろうと、ゼロからの再出発を目指し少しずつ前を向いています。

最終更新日:2025年2月25日 20:04
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