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【ナゼ?】「当たり前の生活ができなくなった」全国各地で『薪ストーブ』によるトラブル続出中⁉神奈川や千葉では議会で取り上げるほどの騒動になるも、自治体は“お手上げ状態”…その理由とは?

2024年11月14日 16:00
【ナゼ?】「当たり前の生活ができなくなった」全国各地で『薪ストーブ』によるトラブル続出中⁉神奈川や千葉では議会で取り上げるほどの騒動になるも、自治体は“お手上げ状態”…その理由とは?
薪ストーブ巡り“ご近所トラブル”

 生活音・騒音・ゴミ出し・駐車マナーなど、日常生活で起きる様々な“ご近所トラブル”。寒くなっていくこの時期に懸念されているのが、住宅街での薪ストーブ使用を巡る“煙害”トラブルです。神奈川・葉山町や千葉・船橋市などでは、議会で取り上げるほどの騒動に。自治体の対応は?使用時に気を付けるべきこととは?

■人気再燃『薪ストーブ』の“煙害”巡るトラブル 住民は「当たり前の生活ができなくなった」と被害を訴え

 『薪ストーブ』は、電気やガス・灯油などの化石燃料を使わず、薪を燃やした熱で温まる環境にやさしい暖房設備といわれています。エコ意識の高まりやアウトドアブームによる後押し、さらに災害時にも活用できるため、近年人気が再燃。メラメラと燃え上がる炎は、見ているだけで癒し効果があるともいわれています。脱炭素社会の実現などの観点から、補助金を出す自治体も。

 しかし、薪を燃やした際に出る煙やスス・ニオイなどによる“煙害(えんがい)”を巡り、各地でトラブルが報告され、各自治体が頭を悩ませています。

 神奈川・葉山町の議会では、切実な訴えが議題にあがりました。

(神奈川・葉山町議会本会議より/2023年10月)
「薪ストーブが使用されてから喘息を発症し、健康被害を受けていると、ご相談を受けました」

 葉山町によると、薪ストーブとの因果関係は明らかになっていません。ただ、『ミヤネ屋』が取材した体調不良などの被害を訴えている住民は、「冬は、薪ストーブによる煙のため換気ができず、洗濯物も干せなくなるなど、当たり前の生活ができなくなった。咳がやまず、呼吸が苦しくなり、夜は眠れない状態になるときも。行政はもっと注意喚起をしてほしい」と話していました。

 この問題を、神奈川・葉山町の議会に提起した三浦大輝町議によると…。

(神奈川・葉山町 三浦大輝町議)
「私のところにも、何人かから問い合わせが来たり、町役場のほうにもクレームの電話も来ているみたいです。町のホームページ上でも薪ストーブの問題を提起したりとか、対策をしていますが、それだけでは解決していないという現状です」

 町議によると、1年以上前から、こうした被害を訴える声があったそうです。

■使用を規制する法律はなく、自治体は“お手上げ”状態 弁護士は「民事で争うことになるが、現実的には難しい」と指摘

 千葉・船橋市では、市議会で薪ストーブへの苦情を巡る陳情が取り上げられました。

(船橋市議会 市民環境経済委員会/2023年3月9日)
「薪ストーブの煙やススで悩まされているとのことで、燃焼臭や排煙が流れ込まないようにしてもらいたいというのが、当課所管に係る願意と受け止めております」

 船橋市は、ホームページでも注意喚起を行っています。

(船橋市HPより)
「市内は住宅が密集している地域が多く、煙、ススや臭いに関するトラブルの相談が増加しています」

 このほか、愛知・名古屋市や茨城・土浦市、福島・須賀川市など、数多くの自治体が薪ストーブの使用に関する注意喚起を行っています。

 ただ、薪ストーブの使用を規制する法律はなく、神奈川・葉山町の担当者は、「あくまでお願いベースになってしまう。『やめさせることはできないのか』と不服を言う人もいて、苦慮している」と話しています。

 弁護士・亀井正貴氏によると、「民事で争うことになる。受忍限度を超えていると裁判所が認定すれば、損害賠償請求などはあり得る。しかし、被害の大きさ・時間帯など、詳細な証拠集めが必要。具体的な物差しもないので、現実的には難しい」ということです。

■『乾いた薪を使う』『煙突の高さ・位置を専門家と検討』『近所に説明』導入時・使用時にできる3つの対策

 薪ストーブや暖炉の普及を図る業界団体『日本暖炉ストーブ協会』松田友馬理事は、「トラブルなく使用している人が大半だと思う。販売・設置業者などへの勉強会を実施し、トラブルなく使用できる形で普及していきたい」と話しています。

(日本暖炉ストーブ協会・松田友馬理事)
「煙のトラブルの撲滅を目指した『煙プロジェクト』というチームを発足しまして、公共の機関と一緒に実証実験を行って、臭気指数という数値を取って、どのような形であれば臭いが出ないのかというのをやっています」

 日本暖炉ストーブ協会によると、十分に乾燥した薪を使うとニオイや煙を軽減できますが、十分に乾燥されていない薪を燃やすと不完全燃焼が起こり、大量の煙が発生するということです。

 各自治体もホームページで、薪ストーブ使用について、『水分が抜けた乾いた薪を使う』『煙突の高さ・位置などは専門家と検討』『設置の際に近所に説明』など、注意喚起を行っています。

 別荘に薪ストーブがあるという、元経産官僚・岸博幸氏は―。

Q.トラブルはありますか?
(元経産官僚・岸博幸氏)
「住宅が密集していませんし、周りも薪ストーブだから、大丈夫です」

Q.水分の十分に抜けた乾いた薪は、売っているんですか?
(岸氏)
「これが難しくて、いろいろなお店で売っている薪って、実はそこまで十分乾燥させていないから、それを使うと煙がいっぱい出ます。でも、乾燥している薪を売っている所を探したらすごく大変だし、自分の別荘で積んでおいて乾燥させる手もあるんですけど、これも手がかかります」

Q.かなり長い時間をかけないと、完全に水分が抜けている状態にはならないんですね?
(岸氏)
「それか、しっかり乾燥させた薪を専門で売っている所で高い値段で買うか、どっちかです」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年11月8日放送)

最終更新日:2024年11月14日 16:00
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