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【速報】「死刑の当日直前告知」は違憲か…一審「憲法違反せず」判決を“差し戻し” 賠償請求は棄却 大阪高裁「運用が違憲・違法なら前日までに告知すればよい」との判断示す

2025年3月17日 14:04
【速報】「死刑の当日直前告知」は違憲か…一審「憲法違反せず」判決を“差し戻し” 賠償請求は棄却 大阪高裁「運用が違憲・違法なら前日までに告知すればよい」との判断示す

 死刑の執行を当日の直前に告知する現在の運用は憲法に違反するとして、死刑囚2人が国を訴えた裁判の控訴審で、大阪高裁は17日、「憲法違反にはあたらない」と認めなかった判決を取り消し、審理を地裁に差し戻す判決を言い渡しました。損害賠償の請求については一審に引き続き、訴えを退けました。

 大阪高裁は判決で、「仮に運用が違憲・違法であるならば、これを改め執行当日ではなく前日までのしかるべき時期に告知を行うようにすればよいのであって、適法に死刑執行を行うことは十分可能」との判断を示しました。

■死刑執行の約2時間前に告知「適切な手続きを保障した憲法31条に違反」と主張

 訴状などによりますと、死刑囚2人は「死刑が執行の2時間ほど前に告知される今の運用は、不服申し立て制度を使うことができず、適正な手続きを保障する憲法31条に違反している」などとして、執行に従う義務がないことなどの確認を求めたうえで、合計2200万円の損害賠償を国に求めています。

 弁護団によりますと、アメリカでは連邦政府が死刑を執行する場合は遅くとも20日前、州によっては1か月前に告知しているということです。死刑執行までの期間中、家族と面会したり最後の食事を選んだりできると指摘しています。

 一方、国側は過去の国会答弁などで事前告知された死刑囚が自殺した例もあり、「当日の告知は問題ない」などと主張していました。

 一審の大阪地裁は2024年4月、死刑執行の当日告知を受け入れる義務があるかについて、「義務がないことを確認を求めることは、確定した刑事判決との矛盾接触を生じさせることになる」と指摘し、訴えそのもののが“不適法”だとして却下。賠償請求についても「死刑執行の運用の一部のみを取り出して主張することは認められない」として棄却しました。

 弁護団によりますと、“死刑の告知の在り方”をめぐり司法判断が示されるのは初めてで、死刑囚側が判決を不服として控訴していました。

■二審の大阪高裁「死刑執行の指揮時点での異議申し立ては現実的に不可能・困難」

 17日の判決で、大阪高裁は「一審判決では『もし死刑執行方法が違憲であれば、死刑判決そのものが違法の判決に帰すことになって不当である』との考えが前提にあるが、仮に運用が違憲・違法であるならば、これを改め執行当日ではなく前日までのしかるべき時期に告知を行うようにすればよいのであって、適法に死刑執行を行うことは十分可能だ」との判断を示しました。

  また、「死刑執行告知と同日に死刑執行を行う現在の運用の下では、死刑執行の指揮がされた時点で異議を申し立ててその有効性を争うなどということは現実的に不可能または著しく困難と言わざるを得ないため、死刑執行を受任する義務の有無の確認を求めることは適法だ」とし、死刑執行の当日告知を受け入れる義務があるかの確認について、審理を地裁に差し戻す判決を言い渡しました。

 判決後、死刑囚側の弁護団は会見を開き、「即日告知・即日執行というのは、命を預ける・終わることと別個の苦しみだ」と話し、「答えが出るまでの間には、原告だけではなく、全ての死刑確定者について、現在の運用で死刑執行はなされるべきではない」と訴えました。

 一方、法務省は「判決の内容を精査し、適切に対応してまいりたい」とコメントしています。

最終更新日:2025年3月17日 15:51
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