【解説】備蓄米落札したJA「可能な限り早く価格抑えて販売したい」スーパーなどでコメ価格は下がる?
コメの価格高騰をめぐり、先週「備蓄米」を落札したJAが17日、会見を開き、「可能な限り早く、価格を抑えて」販売する方針を示しました。コメの価格は、いつ下がるのでしょうか。
この日、大阪市内のスーパーではー。
上野巧郎 記者
「高止まりが続くコメの値段。きょうの店頭価格は5キロあたり軒並み4500円を超えています」
止まらないコメの価格高騰。その切り札として期待されているのが、備蓄米の放出です。政府は、先週金曜日(14日)…。
江藤農水相
「今回の入札は、競争が過熱して価格高騰を避けなければならなかった」
江藤農林水産大臣が備蓄米の落札結果を公表。15万トンのうち、約94%の14万1796トンが落札され、平均落札金額は60キログラムあたりで2万1217円だったということです。
備蓄米15万トンの入札には、全国のJAなどコメを集める業者(集荷業者)60団体ほどが参加。今回、落札された備蓄米は、その集荷業者に早ければ今週前半にも引き渡される見通しです。
JA全農 米穀部・藤井暁 部長
「受け渡しの準備を進めており、整い次第、順次、販売先である米穀卸売業者に供給していきます。行き過ぎた価格の上昇は、“需要を減退させる可能性”もありまして、消費者に安定的に購入してもらうため、円滑な流通の回復を望んでいる」
今月下旬にも一部のスーパーや外食業界など、 大手を中心に卸されるとみられている「備蓄米」。実際、店に入ってくる予定はあるのでしょうか?
フレッシュマーケット アオイ・内田寿仁 社長
「今のところ、入ってくるのか、こないのか、全く情報がありません。せめて1割ぐらい下がってくれたらうれしいが、どうなるかわからない」
備蓄米の放出について、消費者は…
1児の母親
「(安くなる)期待はしたいけれど、一時的なものなのかな」
3児の母親
「食べ盛りだから、(コメ食べるのを)止めるワケにはいかない。安くなればなるほどいいんですけれど」
備蓄米の放出で、果たしてコメの価格は下がるのでしょうか。
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(黒木千晶キャスター)
では、コメの価格について見ていきたいと思います。
10週連続で値上がりしています。そして、備蓄米の放出が発表されて以降も実は値上がりが続いていて、3月3日から9日まででは、5キロあたり4,077円ということです。
今後、価格がどうなっていくのか、専門家の方に聞きました。
備蓄米が放出されて4月上旬になると3,800円、そして5月以降になると追加の備蓄米が放出された場合は、3,600円という予想になっています。
1年前の価格が2,045円だったことを考えると、やっぱり上がったいう実感を、皆さん持たれていると思います。
きょう、JAが会見を開きました。
入札価格の備蓄米倉庫は東日本に多く、西日本(つまり我々が住んでいる関西エリアなど)への輸送コストは高くなってしまう。ただし、なるべく近い保管場所から輸送するなど工夫を行い、なるべく価格に地域差が出ないような対策を取るということです。
今回のコメ不足などをうけて、国はこのような方針を打ち出しました。
コメの輸出量を2030年までに8倍にするということです。どういうことかと言いますと、こちらです。
コメの流通量が少なかったこともあって、コメの価格が上がっているということで、2024年に約4万6000トンだった輸出用のコメを、8倍の35万トンに増やして、余った分を国内向けにしたらいいんじゃないかということです。つまり、これまでは水田を畑にする支援をしてきたんですけども、今回の教訓を受けて、水田を増やして、コメの生産量自体を増やした方がいいんじゃないかということです。
ただ実際には、コメの生産者の方からこのような声が上がっています。
「生産者の方が少ない中、新たに水田を用意するのは難しい。野菜を作るよりも、専用機などコストがかかってしまう。売り先の確約がないと不安だ」と話をされています。
やはり、私たちの生活に欠かせないものですから、しっかりと中長期的なビジョン、生産者も、そして消費者のことも考えていただきたいと思います。